【1話 襲撃一夜】
阿久津組の壊滅後の地に一人立って居た
漢が居た。
喧嘩士としての歴史や逸話を持つ第四の
銃士とも呼ばれる男が居る。
パワーボムの鰒谷である。
金剛力士像の様な分厚い筋肉鎧と巨躯な身体の身長は優に273cmはあり肩幅,筋肉量,周位などから体積を推測するに640kg以上は間違い無く
あるであろう,そんな人型の殺戮兵器かと思う
ほどの重圧を放って居た。
「お前さん,阿久津組のもんだよな,,,
すまんかったの,ワシらにもワシらの正義が
あるんだ」
「,,,」
血涙を流して居る,そんな事を認められる
精神状態になかったからだ,拳を強く握る,
爪が突き刺さり掌から血が滲み出るくらい
強く。
「お前達を決して許すことはないだろう,例え
それが理屈の通った正義だとしてもな!」
武尊は叫ぶ。
「あぁ,いつでも掛かって来い,その都度相手に
なってやる,なんならこの地を約束の地と
しようか」
そう言い去り大き過ぎる,あまりに大き過ぎる
其奴はこの地を去った。
「俺は更に強く成る,父さん」
屍と血と泥の匂いが充満する地に復讐を
誓い建てた後,早速に肉体を極め続けた。
「しゅっしゅっしゅっしゅっ」
部位鍛錬,指先,人柱,爪の先に至る身体全身を
隅々まで鍛え続けた。
無茶な筋肉トレーニングや姉御から教わった
世界各国の暗殺術をとにかく繰り返し続けた。
果てなく肉を鍛え続けた末に過労死寸前,
筋肉断裂,疲労骨折,身体全身が生に執着して,
意識が死ぬのを防ぐ,生きて居るのが奇跡,
そんな首の皮一枚の状態で生死の
狭間,三途の川を渡りかけて居た。
「死ぬのかしら?こんな若さで,私は早死にしろ,
だなんて言ったつもりはないわよ」
お姉様が言う。
「姉様!何故,何故貴方がここに」
「アンタが今危篤だって聞いたからよ,
地獄から這い上がって冥府の番人をぶっ飛ばして来たのよん」
「相変わらず武闘派ですね」
「そんな事よりアンタ!,身体よ身体」
「死ぬんだったら死ぬで,父さんの元に
帰れたらそれでも良い,,,かな」
「自分が建てた約束すら守れないの!」
「,,,⁉︎(そうだった,そうであった,俺は,
俺は!約束した事すら,,,)
復讐すら殺意が塗りつぶしてしまい,
忘れてしまって居たのだ。
「ふふ,良い顔になったじゃないのよん」
「姉様いや姉御!」
「アンタはアンタの道を極めるのよ,
約束を大切にしながらアンタはアンタの道を
一番に大切にするのよ」
雄であり,雌と成るべくして道を歩んだ
姉御だけに許されるあまりにも説得力に
満ち溢れた発言だった。
次の瞬間,武尊は目が覚める。
「あれ,俺の身体,何故筋断裂は超回復してるし,
骨折は治ってるとは言えないが,良くなってる,
鎖骨,肋骨,肩甲骨,背骨,,,ヒビが無くなって居る
では無いか」
阿久津武尊の精神すら澄み渡りスッキリと,
して居たのだった,晴れ晴れとした,
斉天大聖の姉御は天晴れ成り,,,っと。
そこからは,肉体の耐久性と体力を考えて,
計算と仮定しながらスケジュールを組み立てて,
肉体の練度を効率的に強くし続けたのだった。
そうして,修行を繰り返した阿久津武尊は,既に
肉体は極地として成ったのであったそれから
同刻,暗殺術も同様に境地と至る。
「さぁ,お父さん,僕はやるよ」
そうして武尊は足を進めて,進め,着いた先は,
アジトであった。
「遂に来たか,凡」
「あぁ,巨漢」
禍々しい殺意に満ちた男と,荒々しいまるで
大海の津波の様な雄の気迫が打つかり
あって居た。
14歳にも関わらず阿久津武尊は身長195cm,120kgくらいあるガタイであるにも
関わらず,
次の瞬間,最初に動いたのは鰒谷だった。
「フン!」
直線にぶっ飛ぶ拳,
[巨漢の巨腕/GIANT・CHIRES]それは
あまりにも巨大な拳だった,次の瞬間。
