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2話 不思議な力、それは血転術

うぅ、眩しい。

ここは、どこだろう?

ああ、家か。

あれ、急がないと。

村が襲われている・・・。

違う、確か誰かが助けてくれたんだ。


「秋ちゃん。目覚めたの? よかった」

「ば、ばあちゃん・・・」


今から一時間ほど前。

突如、べいこま村がある男たちによって襲撃された。

秋司と健治は村を襲撃してきた男と対面し、色々あって意識を失った。


そして現在、秋司は自宅で目を覚ました。

視界ははっきりとしているが、頭はまだぼーっとしている。

秋司の祖母は心配そうに秋司を見つめている。


「ばあちゃん、健治君は?」

「健ちゃんも意識は失っていたけど、無事よ」

「そっか。よかった」


健治君、無事でよかった。

助けてくれた人は誰だったんだろう?

村の人ではないし。

凄くかっこいい人だったなー。

凄く強くて、関わりのない僕たちのことを助けてくれて。

僕は、友達すら助けられなかったのに。

この村すら守れなかったのに。

ところで、あの魔法みたいなものはなんだったんだろう・・・。

火を出したり、風を出したり・・・。

そういえば、不思議な力を使う人たちがいるみたいな話を聞いたことがあったような。


意識が段々とはっきりしてきた秋司は、襲撃してきた男と、助けてくれた青年が扱っていた、魔法のようなものについて考え始めた。


「ばあちゃん。世界には不思議な力を扱う人がいるの?」

「秋ちゃん・・・。ええ、いるわね。業血司使いが。血転術師とも呼ばれている人たちよ」

「業血司使い・・・? 魔法使いみたいなもの?」

「うーん、そうね」

「あの不思議な力って、魔法なの?」

「うーん、魔法と呼んでもおかしくはないけど、一般的には血転術と呼ばれるものよ」


血転術・・・。

それが、火を起こしたり風を起こしたりする力か。


その後、秋司は血転術について、祖母に尋ねた。


ばあちゃんによると、血転術は業血司と呼ばれる体内エネルギーを使って発動するらしい。

この業血司は誰の中にもあるエネルギーで、僕の中にもあると。

でも、そんなエネルギーなんて感じないけど。


「そういえば、秋ちゃんを助けてくれた人は、その業血司使いだったようね」

「あ、うん。凄く強くて、かっこよかった。誰だったんだろう」

「さあね。でも、灯詠(とうえい)学園の生徒さんみたいよ」

「灯詠学園?」

「そうよ。その血転術を学ぶ学校よ」


血転術を学べる学校?

そんな場所があるんだ。

灯詠学園・・・。

あの人がいる学校か。

行ってみたいな・・・。

でも、どこにあるんだろう、その学校。

お金とかもかかるのかな・・・?


「秋ちゃん、もしかして血転術に興味があるの?」

「えっ・・・。そ、それは・・・」


祖母は秋司の様子を見て、そう感じ尋ねた。


「ふふっ。秋ちゃんは分かりやすいわね。でも、十歳で通える学校は恐らくないわ」

「えっ。そっか・・・。い、いや。血転術には少し興味があるけど・・・。別に、学校に通いたいわけじゃないよ・・・」

「そうなの? でも、灯詠学園は気になるんでしょ?」

「えっ・・・。いや、灯詠学園が気になるというか、あの人が気になるというか・・・。でも・・・」

「うん? もしかして、お金のことを気にしてるの? 大丈夫よ。灯詠学園や他の学校も、お金はかからないわよ」

「えっ? そうなの?」


そっか。

お金はかからないんだ。

それなら、行ってみたいな。


「ばあちゃん。灯詠学園ってどこにあるの?」

「そうね・・・。フィーべっていう場所にあるわね」

「フィーべ? それはどこなの?」

「うーん、簡単にいうと、凄く遠い場所よ。でも、灯詠学園は全寮制だから、距離は気にしなくても大丈夫」

「えっ? でも・・・」


全寮制ってことは、ばあちゃんと離れて暮らすってことだよね。

ばあちゃんを一人にするなんて、できないよ・・・。


「ふふふ。本当に秋ちゃんは、分かりやすいわね。おばあちゃんは一人で大丈夫よ。この村に住んでいる人、全員が家族みたいなものだしね。緋祐さんだって来てくれるし。それよりも、あばあちゃんは、秋ちゃんのやりたいことをやってほしいの。灯詠学園に行きたいなら行きなさい。ねっ?」

「で、でも・・・」

「もおー。素直にやりたいことはやりなさい。おばあちゃんのことは心配しなくていいの。ねっ?」

「うん・・・。分かったよ・・・。でも、僕の歳じゃあ通えないんだよね?」

「あら、そうね。灯詠学園は十二歳から通える学校。だから、秋ちゃんはあと二年待つようね。それに、入学するには、試験に合格しないといけないのよね」


そっか、十二歳からかー。

それに試験に合格しないといけないのか。


ばあちゃんによると、試験は筆記試験と実技試験があるらしい。

ということは、入学するには血転術を使えないとダメなのか・・・。

でも、まだ二年ある。

その内に、使えるようになれば・・・。

どうやって使うんだろ・・・。


「ばあちゃん。血転術って、どうやって使うかわかる?」

「うーん、ごめんね秋ちゃん。おばあちゃんはほとんど使えないの。でも、血転術を扱える人なら知っているわ」

「本当? 誰ー?」

「それはね・・・」



日が昇り、崩壊した倉庫を照らし始めた頃。

秋司は健治と佑香の二人と会っていた。


「健治君。無事でよかった」

「お、おう。秋司もな。それと・・・、ごめんな。俺が突っ走ったせいで、お前を巻き込んじまって・・・」

「そんなことないよ。健治君が行ったから、おじさんも助かったんだし。村の被害も少しだったし。無事だったんだし、行ってよかったよ」

「そ、そうか・・・。そうだなっ」


秋司と健治は笑顔で顔を合わせた。

しかし、その二人の間には、今にも爆発しそうな空気が・・・。


「行ってよかった・・・。そんなわけないでしょーがーーー」

「ひぃっ・・・」


二人の会話を聞いていた佑香が大声を上げた。

その姿を見て、冷や汗をかき、怯える二人。


「無事だったからよかったけど、火が燃えているところに、自分から向かうなんて、何考えてんのよ。いい? 今後はそんな無茶しないこと。分かった?」

「は、はい・・・」


秋司と健治は怯えながら、小声で返事をした。


「ところでさー。血転術だっけか。あれ、使えるようになりてーよなー」

「うん。僕も使えるようになりたい」


健治も、秋司と同じように、血転術に興味を持っていた。


「今日ね、血転術を使える人に会いに行くんだ。健治君も一緒に行く?」

「血転術を扱える人? そんな知り合いがいるのか?」

「ううん。知らない人なんだけどね。ばあちゃんが教えてくれたんだ」

「そうなんだ。でも、気になるよなー。よし、行くぜ。どこにいるんだ、その人は?」

「それなんだけど、あの山のどこかにいるらしいんだ・・・」


秋司は、べいこま村の近くにある山を指した。


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