第一話 赤子食いの宇宙人
「もしジョナサン・スウィフトにゲーム理論の素養があったなら、彼が書いたかもしれないような、50年代の古典的なファーストコンタクトの物語だ。
ヒューゴー賞受賞者 ピーター・ワッツ、"In Praise of Baby-Eating"
これは存在が不可能な世界でのストーリー。AIや分子ナノテクノロジーが存在出来ず、バイオテクノロジーも中途半端でしか実現出来ない中、それでも人類は生き残り、「光速移動」の方法を取得し: 現在は過去にとっての未来である。
船は、星の近くに出現するワームホール、オルダーソン・スターラインを通って移動する。 スターラインのネットワークは密集で緻密、予測不可能な構造で太陽系を中心に10億本以上の道で星々をつなげているが、多くの星は地球の望遠鏡では見えないほど遠くにある。 ほとんどの植民地世界は、人類が住む宇宙の中心である地球から一回のジャンプでしか離れていない。
植民地星系Huygensから、巨大科学船「不可能・可能・世界」(インポッシブル・ポッシブル・ワールド)の乗組員は、とあるスターラインでかつて観測されたことのない量のオルダーソンフォースを調査するために出発した。 到着したインポッシブル号は、新星の残骸を発見し、、そして…
「宇宙人!!」
みんなの頭が船の感覚操作パネルの方へ振り向いた。 しかし、その意味が曖昧な一声の後、レディ・センサリーは画面から顔を上げることもなく、指を必死に動かして指示を入力している。
司令部会議室には不思議な沈黙が一瞬訪れ、聞き手は皆、同じようなことを連続に考える:
気が狂ったか?ただ単に「宇宙人!!」と言うだけ言って放置し、皆に信じられると期待出来るはずがない。非常な発言には非常な証明が…
そして、
「彼らも新星を見に来たんだ!」
このような場合、会議の議長が最初に発言するべきである。
「え?はぁ!?くそっ!!」とアコンが叫ぶ、自分のこれ以降の発言が永久に歴史の一部となることを彼は後からしか気ずかない。アコンは大きく身を回し必死に司令部である会議室の中央画面を見渡す。
「どこにいる?」
レディ・センサリーが指を止めず見上げる、「し、知りません、単に高周波な信号を拾っただけで…途轍もない量のデータです、ペタバイト単位で、船の長期記憶を消す必要がありました、さもなければ全部失う確率が…」
[見つけました!!」ロード・プログラマーが叫ぶ。「我々のアーカイブを探し、スターライン接近の異常エネルギーの根源を探すプログラムを見つけました。人類が宇宙を探検する初めの日々からの物ですがなんとかエミュレータを見つけまして…」
「いいから見せろ!」
中央画面が映している新星によって作られた熱い宇宙の空間にスキャンが通り、視点は炎の中へ集中し続け、万華鏡の中を見つめてるかのように火の中を潜り、更に三角形の破片に砕け散る。
見ているものが完璧な鏡の正二十面体だと気づくのに一瞬かかる。
ふぅん、アクトンは思う、自分たちより技術に劣っていると。この船インポッシブル号は、大量な現地の放射線を吸収してオルダーソンリアクターに流し込んでいたのだ。鏡のシールドにメリットは考えられず、ただ劣っているとしか考えられない。ただそう思わせるのが目的だと言うなら話しが変わるが…
「ディフレクター!」ロード・パイロットが突然声を上げる。「ディフレクターを設置しましょうか?」
「ディフレクター?」驚きながらもアコンは返事する。
パイロットが早口で喋り出す。「はい、我々はスターラインジャンプと吸収シールドの動力源として、自立したアルダーソン反応を使用しています。その反応で他に似たような反応を直接ビームで止める事が可能、宇宙人達が自らのアルダーソン排出量を出しているのが分かります、現在いつでも我々の吸収シールドを消す事が出来ると計算、その場合、新星の灰によって一瞬で火あぶりになります、ディフレクターさえ設置できれば…」