とてつもない風圧が巻き起こる。
「ショア!」
暗殺術居合の型[風空魔/STORM・AVOIDANCE]19.5m/sの攻撃速度による
0距離ですら10トンを超えた一撃を
避ける。
軽やかにストンと空を舞い地に足を付け
避ける。
「ふむふむ(今の軽い動きだけでも分かる,
腰を引いて空で身を捻り上げてインパクトを
発散,そのまま地に着地する際五点設置法で
着地したか)」
それはあまりにも簡単に行われた工程だが,
その中には血の滲む努力を移す美しき
フォームであった。
それを見抜く洞察力もまた,逸品のもので
あろう。
「お主を今から[好敵手/RIVAL]として,
認めよう]
「ライバル,,,ねぇ,唯一この組でもまだマシな
部類のお前だからこそ,楽に殺してやろう
だなんて思ったが,貴様には失礼だったな」
次の瞬間,爆破した速拳が鰒谷の頑強な
顔に弾ける。
「ムグォ(早いな,サバンナで見たチーターより
ずっと早い)」
常人が行ったなら,余裕で内蔵にダメージが
入るであろう速度。
皆は極限と言う数学的概念を知って居るだろうか,3分の1+3分の1+3分の1の答えが1となる,
だがしかしそれは0.9999,,,=1を許容する
ものとなってしまうものを。
極地と境地にも同じ事が言える,高めた最高値の極地でも本物《境地》には至れぬものである。
量子力学的にも言える話だ,ビッグバンが
無から形成した時,それは0=1では無く,
仮想粒子とその発散から生じた有限である
のと同様の話を言えよう。
今阿久津武尊の瞬間的に出したパンチの
速度とは[約340m/s/339,999,,,m/s]
限りなく音速に近い速さ,超亜音速に昇格
して居た。
「オラオラオラオラ!」
「グヌッッッッ⁉︎」
その連撃を前にして佇んで居た,まごう事なき
強者たる阿久津武尊を前にして,鰒谷白竜は
喜び満足感に満ち溢れて居た。
前衛的かつ先鋭的なその身体能力,時代に先駆けている,既成の概念や形式を打破した革新的な
肉の強さ。
だがぁ。
「フン!」
「な⁉︎」
バゴーン,重苦しい一撃が脇腹に
一撃当たる。
「ウァァァァ!」
一般人,常人の限界を超えて,強い力を
発揮する筋肉のバネは骨を折りながらも,
受け身を受け取って見せた。
「はぁっはぁっはぁっチィ!(たった一撃で
鎖骨にヒビが入ってやがる,それに直撃を
捻って免れたとは言え代わりに受けた大胸筋,
完全に削げてやがる)」
筋骨隆々だなんて言葉すら生緩い,それは
原始時代的な美しいフォルムは,完璧な
機能美に満ち溢れた良い筋繊維,筋肉質
,骨格をして居た,故にして簡単に
修行と言う歴史を踏み砕いて,鰒谷の拳は
阿久津武尊の皮肉骨臓物を砕く。
「はぁっはぁっはぁっフー」
肩で息をして居たが,集中して息を整える。
奴との距離を目測から測る,野球選手が
ボールの来る場所をタイミングや反射から
受け止めるが如し空間認識,状況把握能力を
使い完璧に測る。
「(丁度120m程度か,あいつの身体なら
は?)」
肩には巨大な手が乗っかって居た。
「気づけなかったかな?」
べチーンとパワースラップの選手ですら1撃に
気絶する様な鞭打を放つ。
「ヌゥ⁉︎」
クルンクルンと中を舞いながらダメージを
軽減させる為に筋肉を急弛緩してインパクト
を0にして転がりながら地に伏せる。
「はぁクソッタレ!(あの巨躯なナリで
なんちゅう速さしてやがる!)」
鍛え上げられた阿久津武尊の速さは,
一番嫌な最低の向かい風や環境湿度,筋肉や
骨格や神経伝達速度的問題,重力とは別に,
空気抵抗が邪魔する秒速12mを超える科学的
不可能性,反射神経を加味した上で,スマートに鍛え直したしなやかな筋肉は100mを
9秒50と言う速さを実現する。
だがしかし奴の速さはまるで鞭の先端の
様な尖った推進力を持つ速さを実現する。
