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第4話 目玉事業なの~~

「メアリーちゃん!貴女が、友愛促進事業団の代表お友達をしているわね!何の商売をしているの!金貨が送られてきたわ!」



「実は~~~」


 本当の事を話した。欲しがり義妹メアリーは、話さない。フランク商会は、雑踏警備だから、まあ、嘘は言っていない。


「確かに・・・身分の垣根を越えた友愛の心情を築く・・けど、お金が多すぎますわ!」


「はにゃ、シスター様のお小遣いにすれば・・・」


 ガバッ!


 と抱きつかれていた。役得だ。ええのう。


「生活費は、教会から月に銀貨5枚もらっているわ。食費と住むところは経費扱いだから、心配しないでね」



「人を雇うの~~、通いで雇えば、シスター様のお祈りの時間が多くなるの~~~」



 結局、それで、折り合いが付いた。

 余分なお金は貯金で、教師や通いの使用人を雇う。


 正式な教師だ。教育終了の免状をもらうと、商会にも雇ってもらえるかもしれない。


 皆、必死にくらいつく。

 あのトムも鼻水を垂らしながら、頑張っている。


 良い方向に行くな。


 もう、奇妙な夢は見ないだろう。


 と就寝したら、また、ドワーフ帝国のような世界の夢を見た。

 今夜は二本立てだ。



 ☆☆☆夢



 ☆☆☆大学食堂


 アカデミーの食堂だ。

 鏡の中で人がしゃべっているのを、皆で見ている。




『カジノ法案反対です!ギャンブル依存症の対策はされておりません!現状でギャンブルを認めることになります!既に競馬もありますよね!』

『あの、パチンコは?』

『ギャンブルは絶対にダメです。私は反対します!!』

『だから、パチンコは?』




 ・・・・・


「カジノ?別に良いんじゃない?」


「いや、俺、K国のカジノに行ったことがあるけど、カジノの前に、人が屯っていたよ。代理打ちとか、席の売買で暮らしているらしい。

 K国でも所得で入場制限をしているけど、普通に地元の人が入って、高額なギャンブルにどっぷりはまって、社会問題になっているみたいだね。

 アメリカのように、砂漠のど真ん中に作るとか・・・しないと、日本では難しいかな」


「うわ。日本は、パチンコだらけ。江戸時代は賭場があったし、この国はおかしいよな」


「でも、江戸時代の賭場は、賭けすぎる人には、親分さんが、小言を言って、帰らせたそうよ。狭い共同体だから、破産したら、もう、これ以上お金を落としてくれない。

 持続可能な搾取を目指していたそうよ。

 それを、江戸時代の儒学者が、勘違いして、義民伝とか書いたみたいね」


「ふ~~ん」




 ☆家


「星子、インターネットで検索してくんろ」

「大爺ちゃん。何を?」


「国会図書館じゃ。ワシが、戦後、発刊した雑誌が載っているかもしれんのじゃ。老人会で聞いたのじゃ」


 え、大爺ちゃん、カストリ雑誌を刊行していた?


「おほ、さすがに、内容は載っていないが、表紙と目次だけみれるのう~、長生きするものじゃ」


「うわ。下宿生と未亡人・・・怪奇!東京の森でコウモリ男現る。美女の血を吸う・・・これ、曾孫に探させるものじゃないよ」


「ホホホ、エロ、グロ、ナンセンスが大衆娯楽の基本じゃ。最近のアニメつうのも、これを上手く隠しているのじゃ。

 異世界に転生する?ナンセンスじゃ。

 グロ、ほら、モンスターと戦うじゃろ?