船の懺悔者が口を開ける「宇宙人は自らのディフレクターを上げたか?」
アコンは自分の思考が遅く動いているように感じたが、肝心なことは何故か明白に感じられた。「パイロット、ディフレクターのプログラムは準備だけ、指示するまで発動するな。レディ・センサリー、やってることを一旦止めて宇宙人が自らのディフレクターを上げたか教えてくれ。」
レディ・センサリーは顔を上げ、短い指示を指で叩き込む。
そして「いいえ、」とだけ返事する
「なら思う、」背骨が凍りつくような感覚を覚えながらも、アコンは意見を述べり始める。「私達が最初にこの交流を戦闘的な方針へと持っていくべきではない。宇宙人達は自ら無防備な状態を維持する事で好意を示してくれている。我々はそれに応えるべきだ。」もちろん「囚人のジレンマ」の論理を理解せずに宇宙を植民地化するほど進歩出来たはずが無い、お互い協力すべきだと知るはずだ。
(囚人のジレンマとは:ゲーム理論で分析されるゲームの一つである。これは、完全に合理的な二人のプレーヤーが、お互い平等な利益のために協力するか、一番有利な報酬のために相手を裏切るかを問う思考実験である。相手のプレーヤーに忠義を持つのは論理的でなく、ストラテジー上では相手を裏切るのがより良い。しかし相手も自分の最善の利益のために行動する合理的なプレーヤーであることを考えると相手の行動を考慮して自分の選択をしなければならない。その状況では合理的なプレーヤーは、「他人が行動することを望むような行動をするべき」という結論が人気である。)
「決め込みすぎだ」、と懺悔者が言う。「彼らは宇宙人だ」。
「好意を示していると限らないんだ、」とパイロットが指を動かしながらも言う、指示を出しているようで出していない中途半端な思考の状態。「宇宙人のアルダーソン反応は我々のより一桁弱いんだ。彼らが出せるディフレクターでこの船が打ち破れない物は無い。彼らが最初に打って来ない限りの話だけれど。彼らがディフレクターを上げない事には損がないんだ、それで我々にディフレクターを下げるよう誘っているのは…」
「もしも最初に打ってくるとしたら…」アコンが言う。「我々が相手の存在に気づく前に出来たはずだ。だが彼らはわざわざ話すことを決めた。」頼む、頼むから囚人のジレンマを理解していてくれ。
「もしかすると私達から情報を収集してから殺そうとしているのかもしれない。」とパイロットが反論する。「彼らの欲しいような技術を持っているんだ。あの超絶にでっかいメッセージ、あのようなメッセージをこっちが送るには船上のアーカイブを無くす必要がある。我々が感情的にその必要性を感じることを期待しているのかもしれない、あなたの言うように応える…」。
「ちょと待ってください、」ロード・プログラマーが急に割り込む。「彼らのメッセージを解読出来たと思います。」
何光年もの距離からペンが落ちるのが聞こえそうな静けさが部屋を襲う。
ロード・プログラマーは微かに微笑む。「えっと、彼らが送ってきた膨大なデータダンプは、彼らの船のアーカイブか、それに相当するものだと思う。 どちらにせよ、彼らのネットのかなりの部分だ。 文章、画像、ホロ映像のフォーマットが非常にシンプルで、わざわざ圧縮しないか、送る前にすべて解凍してくれている。 それで、人間の言語が複数存在した夜明け時代には、統計的言語(言語系列に確率を与えるモデルの総称)の翻訳に対して概念があったんだ。 古典的な手法では、人間が翻訳した文章の周知なコーパスを使用ていたのだけれども。
(「コーパス」とは言語学において統計的な分析や研究を行う目的で集められ構築された、言語文章の集合体を指す。ラテン語で「身体」を意味する ‘corpus’ が由来。)
