第7話 法王様と勇者様が来たの~~
嬉しい報せがあった。フランク商会に依頼していた。シスター様のドレスと宝石を買い戻すことが成功したのだ。
「おう、メアリー、依頼のあったイザベラ様のドレスと宝石、みつかったけ。解体される直前だったそうだけ」
「フランクの親父さん。有難うなの~~、グヘへへへ」
「うわ、悪い笑顔だな。何故だ?」
これで、褒めてもらえる!頭、ナデナデしてもらえるの~~
これで、普通の孤児に戻ろう。
いや、アカン!アカン!一番年少のミヤちゃんが渡すって決めているのだ。
「メアリーお姉ちゃんが渡しなよ」
「そうだ。これは、メアリーの手柄だぜ」
「トム、ミヤちゃん・・」
「ところでよ。今日、偉い人がお忍びで来るんだわ。メアリー、案内してくれねえか?」
「えー、メアリー孤児なの。幼女なの~」
「劇の発案者に会いたいとのことだ。どうも、異世界の劇に似ているらしいぜ」
「夢で見たの~~~」
「メアリー!大変、すぐに来て!」
その時、孤児院の留守番組のマリーちゃんがやってきた。
「大変、孤児院に、王子が来たよ!あと、貴族と騎士達!シスター様を取り囲んでいる!」
「フガー行くの~~!」
「おい、今日来るお方は、法王様だぞ!」
「知らないの~~~!」
「俺たちも行くから、って、法王様をお迎えしなきゃならねけ。持ちこたえろ!誰でもいい。若い者を連れていけ!」
「分かったの~~」
私は、ドレスと宝石を抱えて、孤児院に急いだ。緊急時は、拙速だ。朝令暮改だ。
途中で、若い衆を捕まえる。
しかし、今日はあまり人がいない。
「あれ、メアリーちゃん。どったの?」
「ジミー来るの!」
「ほい、来た!」
手駒は多い方が良い。
モロ出し芸のジミー、役に立つか。いや、こういう輩は、いざとなったら、強い。強くあってくれ。
あ、キツネおじさんだ。
キツネの着ぐるみに、首の所から、目と鼻を出している。バックを、前に抱えている。キャンディー売れている所、見たことのない謎のおじさんだ。
この際、誰でも良い。
「キツネおじさん来るの~~」
コク
「・・・・・」
私は二人を連れて、向かった。
孤児院では、喧噪が響く。
シスター様の声だ。
「・・・ですから、この事業は、私がどうにかして良いものではございません」
「金を都合しろ。でなければ、税金を掛ける!」
「それは、女神教会に、敵対する行為になりますわ!」
「おい、イザベラ、もう、平民なのだから、俺たちと対等じゃないぞ。平伏して、話せ!」
「マックスの言うとおりだ」
「出来ません。私はシスターです!」
・・・どうやら、王子は、お金をせびりに来ているらしい。
あれ、あの女は、この前、炊き出しで来た女だ。
「ヒドーイ。お義姉様は、私にマナーを学べって言っていたのに、自分は、無視ですか?」
この女、この前と話し方が違う。違和感がある。
「あ、この前の幼女!そのドレスと宝石を寄越しなさ~い!」
しまった。策も無しに、王子の前に立ってしまった。
ジミーは?
ガツン!
「ギャア!」
騎士に蹴られて伸びた。そうか、やっぱり素人だった。
しかし、来てくれて有難う。後で治療をしよう。
キツネおじさんは?
「・・・・・」
遠巻きに、見ているだけ。
そうだろう。そういうキャラだ。
「メアリーちゃんに手を出さないで!」
「生意気な女だ!マックス、この幼女から、ドレスと宝石を取り上げろ!」
「御意!」
「メアリーちゃん!・・ガハ!」
パチン!