繊細にしてその高い推進力を風圧すら発さない,
精密動作精度すら,白竜の実力の高さを浮き彫り
にする。
「ははは!来いよ鰒谷!」
「我に比肩出来様実力!足元に辿り着くなら
その実力で我を捩じ伏せてみろ!」
[零距離打撃/ZEROINCH・PUNCH]
それですら10トンに行く腕力,ただ大振りに
拳を振るだけで鉄壁を打ち破る上に19.5m/s,
Jに変換して[1,901,250J/190万1250J]
TNTに変換して475.3gに登る。
そのあまりに巨大な,前腕120cm,上腕二頭筋三頭筋合わせた上腕周位150cm,掌なんか一般的に見ても大きな20cmの5倍,100cmに
登り,親指175mm,人差し指208mm,中指231mm,薬指216mm,小指170mm閉めたら60cmの拳と化す,掌や腕周りの個々の
これらの太さや平面では無く,腕の一本
として前ならえした,間接を含めた両腕の
長さ,その実全長にして250cmのその巨腕から放たれし一撃は!,,,。
「ガハ!」
「ハァ!」
反撃の一撃に利用されたのだ。
「オラァ!」
「グゥ」
合気道の流と,相手の動きを予測する高い
洞察力から見た拳を反射して,対象からもろに
受けたインパクトを反撃に応用したのだ。
「くっ(バク宙や倒立を軽々と決めるあたりは
ただ軽やかな肉体と体幹が強いだけでないと,
能力の高さを物語っていたが,まさかそれを
反撃に使うとは)」
「フゥハ,ハ,ハ,ハー,,,っしゃ!」
完璧に決まった,人柱に一撃に,片腕だけで
軽々とパワーリフトに使用される500kgより
遥かに重い鉄塊を持ち上げられる程に
強い腕力,にも関わらずそのインパクトを
跳ね返したんだ。
驚愕,その一言が事実を俯瞰させる。
「クゥ(それになんて蹴りの切れ味俺を
削ぎやがるのか⁉︎)」
異質な肉は牙や爪,打撃を通さず,あまつさえ
刃,金槌,銃弾すら防ぐにも関わらず。
「チッたぁ効いてるかな?」
「こいつぅ」
両者,パラメータにして得ては違えど,
総合戦力は互角なり!
「チェリャー!」
ムエタイ?否,ボクシング?否,どれとも異なる
フォーム,洗練されて居るそのフォームは,
シャコの様であった。
22.22m/s,時速にして80km,その速さから
繰り出されたシャコパンチは発勁に
ストレートを乗せた様な技術,その名は。
[鉄拳/LRON・KNUCKLE]
彼には,鰒谷白竜には逸話があった,それは
最もな至近距離よりは少し幅を開けて,
超至近距離,戦車から砲撃されたマッハ5に登る,1.62KgのTNTに相当する徹甲弾を真っ向から放たれて返り討ちにしてそのまま戦車を1撃にして廃車にしたと言う逸話を。
その一撃を与えるに値したと言うことなのだ。
「来るか!ムグゥ」
「ガハ!」
勝者は,,,反撃を恐れて隙を生んだ白竜に
より幅の広い反撃を拡張して即座に打ち込んだ
阿久津武尊の勝利に終わった。
「ヌォォォォォ(視界が揺れる,吐きそうだ)」
「グハァァァァ!(首に一撃!綺麗に入った!)」
丸太の様に,四足歩行の野獣の様に,あまりに
分厚すぎる衝撃波を通さない,そんな首を
揺るがして,脳震盪を引き起こしたのだ。
ついにして,第一歩を歩むのであった。
「はぁっまずは,回復だ,そうで無くては,
身体を癒さねば」
阿久津武尊は歩み,アジト近辺の森林に
隠蔽工作をしたキャンプにへと帰った。
約1時間にも及ぶ激闘により受けたダメージは
計り知れないものがあった。
素晴らしく均衡とバランスの取れた黄金比,
失われた原始時代の人類の持ち合わせていた
武力にすら匹敵する素晴らしい機能美を持つ
ギリシャ石像を思わせる深々としたパックリ
割れた筋肉と分厚い重装甲。
異常発達とも言えよう長く太い腕を持つ,
あの白竜と言う一人の漢に思いを馳せながら
眠るのであった。