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13話 血転術について その2

べいこま村付近の山にある丸太小屋。

そこで秋司、健治、佑香は浮符鄔の話を聞いていた。


「次に召喚術についてじゃな」


浮符鄔は召喚術について話し始めた。

召喚術は、呼び出したい生物の何かを使ってその生物を自分の元へ呼び出す術。

例えば、ある鳥の羽を使って召喚術を行うと、その羽の持ち主を自身の元へ呼び出すことができる。


「すげーー。じゃあ、ちょー強い生物の何かをゲットして召喚術を使えば、最強じゃん」

「はあー。そんな都合のいい術があるわけなかろう」

「・・・。お、おう」


興奮して大声を発した健治だったが、浮符鄔の一言で一気に落ち着く。

召喚術で召喚された生物は召喚した業血司使いの実力が反映される。

優れた業血司使いが召喚術を使えば、呼び出してもその生物本来の実力を発揮できるが、業血司使いの実力が低いと、呼び出された生物の実力も低下してしまう。

つまりその生物は本来の実力を発揮できないのだ。

また、召喚された生物には呼び出しておける制限時間があり、ある一定の時間を経過すると元いた場所へ戻ってしまう。

その制限時間は、呼び出す生物の力量や種、召喚術の出来で決まる。

召喚術で召喚された生物は、その戦闘で命を落とすことはないが、致命傷やダメージが蓄積すると、制限時間が残っていても元いた場所へ戻ってしまう。

召喚される生物はその召喚を拒むことができる。


「ま、こんなところじゃな。まあ、絆があればよっぽどのことがない限り駆けつけてくれるから、召喚を拒まれることは滅多にないがのう。絆があればじゃが」

「うんうん」

「ま、実際に見た方が分かりやすいかのう」


目を輝かせながら頷く健治と秋司を見て浮符鄔は召喚術を見せることにした。

浮符鄔はある空間から何かの小さな毛(ささえこまリスの毛)を取り出した。


「では、ゆくぞ」

「・・・」


浮符鄔の掛け声を聞き、秋司と健治は唾を飲み込み、じっと浮符鄔を見つめる。

浮符鄔は左手の親指と人差し指で小さな毛を掴み、左腕を胸の前の位置で伸ばした。

そして、右手で召喚術の基本図式、星形、三日月形、ハート形を順に描いた。

すると・・・。


「おぉー・・・。じいさん。何も起こらないぞ」

「・・・。浮符鄔さん・・・?」


何も起こらなかった状況を見て、輝かせていた目を薄くしながら健治と秋司が順に声を発した。


「もしかして、来てくれなかったのか?」

「・・・。ま、まああれじゃ。今は緊急事態じゃないからのう。あやつもそれを分かっていて来なかったんじゃ・・・」

「嘘つけー」


目を薄くしたまま、健治は質問を投げ、浮符鄔の答えを聞いても薄めた目は変わらなかった。


「浮符鄔さん。もしかして昨日一緒にいたリスとムササビも召喚術で浮符鄔さんが呼んだんですか?」

「うむ。そうじゃ」

「もしかして、あの熊もか?」

「うむ。ごまきちもわしが召喚術で呼んだのじゃ」


す、凄い。

毒を抜いたり、結界を張ったりできる生物を呼べるなんて、やっぱり浮符鄔さんって凄いや。


「次は変身術についてじゃの」


変身術は大きく分けて二パターンあり、一つ目は見た目や声を変えるもの。

存在する誰かに変身することも、自分の頭に浮かんだ姿に変身することもできる。

そして二つ目は見た目だけではなく、その変身した生物の力を使えるようになるというもの。

しかし、二つ目の場合は制限時間があり時間経過で変身が解ける。

変身術の制限時間は召喚術の制限時間よりも基本的に短い。

同じ生物を召喚、またはその生物に変身する場合、召喚術の制限時間が五分だとすると、変身術の場合は一分程度になる。

当然、術の練度や得意不得意で変化するが。

さらに、召喚術と同様に、二つ目の場合は変身する生物のものが必要になる。


「変身ーー。カッケーー。けどじいさん。それなら召喚術で召喚した方がいいんじゃね?」

「ほっほ。それは時と場合によるじゃろう。その生物ではなく自身がその力を使いたい場合や召喚した生物との連携が上手くいかない場合、それに絆が浅く、呼んでも来てくれない時などは変身術の方がいい場合もある。そもそも、召喚術と変身術を同程度扱えるわけでもない。得意な方を使う場合が多いじゃろう」

「なるほどー」


健治は浮符鄔の答えを聞いて、深く納得した。


「まあ、変身術も見せてやろう」


浮符鄔はまず見た目や声だけが変化するパターンの変身術を行った。

基本図式に三つ葉、ひし形、ハート形を順に描き、発動図式に丸、三角、四角を順に描いた浮符鄔。

すると・・・。


「浮符鄔さん・・・。あー、り、リスになっている」

「本当だー。すげーー」


突然姿を消した浮符鄔を呼びかける秋司。

しかし、視線を下げると、ささえこまリスになった浮符鄔の姿があった。

その姿を見て驚く秋司と健治。


「これが一つ目のパターンじゃ。見た目や声だけが変化する変身術じゃな」


浮符鄔さん、いつもより声が高い。

昨日いたリスと同じくらいの高さだな。


「次に二つ目のパターンじゃ」


浮符鄔は元の姿に戻り、今度はさっき召喚術に使っていた小さな毛を取り出し、召喚術の時と同じ体勢になって構えた。

基本図式に三つ葉、ひし形、ハート形を順に描き、発動図式にひし形、五角形、六角形を描く浮符鄔。

すると、浮符鄔はさっきと同じようにリスに変身する。


「二つ目のパターンは、変身した生物の力を使えるのじゃ。今から見せてやろう・・・」

「おうっ。見せてくれよじいさん」

「浮符鄔さんっ」


浮符鄔の言葉を聞いて、目が輝きだす健治と秋司。


「・・・。だ、誰か毒にかかってくれんか?」

「はっ・・・。か、かかるかー。自分から毒にかかるわけねーだろー」


浮符鄔が小声で尋ねると、健治は大声でツッコんだ。


そういえば、あのリスは毒を抜く力があるんだったよね。


秋司は昨日のことを思い出した。


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