 エロ、神官なのに、太ももさらした可愛い子ちゃんが出るだろ?エロじゃ」


「じゃあ、大爺ちゃんが見ている時代劇は?」


「ワシがいつも見ている時代劇も、エロ、グロ、ナンセンスがぎっちりつまっとるぞ。

 いつも、女忍者が、お風呂に入るシーンがあるじゃろ。エロじゃ、

 最初に、身分を明かせば、事件解決なのに、何回も悪者を懲らしめている。これも、ナンセンスでグロじゃ」


 ・・・うわ。よくGHQに捕まらなかったな。







 ・・・・・・・




 チュン♩チュン♩


「何で、こんな夢」


 と思ったが、今日は、フランク商会の幹部会だった。


「おう、資金が集まった。カジノをしようと思うちょる。皆の意見は?」


「「「「賛成じゃ!」」」


「反対なの~~」


「メアリーの姉御、どうして?」


「持続可能な搾取にならないの~~、私の実家でも、カジノ失敗しているの~~、カジノは、王都では狭すぎるの~~」


「おう、でも、資金は、グルグル回さなければ、いずれ、頭打ちだぜ」


「任せるの~、大衆娯楽の基本は、エロ、グロ、ナンセンスなの~~」


「頼りにしているぜ!」





 まずは、夢で見た時代劇を、この世界にカスタマイズする。

 何だ。珍妙な姿だった。髪型は壊滅的だ。


 偉い人を法王様にしよう。勇者様、聖女様、聖騎士を出して、女カゲを出そう。


 王都の有名な脚本家に依頼したが、


「オ~ホホホ、貴女の拙い原作を元に書きましてよ。女優、俳優も決まっておりますの。紹介料を頂きますわ」


「・・・何これ、恋愛要素がてんこ盛りなの~~、お金払うから却下なの~~」

「まあ、何ですって、つまらない原作を、面白く差し上げましてよ!」



 困った。ギルドに依頼を出そう。演劇ギルドで募集してもらったが、やっぱり、皆、似たようなものだ。


「フン、素人が!」

「素人なの~~、だから、仕事を依頼するの~~」


 ・・・この気位に高いおっさんにワナを仕掛けよう。


「実はなの~~~・・・」


 ワザと不評な劇を作って、失敗させる。理由は、手抜きの劇を作って、出資金の差額を懐にいれるためだ。

 そんな感じで説明した。


「ほお、なら、リードに頼んでみろ。奴は哲学がない。失敗間違いなし。王都三番辻にいる」


「有難うなの~~」


「おい、紹介料を寄越せ!」


 プィとそのまま去った。





 ☆☆☆王都三番辻



「ここか。小汚い部屋なの~」


 コンコン!


「あのお仕事をお頼みしたいの~~~」


 小太りの男が出てきた。30歳前か?


「はあ?何で子供でござるか?貴公、ゼクトの紹介?何て聞いてきたでござる」


「金さえ積めば、何でも、書くと聞いたの~~~」


「去るでござる。子供の演劇の台本を書くほど、落ちぶれていないでござる!」



「分かったの~~~」


「ま、待つでござる!拙者、仕事を受けなければ、今月の家賃が!」




 ・・・・・


 仕事を依頼した。

 こいつは・・・・よく分からない。



「異世界の手法でござる。有名なクロダ監督でござる」


 ・・・何々、異世界人とな?


 時々、この世界に現れる。転移者はすぐに分かるが、少数民族と間違える場合がある。

 厄介なのは、前世持ち・・・この世界の住人と見分けが付かない。

 異世界の知識で、善いことを行うときもあれば、騒乱を起こすときもある。

 まあ、私には関係ないわ。






 ・・・クロダ監督は、初期の頃は、大根俳優を主人公に依存したエイガを作っていると批判もされたが、


「そうなり、そのうち、俳優が『えっ』と思うような撮り方になったでござる。舞台に白線で印をつけて、この印の位置で、俳優に演技を指示したなり。大勢の人がゴチャゴチャに混じっても、綺麗に何を言っているか分かるようになったという逸話があるでござる」


「つまり、何なの~~」


「俳優に依存するやり方、演劇をシステム化するやり方、我は両方出来るなり!」


「まあ、書いてみるの~~~」




 ・・・




 書かせたが、これが、正直、良いものか分からない。


「女カゲの湯浴みシーンをいれるの~~~必須事項なの~~」

「ヒィ、分かったなり」


 そして、書いた脚本を、シスター様に通して、女神教会の許可をお伺いした。


 ・・・・



「ほお、これは、布教になる。しかし、湯浴みシーンはカットじゃ」

「はい、法王様」


 ・・・



「湯浴みシーンはカットなの。女カゲさんのアクションに切り替えるの~~」

「ヒィ、分かりましたでござる!」


 だいたい、形が出来てきた。


 そして、並行してお願いした演劇ホールの着工を視察しに行く。


 夢でみた屋根付きのドームのように、半円状。収容人数は300人、立ち見を入れれば、800人ってところか?


