プロローグ
パンとサーカス・・と昔の人は言った。
これを制する者が、王国を制する。
私は転生者、ミドリ、奇しくも、日本時代と同じ名だ。
前世、パチプロだった。
パチプロと人は蔑むが、あれは、早朝から並び。一日中、365日中、ずっと、攻略を考え。店のデーターを取り。腰痛になるほど、閉店まで座って、得られる微々たるお金、よっぽど、サラリーマンよりも働いているわ。
私がいたから、店に客が来た。私の山と積まれたドル箱を見て、客は入るのよ。
パチンコ店員を養っていた自負はある。
店も有り難がったわ。経済を回していたのよ!
しかし、晩年、1パチの台頭、出玉の渋りで生活が困窮し、
アパートの一室で、息を引き取ったが、どうやら、転生をしたらしい。
そして、気がついた。パチンコで儲けるには、パチンコ屋を経営するしか方法はない。
絶対の攻略方法はないのよ。
幸い、この世界では、容姿に恵まれている。クリーム色のフワフワの髪に、サファイヤの瞳、丸顔で、甘い声が出る。貴公子を取り巻きにする能力を授かったらしい。
そして、遂に、この世界で、パチンコの再現に成功したわ。
この世界ではパチンコギアと名前をつけた。これは譲れない。
私の周りには、4人の貴公子が集まった。皆、玉に瑕のある貴公子達。心の隙間に簡単に入れたわ。
王太子だけど、評価はイマイチのゲオルク殿下、
大商会長の放蕩息子、オスカー
宮廷魔道師長の子息、魔道具科にしかいけなかったルスカ、
乱暴者の近衛騎士団長の子息、マックス。
そして、公爵家の庶子、義姉に、心ない言葉を浴びせられているが、毎日、頑張っているヒロインのミドリ、私よ。
ゲオルク殿下は、義姉をはねのけ。私が婚約者の地位に就いたわ。
「ミドリ様、素晴らしいアイデアです。パチンコ店の隣に、金貸しを開業する。収益が増大しています。親父に認めさせます」
「フフフ、オスカーは、もっと、儲けて、商会長になって、殿下と私を支えてねっ」
「はい、ミドリ様!」
「オスカー!確かに、資金を提供してくれたけど、パチンコギアマシンを作ったのは、宮廷魔道工学師の僕だよ。特急機、ミドリも完成したよ」
「フフフ、ルスカ、頼りにしているのだからっ。殿下と私を支えてね」
「おい、おい、警備の俺はあ!?」
「まあ、勿論、マックス様、騎士団の若手を連れての警備、有難うございますわ」
「ゴホン!私を忘れていないか?」
「まあ、殿下、勿論ですわ。社交界の根回し。有難うございますわ」
「しかし、いくら、異世界の物でも、反発が強い。ギャンブルだしな」
「まあ、異世界では、花形産業でしたのよ」
「そうなのか?」
「ええ、ですから、特級機、ミドリを作りましたの。特級機は、大金貨数千枚規模(数十億円)規模の勝負ですわ。これを攻略されたら、パチンコ事業を撤退すると周知しましたわ」
「そうだ。文句を言うのなら、金を持ってこいというものだ。このグランドル王国に、金の卵を生み出す怪鳥をもたらしたのは、我らの力だ!」
「「「「おう!」」」
「既に、良識派と気取る。貴族が数名、破産しています」
「この収益で、炊き出しを強化しますわ」
「「「さすが、慈愛の令嬢、予言者、異世界人!」」」」
「オ~ホホホホホ!」
特級機ミドリは、ギャンブルマンガのものを再現した。まるで、底なし沼よ。
マンガのような攻略はさせないわ。
☆☆☆王都裏組織会合
一方、反ミドリ派は、裏組織を中心に、良識派貴族が、王都某所で会合を開いていた。
転生者には、転生者を、
そう、彼らにも頼りにする人物がいる。
その名は、メアリー、齢10歳ながら、裏組織の幹部である。
「フランク商会預かり・・・ドングリ良い子孤児院所属、メアリー・ゼータの姉御!お昼寝から、お目覚めになりました」
「フワ~~、なの~~~~、シスター様が、お昼寝はしなさいと言うから、待たせたの~~」
ザワザワザワ~~~~
「本当に存在したのか?」
「10歳か?ヒラヒラの服」
「元貴族令嬢と聞いたが・・」
ゴロツキの幹部達はざわめく。
「ペロペロキョンディーなの~~~」
「はい、メアリーの姉御、どうぞ!」
ペロペロ~~
最近、頭を使う。糖分が足りねえな。
「ヒィ、出た。ペロペロキャンディーが出たら、大金貨数百枚の取引が・・」
「金貨が舞う。ペロペロキャンディー・・・」
「ゴホン!」
「お題は、異世界人、ミドリが再現した。パチンコじゃあ・・・です。これは、依存性が高い。次々に、わしらの、シノギが潰されておる・・」
「そーなの・・・、フランクの親父さん。大丈夫なの~~」
「奴は、ミドリなる特級機を出し。これを攻略したら、パチンコから手を引くって、うそぶいています」
「大丈夫なの~~。パチンコで絶対に儲かる方法があるの~~」
ザワザワザワ~~~
「メアリーの姉御、ダメだ。攻略法が見つからない」
「もう、良識派の貴族、数人、破産した」
「もしかして、パチンコを興業をするのか?あれは、魔石で動く。簡単そうに見えて、再現には、莫大の投資が必要だ・・・」
ガヤガヤガヤ!
バン!バン!
私は、机を叩いた。
「静粛になの。この方法は・・・秘密なの~~~、各パチンコ支店のパチカスへのコミニティに、カゲを派遣するの~~~」
「しかし、奴らは、ロクな情報を持っていませんぜ」
「違うの。機を見て、情報を流すの~~~ギャンブルにのめり込まない人を派遣するの~~」
「しかし・・・」
「パチカスを信じるの~~~、カスであることを信じるの~~~」
・・・ダメか。まだ、足りないか?
【私を信じるの~~~!!私が動かせる全資金を投入するの!この方法は・・絶対にパチンコで儲かる方法なのーーーーーーー!チャンスは今なの~~~~】
シーーーーン!
「そ・・・そうか、儲ける方法か・・」
お、一人反応し、静かなざわめきが起きた。静かなる闘志だ。
これなら、大丈夫だろう。やがて、声の主を中心に、拳を握るものが、円心状に波及していく。
この世界の人間なら、日本の沈黙のルールは適用除外だ。方法は、勘の良い者なら、やがて、思い浮かぶだろう。
今年で10歳になった。もう、二桁だ。
幼女である私が、王国を二分する争いの、カゲのフィクサーになった。
何故だ?何の罰ゲームだ。
ああ、二年前の、伯爵家を追放になった時から遡ろう。
最後までお読み頂き有難うございました。