9話 王都暴動
「そ、そんな。馬鹿な。全財産を失った・・・」
「オ~ホホホホホ、お客様のお帰りですわ。さあ、早く席を空けなさい!」
「こ、こんなの違法だ。私は負けたけど、正義の士が必ず現れる!」
はあ、馬鹿らしい。パチンコギアをギャンブルだと言い張るケツの青い貴族は、こうして、特号機ミドリで、沈めている。決闘を受けるのだから、こちらの土俵でね。
オモチャと馬鹿にした貴族をこうして沈めているのよ。爵位までかけて馬鹿ね。
そして、儲けの一部を使って、炊き出しよ。大銅貨も配っている。
配った奴らは、また、パチンコギアをやりに来る。
王国に巨万の富を生み出す魔法の遊戯、
「ミドリ、これで、王位継承権は万全だ。君のおかげだ」
「「「「俺たちも支えるぜ」」」
「フフフ、有難う」
皆と寝た。こちとら、年季が違う。テクでこちらの言うがままよ。
「ボロ街の支店、もうすぐ、開店だぜ。あそこは、要注意だ」
「ええ、マックス、警備をお願いしますわ。特号機を移して、あのメアリーに挑戦状を送るわ」
フフフ、そして、ボロ街の炊き出しは、残飯にするわ。
遂に、開店した。
どうやら、あちこちの裏組織のドンがメアリーを頼っているようだが、そうはさせない。
「特号機ミドリ、一玉、大銅貨5枚(5000円)を攻略したら、パチンコギアを廃業すると伝えなさい」
「はい、吟遊詩人に歌わせております」
この特号機は絶対に攻略できないわ。
店の一番奥に、デンと設置をした。
私は店に詰める。挑戦を受けるためだ。
メアリーが来るか?それとも、お義姉様か?
吟遊詩人で、宣伝をし、
3日間は、釘の設定を緩くして、味を覚えさせる。
「フフフフフ」
ガヤガヤガヤ~~~
「たくさん来ているわね。オスカー、隣の金貸しもお願いね」
「はい、準備万端です」
そして、4日目、通常に戻して営業をする。
遂に、本命、メアリーが来た。
「フフフフフ、メアリーが来ているわね」
「おい、孤児院のガキが来ているぜ。いいのかよ」
「ええ、遊戯ですから、構いませんわ」
さあ、特号機に来るかしら・・・・
店の奥で、ジィとのぞき穴から、確認する。
玉を借り。通常の席に座ったわね。
「大変だ!裸の男が、店の前で、踊っているぞ!」
「何ですって!」
☆店の前
「おい、貴様!何をやっているか?」
「え、私はジミーというケチな男でして!ポーズを取っているだけです」
「裸で公道にいやがって、衛兵隊に連れて行くぞ!」
「え、私は、裸じゃありませんよ。ほら、はいています!」
「何だと、パンツ一丁で、ワザと、裸に見えるようにしていたのか?馬鹿だな」
「しかし、捕まえろ!」
ヒュン!
「旦那様方、さようなら~~~」
「「「待て!」」」
・・・まあ、イケメンだわ。逃げ足が速い。
そうね。メアリーの仕業ね。
「メアリーは?」
「それが、大銅貨5枚分の玉を換金の景品と取り替えました」
「まあ、勝ったのね。一応、パチンコギアの点検よ。何かをしかけたかもしれない。ホールスタッフは、何があっても、店の中をでないことよ」
「「「はい」」」
それから、度々、店の前で、騒ぎを起こす輩が現れた。
「・・・・・・・」
「おい、キツネの着ぐるみ男!何をしている!」
「・・・・・・・・」
「おい、何か言え!」
☆
「ウワ~~~ン!ヤダ!ヤダ!僕の酒を返せ!」
酔っ払いに、
☆
お義姉様と、女神教会の聖女もやってきた。
店の前で、賛美歌を歌う。
「「「「ラララララ~~~~女神様の恵み~~~」」」」
女神教会だ。手出しが出来ない。
何だ。歌で、ギャンブルをやめさせる気か?