 カン!カン!カン!


「姉御、大丈夫ですかね?それこそ、演劇場は王都に沢山あります」

「分からないの~~」



 およそ、準備期間は半年間、私は孤児の勉強とかもあるから、体がいくつあっても足りない。


「お嬢様!」

「アン、私を助けて欲しいの~~」


 元ゼータ伯爵家使用人達を雇った。

 子供では無理なところがある。


 友愛促進事業団の事務室は、孤児院の空き部屋だ。

 狭いし、男が出入りしたら、シスター様の気が休まらない。

 まとめて、ドバッとやりたいな。


「おう、メアリー、貸家がある。使え。家賃ただじゃ」

「有難うなの~~」


 親分さんから、平民の家を借りた。何でも、空家が多いと犯罪が多くなる。

 元、貧民家族が三世帯で入っていた家だ。

 今は、豊かになって、それぞれ家を借りているそうだ。


「リードもここに来るの~~」

「ヒィ、人は苦手でござる!」


 そして、契約の話をする。


「リードは、監督もするの~~、お給金を出すの。そして、おひねりの3パーセントを報酬で上乗せするの~~」


「分かったなり~~」



 ・・・・


 役者を集めた。

 イケメン俳優は希少だ。悔しいが、騒乱師ジミーを雇った。


「チン出しをしたら、モグの~~」

「へへへへへ、仕事以外で出しませんぜ」



 女の子は、冒険者ギルドで募集、


「え、演技、全然できないよ」

「この衣装を着て、蹴りが出来ればいいの~~」



「魔道師さんは、紙吹雪出来る?」

「出来るけど、何のシーンに使うの?」

「ドレス、脱がされて、紙吹雪で逃げるシーンなの。ドレスの下に、お服を着るから大丈夫なの~~」

「キャア、でもまあ、三流魔道師だからやるわ!仕事をね。もう選べないのよ。グスン」



 と女カゲは順調だ。稽古日は、日当、銀貨一枚と大銅貨5枚、興業日は、一興業銀貨2枚・・・


 そして、まるごと、一座を買い取った。零細の旅一座だ。主に、有名劇団にモブとかを派遣しているそうだ。家族でやっている。ここにもイケメンがいる。


「どうも、クロウ一座でございます」

「お願いなの~~~」


「監督、興業日まで、仕上げるの~~~」


 何か、見落としはないか?


 と思って考えていたら、夢を見た~~




 ☆☆☆夢



『北海道ドームの問題です。大日本ソーセージが移転し、今後の収支に懸念が表明されています・・・』



「何で?サッカーチームがあるじゃん」

「星子、私、地元だから分かるけど、サッカーって、あんまり試合しないのよ。週一かしら。しかも、サポーター来ないから、どこも赤字だそうよ。まだ、北ドームはいいわ。天然芝を入れ替えているから、他は、芝生の養生のために、貸し出しをしない日が多いのよ」



 ・・・・


 ガバッ!


「大変だ。週一興業を予定していたの~」


 興業は、やはり、フランク親分だ。


「よ~し、任せておけ。空いている日は、伝手を頼り。芸人を呼んだり出来るしな」


 そして、冒険者ギルド、新人講習会の会場で貸出し。下水道ギルドの展示の貸し出しも計画をした。


 王都ボロ街貧困ランドだ。

 貧困がテーマの劇をやる。それで、各劇団にコンペを依頼したが、やはり、来たのは名もない旅芸人一座ばかり。


 王都の有名劇団は、鼻にも掛けない。

 だが、それで良い。


 客が来れば、いいのだ。




最後までお読み頂き有難うございました。

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