意味論の骨格を生成し、骨格そのものを互いに比較することで、翻訳をさらに拡張しようとする当日モダンな手法が開発されていて。 また、画像やホログラムの類似性を自動的に当てはめる方法もある。 ありがたいことに、アーカイブには、宇宙人のコーパスと人間のコーパスの間の関連点を見つけ、そこから意味論な骨格をマッピングするためのプログラムがすでにありました...そして早いのです、古いコンピューターシステムで動くように設計されているので。それでプログラムを走らせた結果、70%の信頼度で宇宙人の言語を翻訳できたと表示されています。 もちろん、バグである可能性は常にあります。 しかし、宇宙人は元のデータダンプに続いて二つ目のメッセージを送ってきています…短く、文字だけです。 それを翻訳して、中央画面に表示させますか?」
アコンはロード・プログラマーを見つめ、言われたことを消化したあとゆっくりと「そうする」と許可を下す。
「よし、」とロード・プログラマーは頷き、「機械学習行きまーす」というと同時にボタンを押す。
中央画面に移ってる正二十面体の鏡の船の上から文字が浮かび上がる。
「この船は容器の人の真ん中の楽天である
あなたたちは私達を蹴っていない
そのためあなた達は赤ちゃんを食べる
私達の物はあなた達の物、あなた達の物は私達の物」
「笑うな、」アコンが茫然としながら部屋に言う、「気が散る」。議長が鼻の背をつまむ。「よし、完全に適当でなさそうだな。最初の行は… 彼らが自分たちの船を特定しているんだ、多分。二行目は私達が彼らに発砲しなかった認識、彼らは発砲しないという宣言だと解釈出来る。三行目は見当がつかない。四行目は何らかの貿易を提案していると見える…」アコンがそこで止まると共に部屋の笑いも要約静まる。
「彼らに返事を送りますか?」とロード・プログラマーが問う。
皆が彼を見た後アコンに顔を振り向く。
アコンはそれについてゆっくりと考えた。長時間の沈黙は、ペタバイト単位で話しかけてきた種族にとって、友好的な行動でないかもしれない。
「わかった、」と言いつつアコンは咳払いをする。「私たちはまだ、あなた方の言葉を理解しようとしているところです。まだよく理解できていません。翻訳している途中です。正しく翻訳できていないかもしれません。この言葉は、私たちが言いたいことを言っていないかもしれません。気を悪くするつもりはありません。こちらは、「不可能・可能・世界」という名前の調査船です。会えて光栄です。あなた方にデータを組み立て送信する予定ですが、まだ準備ができていません。」アコンは立ち止まる。「それを送ってやれ、プログラムがそれを三の方法で翻訳することができるのならそれらも送るように、私達が自動プログラムで翻訳していることが明白になるはずだ。」
ロード・プログラマーが手を動かし終わったあとレディ・センサリーに「準備完了」と声を掛ける。
「本当に名案だと思いますか?」レディ・センサリーが不安そうに問う。
アコンはため息をつく、「確信はない、でも送ってくれ。」
二十秒間静かに待った後、新たな文字が画面に映る。
「あなたが出来ないと見えて嬉しいです
赤ちゃんむしゃむしゃしているような話し方してますね
大きな天使的な力で
あなた方のニュースレターに申し込みたい」
「おう…」と時間がちょっと経ってからアクトンは呟く。全体的に見ればポジティブな返事だと受け止められる。「多くな人数が宇宙人のコーパスを見たいのは分かる。それでも自分たちのアーカイブから書類やホロファイルを見つけ出す人力が必要だ。彼らに与える技術では我々の最新でなく、そうだな…」アコンはは宇宙人の正二十面体の鏡の船を思い浮かべる。「百年以降前の物を…出来るということを見せるだけで…わざわざ避けるようなことはしないが、科学はまだ渡すな。」
一日後、司令部会議室にはかつてはなかったレベルの緊張感が漂っていた。
困惑、慄然、恐怖、麻痺、拒絶。その背景にはゆっくりと煮えたぎる鋭く危険な正義感からの怒り。