え、シスター様をビンタした?あの王子の格好している奴が・・・
その時、頭が真っ白になった。
頭が回る。あれ、この光景は、何だ。灰色の建物がある。ガラスの建物。
何かが浮かぶ。あれは・・・仕事で、○ヤと対峙したとき。
私は、黒髪の女。
自然と言葉が出る。
「クククク、法王権王権相衣なりなの~~つまり、平等なの~~、シスター様を平伏させることはたとえ陛下でも出来ないの~~~貴族教育で習わないの~~~!」
「何だと!何を言っている・・」
「意味不明だわ!」
「女神教会に課税も出来ないの~~~、貧困ランドは、軽減税率で、王国に届け済みなの~~、付随事業なの~~~、階級の垣根を越えて、友愛の心情を築く。女神教教義の布教の一環なの~~~」
「何を言っている!」
「むずいことを言って煙に巻くのね!」
「つまり!シスター様に謝罪しないと、法王権の発動がされるの~~~!破門なの~~~!」
はあ、はあ、はあ、言葉が一気に出た。
「何ですって!私は転生者よ。転生者は優遇されるわ。女神教会は莫大な富をため込んでいるわよぉ、だから、少し、私たちの事業に融資しなさい!」
「馬鹿なの~~、女神教会は、直轄地を聖王国にし、後は、布教地から、10パーセントの税を取るの~!
それは、災害の時に、教会を開放し、民を救い。普段も、貧困層に、炊き出し、教育をしているの~~~
日本の~金儲けが目的の新興宗教と一緒にするな。なの~~~~!」
あれ、ニホンとはなんぞや。
ダダダダダダ!
「メアリー無事か?」
フランクの親父さんが二人連れてきた。
痩せた老人と青年だ。
老人が、私に向かって、話しかける。
「そこまでだ。見事な口上であるぞ」
「誰だ?!」
痩せた老人と青年、老人は、白髪の眉毛が目まで隠れている。まるで山羊のようだ。目が見えるのか?
青年は、金髪碧眼の絵に描いたようなイケメン、爽やかさんだ。少し、怒っている。
青年が、剣を掲げ。高らかに宣言する。
「ええい。静まれ!この聖剣が目に入らぬか。法王様なるぞ!っと、劇でやっていたな。まさか、実際にやるとはな。高位貴族なら、肖像画で、すぐに分かろうというものを」
「猊下!勇者様!」
ササッー
とシスター様は平伏した。
つまり、本物の法王と勇者?そう言えば、今日、お忍びで来ているとか言っていたな。
「ほお、可哀想に、シスターのホホが腫れているが、まさか、貴公が?」
「いや、その、この女が勝手に転んだのだ!」
ピカッ!
その時、キツネおじさんは鞄から、水晶を出した。水晶の光だ。え、映像が浮かびあがった。え、さっきの修羅場を撮っていたの?
☆
『メアリーちゃん!・・ガハ!』
パチン!
・・・・
まさか。
「こやつは、フォックス卿、法王庁のカゲだ」
「何で、こんな目立つ格好なの~~」
「こう考えないか?逆に、おかしいから、どこにいても、不思議ではないと」
「なんなの~~!」
「さあ、私は簡単な治癒魔法が使えます。シスター様、こちらへ」
ボア~~
おお、イケメン勇者だ。シスター様、惚れるか?
「あ、有難うございます」
「いえ、どういたしまして」
「国王に、土下座させることも可能ぞ。さあ、どうする?」
「すみませんでした・・・」
「ほお、言葉だけですむのか?それに、私に向かって謝罪しても意味がないだろう」
「・・・賠償します。父上には言わないで下さい」
「フン、このことは、国王陛下に言っておく。王位継承権、なくならなければいいがな」
「そんなー」
・・・・
「グスン、グスン、メアリーちゃん。有難う」
「「「シスター様!」」」
このドレスと宝石は、アドラー公爵家の女主人の証だろう。
そんな大事なものを、孤児院の運営のために、売ったのか・・・
・・・この後、私は、転生者判定試験を受けることになった。
「これは、何と読む・・・」
「分からないの~~」
「そうか、あいうえお、かきくけこ・・・と読むのだ」
「そーなのー」
本当に分からない。
「だが、まだ、覚醒していないのかもしれないな。確かに、ニホンと言った。しばらく、様子見だ」
「分かったの~~」
その後、ご一行と一緒に観劇し、
アドバイスを受けた。
「法王役は痩せた方がいい。宗教家で太っている者は、信用できない」
「はいなの~~~」
折角、裏組織を引退しようと思ったが、まだ、先だ。
「・・・・・」
そして、キツネおじさんは、まだ、いる。
最後までお読み頂き有難うございました。