第3話 王都ボロ街貧困ランド、誕生なの~~
やがて、同業他商会が現れた。
私たちと同じ事をする。世の常だ。
売り上げが減ってきた。
「どうする?姉御!」
「迷ったら、安全第一、品質第二なの~~~、売り上げは第三なの~~~」
・・・あれ、この言葉は、どこで知ったのだろう。
「おう、具体的に、どうするんでぇ?」
まずは、安全、こちらは、裏組織、犯罪のノウハウがある。
犯罪者は犯罪者が分かるのだ。
シマに、本物の犯罪者が来ないように、こちらも、ゴロツキで見回り。
「おう、コラ、お前、どこの者だ!」
貧民街に来る客を狙ったスリを摘発、
「ドブ川に柵を作るの~~~!」
「「「はい、姉御!」」」
「魔カエルの売人は、逮捕なの~~~」
「「「はい、姉御!」」」
うん?
「親分さんのしのぎに、魔カエルはないの~~~?」
「ドラッグはやらねえ。結局は、売人もキメるからな。商売は、依存症に依存しすぎると危険じゃけえ。バランスが大事だな」
「そーなの」
段々、裏組織のしのぎが、分かってきた。雑踏警備の名前で、屋台、個人商店、娼館、立ちんぼの娼婦からのショバ代、賭場や、興業、債務の取り立てだ。多角経営というのか?
・・・・
「ヒィ、お前らも、ゴロツキなのに、何故だよ!魔カエル売らせろよ!上納金を渡すからさ!」
「フン、娼婦を抱くのはいいが、マザーファッカーはいてはいけないの~~~」
「何だよ。その理屈は!お前、何歳だよ!」
魔カエル、これを舐めると、幻覚状態になる。依存性が高い。
安全なダークな遊園地、それが、コンセプトだ。お客様が間違って、買ってしまっては、目も当てられない。
そして、演技に磨きを掛ける。
「「「「おう、コラ、金出せや!」」」
「もう、一回なの~~」
そして、貧困家庭には、事情を説明して、身の丈にあった報酬を渡す。
結論は、一泊させて、銀貨2枚、これでも、すごい臨時収入だ。
裏組織は、警備の者も派遣しているから、まあ、妥当な取り分だ。
「はん。ゴメス商会の方が報酬いいぜ。金貨くれなきゃ、引っ越すぜ!」
「どうぞ、お好きになの~~~」
私が欲しいのは、分かっている貧乏人だ。
こういうのが見たいのだな。と分かって、金持ちの前で、貧乏人を表現できる。
悪いところと良い所、良い所あるか?良く言えば、人情、悪く言えば、お節介。
例えば、このゴメス商会に行った家族は、
『さあ、どうぞ!特別に、シチューと白パンをご用意しました』
『・・・・・え、そうじゃないだろう』
やはり、一日の長があるみたいだ。売り上げの下降は減り、やや上昇してきた。
貧民街に、人が押し寄せ。
皆、豊かになってきた。
ジレンマがある。
貧乏人でなくなるのだ。
すると、人は来なくなり。また、貧民に逆戻りだ。
「おう、メアリー、貧民を雇って、道と下水道、建物、諸々の整備をやろうと思ちょる。意見を聞きたい」
「・・・考えてみるの~~」
「頼りにしているぜ」
親分さんも、分かっている。
さあ、どうしたものか。
貴族は、貧乏人に何を望む?
私も率先して、ガイドを・・・
「メアリーちゃん。お昼寝の時間ですわ」
「はいなの~~」
したいが、孤児の身分では、限界がある。
ウトウト~
また、変な夢を見た。
☆☆☆夢
☆大東京ドイッチュランド村
野外の舞台で歌っているお姉さんの夢を見た。
「♩ヨ~レルヨーレルフォー、ヨ~レル、オホホ~~~♩」
うわ。綺麗な金髪のお姉さんが、歌っているけど、何故、ヨーデル?ドイツで、スイスに近いところは、ヨーデルを歌っているのか?
でも、ヨーデルはないだろう。
歌い終わったら、お姉さんは、確かに言った。
手を振り満面の笑みで、拍手に応えながら。
パチパチパチ!
「Thank you!Thank you!」
ドイツ語じゃないのかよ!
7歳の私は、世界の秘密を知った気分になった。
「星子、綺麗な歌声だったな。さすが本場だ。観覧車に乗ろう」
「グスン、何で、サンキューなの~~、ドイツと観覧車、関係あるの?」
「まあ、どこも、そんなものよ。お母さんもね。子供の頃、テレビの番組に、観客として行ったのよ。もうね。やらせだらけだったわ」
・・・・・
バサッ!
