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14話 血転術について その3

べいこま村付近にある山。

その山の中に位置する丸太小屋で秋司と健治、佑香は浮符鄔から血転術の知識を学んでいる。


「次は操術についてじゃ」


操術はものを操ったり生物の動きを操ったりできる血転術。

近くにある枝などを伸ばして動かしたり、地面の砂などを動かしたりと、身の回りにあるものを操れる力。

さらに、意識などは操れないが、生物の動きを操れ、手で拳を握らせ味方を殴らせるなどの行動をとらせることができる。

ただし、生物を操る場合は、当然相手との実力差によって術の効果が変化する。

また、この操術を使うことで空を飛ぶこともできるようになる。

もちろん、空を飛んでいる間は業血司を消費し続けるが。


「空飛べんのか・・・。すげーー」

「空飛んでみたいなぁー」


空を飛べると言う言葉に、目を輝かせながら順に声を上げる健治と秋司。


「ほっほ。まあ、お主らはなかなか習得できないじゃろうがのう」

「な、なんだとー。すぐに飛んでやるぜ」


浮符鄔の煽り口調な言葉を聞いて、顔を近づけながら大声で反発する健治。


「さあ、次じゃ。次は幻術についてじゃな」


幻術は五感を錯覚させたり、実際に存在しないものを感じさせたりする血転術。

実際に見えているものを錯覚させたり、実際には存在しないものを感じさせて相手を混乱させる力。

また、幻術は二パターンあり、一つ目は相手の五感そのものに作用するもの。

二つ目は、特に視覚的な幻術の際、相手がそう見えるように業血司で作り出すもの。

業血司で作られた幻術は生成術とは異なり、実体はない。

幻術への対抗手段は、結界術や回復術などが一般的だが。


「ここで問題じゃ健治。二つ目の幻術、特に実際には存在しない幻術をかけられた時、それを簡単に見破る方法がある。それはなーんじゃ?」

「え・・・。あれじゃねーの。自分をぶん殴るとか?」

「ぶー。勢い任せな健治らしい答えじゃが不正解じゃ」

「じゃ、じゃあ正解はなんだよ?」

「正解はじゃな、さっき教えた変化術や生成術を使うことじゃ」

「え、えぇー。あれは戦闘向きじゃないんだろ? しかも、変化させたり生成する力でどうやって見分けるんだよ?」


健治は驚きの表情を浮かべた。


え?

変化術と生成術?

一体なんの関係が?


秋司は首をかしげながら考えを巡らすが答えが見つからなかった。


「二つ目のパターンで実際に存在しない幻術をかける場合は、その全ての幻術が業血司で作られているからですか?」

「ほっほ。流石佑香じゃな。その通りじゃ」


佑香は右手を軽く開いた状態で人差し指の第二関節を顎に当てながら疑問形で答えた。


「どういうことっ?」


全く理解していない様子できょとんとしている健治。


「例えば、山にいるのにいきなり砂漠に取り残される幻術をかけられたとしよう。その場合、砂漠の砂に変化術を使うと、膨張して爆発する。なぜなら、その砂はゼロから業血司で作られた実体のない砂の幻覚じゃからじゃよ。他にも、剣などの武器に関わる幻術でも、生成術で同じように見破れる。場合によってはそのまま幻術を破ることもできるじゃろう。まあ、見破るためのちょっとした小技じゃ」


なるほど。

術にも、様々な応用方法があるんだ。


「次は回復術についてじゃ」


回復術は体力、スタミナ、傷、業血司などを回復するための血転術。

他者はもちろん、自身を回復することもできる。

そして、解毒や幻術の対抗手段としても使える。

ただし、回復するにはかなりのスタミナと業血司を消費し、時間もかかる。


「じゃあ、昨日の毒も回復術で解毒できるんですか?」

「うむ。できるとも」


回復術か。

これを身につければ、傷ついた仲間も治療できるのか。


秋司は開いた両手を見つめた。


「次に結界術についてじゃ」


結界術は結界を張り、防御や封印を行うための血転術。

結界を張ることで相手の攻撃をガードすることができる。

幻術の防御方法も、結界術を使うことが多い。

また、結界の中に閉じ込めることで封印することも可能。

自身と相手を同じ結界に閉じ込め、周りへの被害をなくすこともできる。


結界術。

昨日も、あの日も僕を守ってくれた術。


秋司は開いていた手を握りしめた。


「最後は身体術についてじゃ」


身体術は業血司を使った体術や身体強化を指す血転術。

この術を使うことで、普通のパンチの威力や身体能力が飛躍的に向上する。


「昨日の浮符鄔さんのパンチや蹴りもこの術ですか?」


秋司は昨日、浮符鄔が繰り出した打撃を思い出し、尋ねた。


「それは違うのう。言ったじゃろ。血転術は使わずにあやつを倒すと」

「じゃあ、あれは・・・」

「ただのパンチとキックじゃ」


えぇ・・・。

あの威力がただのパンチ?

ただの蹴り?


「ええか。人間は、あるいは生物は業血司を体内に感じ始めると、それだけで身体能力が向上するのじゃ」


はっ・・・。

そういえば、初めて業血司を感じた時、足が速くなったりジャンプ力が上がった気がする。


秋司は浮符鄔の言葉を聞き、熊に追いかけられた時のことを思い出した。


「つまり、ただ体術を学ぶだけで、強くなれるんじゃ」

「おぉー・・・。あれ、でも生物は業血司を元々持ってるんだよな? じゃあ、なんで感じたら身体能力が上がるんだ?」

「ほほーう。健治にしてはいい質問じゃな。それは簡単にいえば、寝ていると起きているの違いじゃ。寝ている時に、いきなり攻撃されたら普通はかわせん。しかし、起きている時に攻撃されたら、かわせるかもしれん。それと同じように業血司を感じなければ身体能力は向上せんが、感じることができれば向上する。要は意識の違いじゃな」


秋司と佑香は浮符鄔の言葉を聞いて頷いたが、健治は少しきょとんとしている。


「まあ、以上が血転術じゃ。お主らはまだまだひよっこってことじゃのう」

「じいさん。それ、全部教えてくれよ」

「僕も、教えてください」

「もちろんそのつもりじゃが、焦ってはいかん。血転図式はあくまで術を発動するための準備を行うためのもの。その後、業血司の使い方や術のイメージなど、術者の実力が大切じゃ。お主らはもうよく分かっておるじゃろう。お主らはまず属性術の基本八種を出すところからじゃな」

「うっ・・・」


健治と秋司は勢いよく浮符鄔に近づき、頼んだが、見事なカウンターを食らった。

秋司も健治も、いくつかの属性では術も発動できているが、いくつかの属性はまだ発動させることすらできていなかったのだ。


「が、頑張ります・・・」

「すぐにやってやるぜー」


秋司は小声で、健治は大声で声を発し、外に出た。


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