「まずは、」とアコンが始める。「まず最初に、誰か現実的な仮説はないか、知っていることで他に妥当な解釈は、あの宇宙人達が自分の子を食べないという結論は無理なのか?」
「誤解の可能性は常にあります、」と元レディ・心理学者が言う。急な変更に今はこの船の異種心理学者の頭である、よって人類の異種心理学者の頭でもある。「でも、送られてきたコーパスの内容全てが噓でない限り…ありえません。」
宇宙人の数々のホログラムは、平らな平面が互いに交差し角々しく、色んな角度からプリズムをおこし色穏やかに光る、背の高い結晶の昆虫のような生き物が、鋭い岩の野原の上を跳ねている様子を映し出していた。体に埋め込んで跳ね返る手足を使って宇宙人は地面を蹴り、飛ぶ。 宇宙人のその結晶の体が行う回転運動には冷たい美しさがあった。
それでその宇宙人達は互いに絆をいだくのであった、その鋭い野原の中で小さい円形の雪の結晶が逃げる景色で、逃げる物をペンチのような手で取り、口え運びながら。数々のホログラムからの最も主なテーマであった。
宇宙人の脳は人間よりずっと小さくより密な構造をしていた。宇宙人の赤子達は体が小さいにもかかわらず大人と同じ大きさの脳を持っている。赤子達は話せた。食べられながらも反論していたのだ、話し合いに使う体内の光をちらつきさせながら。口の奥へ消えながらも悲鳴を上げていたのだ。
赤子、と訳すのは間違いであった。小学生と呼ぶほうがまだ適切だ。
それでも、みんなは宇宙人を「赤子食い」と呼ぶ。
子供達は食べられる年齢には自覚を持っている。赤子食いのコーパスに含められている書類がそれを良く示している。偉大で、誇り高き、聖なる犠牲の一部であるらしい。子供達は実際愛されていた。親が子への愛に打ち勝ち、残ごくな行動をとることは単に人生の中心的な真理の一部なのだ。親は百人の子を産み、百人中一人が生き残るように、さもなければ全員餓死してしまうのだから。
赤子食いが技術的な種として成り立った時に、彼らは自分自身の体を修正出来たはずだ、一人以外の出産を止める為に。
あえて彼らはそうしなかった。
なんせあの行動は人生の中心的な真理なのだから。
今では異種心理学者と呼ばれる彼女は、最初の植民地化の船とともにホイヘンス星系に移行した。 それ以来、彼女は百年以上にわたって心理学の職業を実践し、「レディ」という珍しい称号を得ていた。 (たいていの人は、最初の目的が何であれ、五十年も経たないうちに嫌気がさして転職してしまうものだ)。 そして今、彼女は単に 異種心理学者 であり、もはやその職業の 「レディ 」ではない。 最初の、そして唯一の異種心理学者であることに違いはない。真の専門家として百年の経験の必要性は、誰かが中断できるルールではない。 彼女は人類最初で唯一の異種心理学者でありながら、彼女はその専門の中で最も劣った、愚かで、最も無知な存在でもあった。 どこにも教師はいないにもかかわらず彼女は見習いの異種心理学者にすぎなかったのだ。 理論的には、彼女の社会的地位はあまりにも低く、会議のテーブルに座ることはできないはずだった。 理論上は。
異種心理学者 は二百五十歳であった。彼女は以前見た様子から急激に年を取ったかのようである。「進化心理学の視点から、何が起きたか説明がつくと思います。赤子食いの先祖は陸上を歩く魚のように産卵期に何百もの子孫を残す種であり、R‐選択の生殖戦略、内的自然増加率(その生物が潜在的にもっている最大の繁殖増加率)を高くする方向へ進化したのだと思えます。しかしながら先祖は…水晶の手入れのような農業の一種を発見しました…人間が農業を見つけるはるか前に。彼らが農耕を始めた時にはチンパンジー程の知性を持っていました。大人達は土地と結晶を守る為に部族へと分かれました。全員の子供を羊や牛のように一つの檻に入れ、食事を与える為に子供の群れを作るようになりました。しかし子供全員分の水晶を生産することは希少でした。」
