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29話 近づく試験日 五大血転学校

夕日が山々を照らす頃。


「はわあー。やっと帰ってきたーー」


あくびをしながら両腕を斜め上に広げ、大声を上げる健治。

秋司、健治、佑香、浮符鄔の四人は数時間かけて木漏れ町からべいこま村に帰ってきたのだ。

あの後、木漏れ町に寄って町の長、松平の元を訪れた四人。

ベケウメトの封印が解かれた後、木漏れ町で展示されていた美術品は消滅してしまったため、その経緯を説明するために寄ったのだ。

しかし、松平の耳には既にその事情が入っていた。

松平は四人に深く感謝を伝えた。

そして、四人は今べいこま村に帰ってきたのだ。


べいこま村、なんだか久しぶりだなー。


秋司は両腕を広げ、大きく息を吸って吐いた。

浮符鄔は松平から受け取った報酬金を三人に分けて手渡した。


「おぉー・・・。いいのかー? ジジイー」


健治は報酬金を受け取ると、目を輝かせながら声を発した。


お金・・・。

ばあちゃんに渡そっ。


秋司はじっとお金を見つめながら、そう考えた。


ベケウメト討伐の報道は世界中に届いた。

ただし、ベケウメトを討伐したのは偶々そこに居合わせた旅人という体で発表された。

魔獣戦士ベケウメトの存在は、封印されていても、現代の人々に少なからず恐怖と不安を与えていた。

そんなベケウメトを討伐した事実を木漏れ地区は全世界に公表した。

木漏れ地区は、事実のまま世界に公表しようとしたが、浮符鄔がそれを拒み、正体不明の旅人が倒したと発表することになった。




木漏れ地区から帰宅後、翌日から秋司たち三人は浮符鄔の元で修行を再開した。

秋司たち三人は、浮符鄔の元で修行を続けつつ、勉学にも励み、偶に浮符鄔が受けた依頼に同行し、様々な土地に足を踏み入れていた。

そんな生活を送っていると、あっという間に月日は流れ、一年と数ヶ月後、秋司は十二歳になり、灯詠学園の入学試験が近づいていた。


もうすぐ、入学試験か・・・。

よーし、頑張るぞー・・・。


「って、あんまり成長していない気がするーー」


この日も浮符鄔の丸太小屋付近で修行を行っている秋司。

灯詠学園入学試験に向けて気合が入るとともに、自信も無くしつつあった。

というのも、木漏れ地区から帰宅後、修行を続けてきたが、一年以上月日が流れたのにも関わらず、そこまで成長を感じていなかったからだ。


「ほっほ。焦っておるのう」

「だって・・・。もうすぐ試験なのに・・・」

「あのなー・・・。今血転術を満足に扱えたら、何しに血転学校に行くんじゃ?」

「そ、それは・・・。確かにっ」

「それになー、当然個人差や例外もあるがのう、ほとんどの業血司使いは血転学校に通える六年間、つまり十二歳から十八歳の間が最も成長するんじゃ。もちろん、年齢に関係なく実力を伸ばすことはできるがのう。今、あんまり実力が伸びておらんからってそう焦るな」

「はいっ」


そうだよね。

これから血転術を学びに、血転学校に行くのに、今満足に扱えなくても焦ることはないよね。

それに、これからが最も成長する時期なんだ・・・。

それなら、なおさら落ち込んでいる暇はないっ。


秋司は浮符鄔の言葉を聞いて、明るい表情を浮かべ、修行を続けた。


さらに月日は流れ、灯詠学園入学試験まで四週間となった。

この日も浮符鄔の丸太小屋を訪れている秋司たち三人。


「さてと。もうすぐじゃな。健治と佑香は三週間後、秋司は四週間後じゃな。三人とも最高峰の血転学校を目指しているわけじゃが。さーて、受かるかのう?」

「・・・。なんでそういうこと言うんだ、ジジイー」


ニヤついて声を発する浮符鄔を見て、健治は机を両手で勢いよく叩きながら立ち上がり、大声を発する。

秋司は浮符鄔の言葉を聞いて、緊張で顔が真っ青になる。


健治と佑香は、五大血転学校の一つ、桜嵐学園を受験する。

佑香は木漏れ地区を訪れた日、梅河めぐみと出会い、憧れ、同じ学校に行くことを決めたのだ。

健治は、この村からあまり離れたくないという思いがあり、全寮制である五大血転学校に通いたいと思いつつもためらっていた。

あの日以来、べいこま村は平和だが、またいつ襲撃を受けるかと不安を感じていたからだ。

そしてそれは秋司と佑香も感じていた。

そんな健治、そして秋司と佑香に、浮符鄔は自分がこの村を見守るから、好きな所へ行けと声をかけ、三人は自分が行きたい血転学校を受験することにした。

それもあり、健治は、全寮制ではあるが、この村から一番近い五大血転学校、つまり同じ国の桜嵐学園を受験することに決めた。

秋司はあの日以来、憧れていたフィーべにある五大血転学校の一つ、灯詠学園を受験する。

フィーべとは、四国同盟が共同で保有している土地で、四国を繋いでいる陸地。

南西に桜嵐、北西にグリューツ、北東にアレベリ、そして南東にウルーリア。

この四カ国は同盟関係にあり、フィーべが存在しない場合、四カ国は島国となる。

しかし、フィーべが中心に存在することで地形的にも繋がり、四国とフィーべで一つの大陸となっている。

そんなフィーべは、大自然が大半を占め、血転学校は灯詠学園のみ。

中央より少し北に灯詠学園、少し南に四国政府がある他、少しの村と少しの人工物が存在する程度でほとんどの土地は自然の状態を保っている。

五大血転学校は桜日の桜嵐、グリューツのバンデルハーツ、アレベリのグロウンケリー、ウルーリアのオーシャムリーフ、そしてフィーべの灯詠学園を指している。

健治と佑香は三週間後に桜嵐学園を、秋司は四週間後に灯詠学園を受験するために、今も勉強と修行を行っている。


よーしっ、気合い入れていくぞー・・・。

うおぇっ・・・。


秋司は気合いを入れると同時に、緊張で吐きそうになりながら、血転図式を描いている。


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