「うわ。これでは、飽きられる!その前に・・・」
私は、フランク商会に行った。
この夢で得られた教訓は、二つ。
貧困テーマパークの創設、
しかし、
演出も大事だが、リアリティの兼ね合いも大事だ。
フランクさんに提案する。
観光と割り切り。
貧民街の一角を、貧困層テーマパークにする。
貧民を雇う。
貧民に、それらしい貧民の演技をさせるのだ。
貧民街の一角を、塀で囲み。『王都ボロ街貧困ランド』と名前をつけた。
「まあ、やってみるか・・・・」
しかし、どうする?
☆☆☆夢
黒髪で、子供の姿だ。
やたらと、フレンズの単語が飛び交う。獣人族の動く絵を見ている。アニメと言うものらしい。
翌日、学校なるところで、同級生とその話題で盛り上がる。
「星子、このアニメ、すごいのよ。動物園をモチーフにしているけど、展示行動をしているから、面白いのよ!」
「展示行動・・?」
「あのね。ただ、動物を展示するだけではなくて、隼が獲物を捕る瞬間、ペンギンが、水中を泳ぐシーン・・動物本来の能力を発揮して、輝く瞬間を見られるのよ。山猫ちゃんが、リックちゃんに飛びかかるシーンはまさにそれですって!動物園の人が絶賛していたわ」
私もこのアニメが好きだったから、妙に納得したものだ。
・・・・・・
チュン♩チュン♩
「・・・展示行動か」
しかし、貧乏人が輝く瞬間って何だ。
「いつも、下を見て歩くの~~、お金が落ちているかどうか見ている感じなの~~~」
「「「はい!」」」
「ゴロツキが、違反行動をするお客様を注意する役なの~~~」
「「「はい!」」」
「フォローは、妙齢のご婦人部隊なの~~」
「「任せなさい!」」
・・・妙齢のご婦人、おば様のキャストの名前だ。
屋台はそのまま。
悪役屋台を登場させ。演技をさせる。これは、たまに貧民街に現れる名物みたいなものだ。
「この屋台、安いわ!」
「「「買おう、買おう!」」」
「へへへへ、毎度!」
そこで、正義の味方が登場する。
おば様だ。おば様は人の心の垣根を容易に跳び越える性質がある。
【ちょいと、お待ち!この屋台の肉はチューチューだよ!】
「しまった。バレたか!!ギャフン!」
「「「ええーーー」」」
「あんた達、気をつけなよ!見分けるコツは、異様に安い串焼きは要注意だよ!本物の屋台は、材料を見せてくれるよ!」
「まあ、勉強になりますわ!ご夫人、チップですわ」
「ご夫人だなんて、そんな。え、金貨!」
「ちょっと、待つの~~!」
チップに金貨、有難いが。ルールが必要だ。
裏方がいて、成り立つ。悪しき不公平が生じる。
「ルールなの~~~!」
一端、チップは集めて、キャストに公平に分配する。
このボロ街の入り口に位置している何でもストアー、ボロ屋を受け付けにして、テーマパークで通用する貨幣を用意する。
ドングリ良い子孤児院が作ったカードに、私のサインを入れた。
通貨単位は、メアリーだ。
これなら、外では通用しないから、キャストも、一端、上納しなければならないのだ。
・・・・・・
そして、更に、キャストの募集をした。
貧民街では、訳の分からない職業の人がいる。
例えば、キツネの着ぐるみを着た。全身キツネおじさんだ。
顔は、目と鼻だけを出し、キツネのお面を、まるで、騎士が被る兜のように、装着している。
「よろしくなの~~~」
「・・・・・・・」
無口だ。何も言わない。キャンディーを売っている。
調べたが、人さらいではない。
また、冒険者ギルド所属、ジョブ騒乱師が働きたいと来た。
イケメンさんだ。
「ウヒヒヒヒ、ジミーと申します。どうぞ、よろしく。私の特技は、チン出しです」
「却下なの~~~」
「ええ、どうして!たまに出るぜ!ってか歩いているぜ!」
「それは、賭けで負けて、身ぐるみ剥がされて、オケラになったおじさんなの~~」
何でも、騒ぎを起こしたいときに、裸で、ストリートを走るのが仕事だそうだ。無駄にイケメンだから腹が立つ。
後は、強制的に掃除をして、お金をせびる。ハタキおじさん。
ダメだ。小物だ。
これでも、収益はあるが、もっと、こう、ギュウと圧縮した物が欲しい。
目玉というのか?
最後までお読み頂き有難うございました。