「進化生物学では、親族以外の間では集団選択が働かないというのが定説になっています。 例外は、強制的なルールがあり、離反者にほぼ確実に罰が与えられる場合です、ズルする得を無くすことで。 赤子食いの場合はその例外が当てはまります。 部族の檻に子供を入れれば入れるほど、自分の子供のどれかが生き残る可能性が高くなるため、個人の繁殖を制限する理由がありませんでした。 しかし、檻の中の子供の量を減し、生き残りにその分与えることで最終的に生き延びる子供の数はより多かったと判明したのです。 こうして彼らの種はK‐戦略、つまり個人の生存戦略へと変わり始めたのです。 それが彼らの文化の始まりでした。」
「そしてズルをしようとした者は、子供を隠したり、子を減らす狩りの時に自分の子にだけ楽をさせるなど慈悲のある大人はかつて人間の部族が裏切り者に対してした始末とあまり変わりらないかと。」
「そのルールを強制するため心理の進化を発達させ、それが彼ら初めての社会的規範(特定の集団や文化,社会の中に存在 する暗黙のルール体系)へとなったのです。そしてその心理的適応から発生する感情は社会が更に発達すると共に他の物でも再利用されるようになりました。名誉、友情、部族に対しての行い、人間の持つ感情の多くを得ているのだけれど彼らの脳は最初に得た子殺しに対した感情の回路を通ってしかそれを表すことが出来ないのです。」
「赤子食いの「良さ」や「正しさ」を表現する言葉は「子を食べる」で表すのです。」
異種心理学者はそこまで言うと止まり、コップから水を一口飲む。後ろを向きながらも青ざめた顔の数々がテーブルの周りから彼女を見続ける。
そんな中、レディ・センサリーが声を上げる「えっと、それについて彼らが間違っていると説得するのはやはり無理なのでしょうか?」
船の懺悔者は銀色のフード付きローブを着ていて、正式に正気の守護者だということ主張している。話しながらも彼の声は優しさを保つ「そうゆうことを出来る問題ではないと思う。」
「万が一にそのようなことが出来ても、良い考えじゃないかもしれません」と異種心理学者が言う。「赤子食い達に私達の視点を理解させ、彼らがその膨大な過ちを認識した際に彼ら自身の鏖殺を行おうと決めた時に止められる者は世界にいません。彼らには「許す」という概念が無いのです。誰かが 違反者に緩く対象する理由は友を助けるか、操り人形として使うか、臆病風か怠け者だから復讐をしないとしか考えられないのです。彼らの「間違い」の文字は「容赦」と同じ文字だと知ってください。」異種心理学者が頭を振る。「罰しない者を罰するのは日常的なのです。マニ教的な、現実に対する二元論的な見方。我々が赤子を食べていると文字通り信じていたと思えます、我々が彼らに発砲しなかったということで。」
(二元論とは:世界や事物の根本的な原理として、それらは背反する二つの原理や基本的要素から構成される、または二つからなる区分に分けられるとする概念:心は物理の一部でないと言うなど)
アコンは顔をしかめる。「本当にそう思うか?そういうことにすると彼らは… 想像力に欠けているように思えるのだが?」
船のファンダムのマスターは出席していた。「赤子食いの文献を読んでいたのだけれど、」と話し出す。「翻訳が府完璧で簡単でないんだこれが、」ロード・プログラマーの方に眉をひそめると彼も同じくそれを返す。「ある意味赤子食いがフィクションの概念がある事態、運がいいんだ。」
(ファンダム:趣味・アニメ・スポーツなどの分野の熱心なファンたち、また熱心なファンによる文化、インターネット上ではファンが集めた情報を○○ファンドームで検索出来る。 fanとkingdomの造語)
「運が良い?」とロード・パイロットが問う。「星々へとたどり着くには想像力は必要不可欠。SFを書けない種族は元々円の形さえ作れないんじゃ…」