甘い。とことん甘い。
また、裸もどき男だ。
「ほ~ら、ほ~ら、旦那方!」
「どうせ、裸じゃないんだろう?」
「いえ、はいていません」
ポロリ、
「「「捕まえろーーーーー」」」
そんなことが続いた。
あれから、メアリーは来ていない。
ボロ街の住人達は来ているらしい。
やがて、売り上げは、上がっていった。
「今期、最高売り上げじゃない。この産業は、大金貨一万枚(1000億円)産業になるわ。日本だと、兆を超える産業だけど、この世界では、10分の1の市場経済と思えばいいわね」
「さすが、ミドリ」
「もう、勝負は決したわ。殿下、私は、会計士のところにいくわ」
・・・・
「パチンコギアの売り上げは、全支店連結をして、過去最高でございます」
「フフフフ、そうね」
「売り上げはです。しかし、その分、景品の費用がかかりますから、赤字です」
「何ですって!意味が分からないわ!」
「一応、景品問屋は、別商会ですが、そこの景品が店で提供している値段よりも高いのですよ」
私は、商会員の所に行った。
「ですから、ミスリルの景品を用立てています。景品交換所から入ってこないので、殿下が商会長ですから・・・法王庁が、ミスリルの統制をかけて、値が上がっています」
「意味が分からないわ!」
三店方式、パチンコギア店は、売り上げは最高、しかし、景品問屋から買う景品が高くなっている。
ミスリルの相場が上がって、外から用立てるから、赤字?
景品交換所は?
「それが、換金のお客様はほとんど来ません」
「意味が分からないわ。どこで、換金しているのかしら!」
いや、おかしくないか?売り上げは上がっている。
負けた客がいるハズだわ。
「ミドリ!大変だ!客が、パチンコギアをやっていない!」
ルスカ、パチンコギアを再現してくれた・・魔道師の息子、
「点検をしていたらさ。客のほとんどが、玉だけを借りて、換金用の景品と交換している・・」
「何ですって!」
つまり、玉だけを買って、ミスリルと交換、外の貴金属商に売りに行っている!
「気がつくの遅いの~」
「「「メアリー!」」」
フフフフ、大爺ちゃんが教えてくれたぜ。
『北京オリンピックの時に、金属の値段が高騰して、景品の価値が、外の業者に売る方が高くなったのじゃ。パチンコの玉だけを買って、そのまま景品と交換する輩が現れたのじゃ、現在でも、ほら、あれ、なんだっけ、動画でやっている奴おるぞ。今は、それほど、もうからんようだがな』
『馬鹿・・・なの?』
『依存症に依存する産業は、こんなものじゃよ』
・・・・
「メアリー!何て、違法なことを!特号機に挑戦をするんじゃなかったの?」
「しないの~、馬鹿なの。相手の土俵で勝負するのは、マンガの主人公だけなの~」
「マンガ、あんたは、転生者ね。人を騙して!キーーー」
ゾロゾロゾロ~~
「おい、ミドリ・・・」
「相手が多い。一端、引くぞ」
ボロ街の裏組織、他の裏組織に、貴族までいるわ。
「あ、パチンコギアがなくなったら、使用人たちが路頭に迷うわ。貴方が、やったことは、非道よ!今すぐ、やめさせなさい!」
「だってよ。使用人たちも違法なことで生計を立てていたってこと分かっているだろう」
「そうさ。俺たちも違法なギャンブルを行うが、自覚している。衛兵隊が来たら、サーと逃げる算段ぐらいしているわ」
「もう、いいの。ミドリは地獄行きなの~」
まだ、負けていないわ。
そうだ。景品を、高級ペンに変えれば、
「ダメだ。今度は、景品交換所に、殺到している。同じ商会のペンをどこかで、買っている・・・」
「それじゃ、それじゃ、このメダルを貨幣に見立てて」
「それじゃ、また、偽造されるよ」
「じゃあ、等価はやめ!」
「それじゃ、客が来ないよ」
「ミドリ、知恵の泉じゃなかったのかよ」
「私だけ、考えさせて!このボンクラども!やらせないぞ!」
「「「何だって」」
「ミドリは、僕だけじゃ・・」
ケンカ別れをした。
・・・・
炊き出しが出来なくなった。皆に説明だ。
「ミドリー、どうした。今日の炊き出しがないぞ」
「質が落ちているわよ!」
まるで、もらえるのが当然のように、思っている。
前世の記憶がよみがえる。
☆
『わたしには、社会権があるのさ。当然の権利だ!』
『はあ、では、働く気になったら、連絡を下さい。市役所に、通報が来ています。生活保護の貴方が、パチンコをしている。本当は働けるのじゃないかと・・・』
『やかましいわ。ボケ、働きたい奴が働きゃいいだろう?!』
・・・・・・
「やかましいわ!ボケ、自分で働け!」
「「「「何だと、口が悪いな!」」」
「まるで、因業BBAのようだわ」
・・・この日、王都で暴動が起きた。
最後までお読み頂き有難うございました。