表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

空色杯「五百文字未満の部」参加作品

ガラス越しに見た惨劇

作者: 野中 すず

 五百文字制限企画に参加するために書きました。もう一つのルールは最初か最後の一文を「実は僕、人間じゃないんだ」にすることです。

 「実は僕、人間じゃないんだ」


 男の声で(ひとし)は目覚めた。


 後頭部が激しく痛い。後ろから殴られた記憶が甦る。

 手で押さえようとして気付く。


 カビ臭いベッドに、大の字で手足を縛り付けられている事に。


 首だけを動かし、声が聞こえた方を向く。誰かがベッドの脇に立ち、見下ろしている。暗くて顔は見えない。


「誰だ!? 俺に何をした!?」

「……貴様は僕の妻に何をした?」

「『何を』もなにも、俺はお前の嫁なんか知らない!」


 そこで仁は見た。男の横の台に(のこぎり)、包丁、(はさみ)などの刃物が整然と並んでいる。

 怒りを恐怖が塗り潰す。


 コイツ、狂ってんのか!?

「人間じゃない」ってそういう事か!?


 男が(つぶや)く。



「貴様は僕の妻を殺した」

 


 仁には全く身に覚えがない。


「待て! 人違いだ! 俺じゃない!」

「ふざけるな。全部見てたんだぞ、僕は」

 声が強烈な怒りを(まと)う。

「貴様は、妻を()きたまま切り刻んだ。そして瀕死の妻の体を(もてあそ)んだ」

 

 男は床から1メートルの鉄杭を拾い上げた。


「今から貴様を切り刻む。最後にコイツで足首と頭を貫く。貴様が妻にしたように()()()()()


「だから俺じゃないって! 俺はただの板前……あっ!?」


 



 妻を活き造りにされた鯛の復讐が、今まさに始まろうとしている。

 最後まで読んで頂けて嬉しいです。ありがとうございました。


御感想、評価(★)頂けると励みになります。


よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] なるほど、人間ではないですね。 どうなるんだろうとハラハラしたあとのオチに脱帽でした。 面白かったです。
[良い点]  活き造りにされる鯛からするとたまったものではありませんね。ちょっと前で元気に泳いでいたかもしれないのに……。  とりあえずサイコじゃなくて良かったです。 [気になる点]   [一言] …
[良い点]  衝撃のラスト!  最初のセリフは何か比喩的な意味でなのかと思ってましたが本当に人間じゃなかったのですね……!確かに身に覚えはないだろうなぁ……と納得してしまいました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