「でも、」ファンダム・マスターが続ける、「彼らのSFのほとんどが同じ結晶のような宇宙人と出くわす中、自分が読んだ限り人間の人体に一番近づいたのは巨大な自我を持ったスポンジでした。そしてそれさえ自分の子を食べています、探検者が出くわすほとんどの宇宙人がそうします。作者達はその思い込みに関してあまり考えないか、読者が同情しにくい宇宙人は避けたかったのかもしれません。物語の目的は楽しませるだけでなく道徳(モラル)の本能を刺激することなんだ、だから物語のほとんどは個人的な犠牲や大切な物を無くすことが彼らの文学論なんだ。でも、正しき賢者の長老が、部族の人口を制限する必要性が偉大な試練であり、赤ん坊を食べずに感情や協力を進化出来る種は無く、いるとしても、彼らは自分たちの間で戦争して自滅する運命である、と説明する物語もあります」。
「ふむ、」と異種心理学者がいう。「赤子食い達はそこまで間違っていなかったのかもしれません。そのように私を見つめるのはやめてください、そういう意味じゃありません。 私はただ、赤子食いの文明にはそれほど多くの戦争がなかったと言いたいんです。実際、科学的方法を採用し終えた後は戦争が一度もないんです。 それは彼らの歴史における大きな分岐点でした。合理的な間違いという概念、間違った仮説を持つ者を全員殺す必要性が無い事。 それは相手を許すということではなく、相手がが不十分な情報に基づいて推論した結果で間違いを犯し、それが本質的な欠点ではないこと。戦争といえば全滅戦争だったのですが、それ以降は、「他に大勢の者が全員間違えたなら、それはおかしな間違いでない」という理論になりました。 彼らが確率論(偶然現象に対して数学的な模型を与え、解析する数学の一分野))を概念化したこと、つまり不確実性を操作するための形式的に正しい方法が、彼らの世界平和の幕開けとなったのです。
「でも、だったら…」とレディ・センサリー。
「もちろん、」異種心理学者は付け加えた、「実際に本質的な欠点を持ちグループの標準から逸脱した者は、殺される対象のままよ。 科学的な手法が道徳的であることに、最初は誰もが同意したわけではない、直感的に反するものであったため多くが反対したようです。だから彼らの最後の戦争は、科学利用者が非科学者を皆殺しにしたものだったのです。 その後、世界平和になりました。」
「そ、そう、」レディ・センサリーがしぼみながら言う。
「そうよ、」異種心理学者は続ける。「その後、すべての赤子食いは、個々の異端者を処刑するだけで済む単一な集団として結束し。 現在では、部族の間での戦争に対して強い文化的なタブーを持っているの。」
「残念なことに」、ファンダム・マスターが言う。「そのタブーは私達を免除してくれません。もっと希少ですけど赤子食いが宇宙人に合う直後により大きな社会を築き上げないシナリオがあります。子供を食べない恐ろしい怪物の話。 バクテリアのように増殖し、ネズミのように仲間同士で争い、芸術や美を憎み、行く手を阻むものをすべて破壊する怪物たち。 核となる結晶の最後の一個まで、つまりDNAの最後の一本まで絶滅させなければならない宇宙人を表す場合があります。」
「私が全責任を負う」と会議議長としてアコンが宣言する。「我々が子供食いに原文やホログラムを送ることを決定したことについて。 しかし、それで彼らは私たちが子供を食べないことを推測するのに十分な情報を持っている。 私たちが彼らをどう見るかを推測することができるかもしれない。 そして、我々がそれらの送信を始めてから、彼らは我々に何も送っていない。」
「そこで問題だ、この状況において次にどうする?」
間違ったり違和感を感じた部分、フリガナを付けた方がいいと思う漢字があればメッセージやコメント, gouriteki.honyakusha@gmail.com へのメールなどでお願いします。