結果
キラキラキラ
ラノの目はまるでそれが聞こえてくるみたいに輝いていた。
「先生……、もしかしてその結界を出した魔道具って先生の首にかかっている小瓶のネックレスですか?」
「うん、そうだね。」
「先生、やっぱりその魔道具の研究とか仕組みとかは……。」
「ダメ。」
「ダメですか。」
「うん、ダメ。」
「そんな〜。」
いや〜、気持ちは分かるけどね。これはラノであろうとも触れさせることすらダメだからね〜。
なぜダメなのか。それは単純に歴史が動くほどのやばい技術の塊だからだ。
まずそもそもとして結界の魔道具は魔石を核として作られて いる。まぁこれは多くの魔道具がそうなんだけど、結界の場合は魔石に直接刻みこまないと結界が発動しない、というのが今の魔道具職人の中での常識だ。
しかし、師匠から渡されたこの小瓶のネックレスはその"常識"を見事にぶち壊している。しかも危険を察知したら自動で発動するというカラクリの賢者も真っ青、いや興奮のし過ぎでぶっ倒れるんじゃないかと思う程の代物だ。
"カラクリの賢者"というのはこの国にいる9人いる賢者のうちの1人だ。その呼び名の通り、道具に関するスペシャリストであり、ありとあらゆる職人の憧れでもある。
そして、その道具の中には魔道具も含まれる。だから、初めて会った時はカラクリの賢者が見抜ける程度の魔道具を私が付けてるのを見て発狂してたな〜。
尚且つ私にギラギラした目を向けて、『その魔道具、分解させてくれないか!?』なんて言ってきたからな〜。流石にやばい代物であることには違いないから断ったんだけどね。
そして私は思った。『師匠、なんつう代物をプレゼント感覚で渡してきてるんですか。』と。
いや、ねえ。大事に思ってくれるのは嬉しいよ?でもね、流石に限度があるでしょうがあああああああああ!!
さてそろそろラノに釘を刺しときますか。
「ラノ、この魔道具について決して言っちゃダメだからね!!」
「分かってますよ、先生。何度言ってるんですか。」
「それほどやばい代物なんだよ!!」
ああ、この気持ち誰かに吐き出したい!!
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「あの……オウカさん!!薬草取ってきました!!」
私は早速取ってきた薬草パタシアルをオウカさんに見せていた。
「うん、状態は綺麗だし、言っていた通りの物を取ってきたみたいだね。」
「それじゃあ……!!」
「まだだよ。ツキミからどのように取ってきたのかを聞かないとね。」
「ツキミから……聞く?」
何をオウカさんは言っているのだろうか?いくら頭が良かったとしてもネコは喋らないのに……。
「ふむふむ、へぇ〜ネロナ凄いね。燃えないファイヤーボールを出すなんて。」
「え!?なんでそのこと知っているんですか!?」
「なんでって……ああ、なるほどね。僕はツキミの言っている言葉が分かるんだよ。」
ネコの……言葉を?もしかしてそういう魔法なのかな?それなら納得だ。ってことは、いつか私もそういう魔法が使えるようになったら……………。
うん、想像して思った。動物って素直だからなんかうるさそう。それに知らなくてもいいこと知っちゃいそう。
「あと僕が渡したお守りも役に立ったみたいだね。」
「お守りって……、まさかあの透明な壁みたいのを出したのって……。」
「うん、ネロナの首にかかってるネックレスだよ?」
ひぇ……、オウカさんなにそんな高そうな物を単なる平民である私に渡してるんですかああああああああああ!!
出会った時貴族じゃないなんて言っていたけどあれ嘘とかじゃないのかな。ハハハハハハハハハ。
「あ、あの、オウカさん。コノネックレスッテタカイモノジャナインデショウカ。」
「うん?ああ、大丈夫だよ。だってこれ僕が作った魔道具だから気にしなくていいよ。」
へ?ツクッタ……コレヲ?
王都とかに疎い私でも流石に分かる。コレやばい代物だと。
私の住むサロクバ村には魔道具を売っている店がある。1度、魔法に関する物だから何か魔法が上手く扱えるヒントがあるかもしれないと訪れた時があった。
その際見た魔道具は全てある共通点があった。それは魔道具に込められた魔法の難しさによって核となる魔石の大きさが変わるということだ。
魔法が難しければ難しいほど魔石の大きさは大きくなる。なぜならそうでもしないと魔石が耐えられないからだと、魔道具を売っている店主に聞いた。
しかしオウカさんが渡したネックレスは魔石らしいのが見当たらない。いや正確にはそれっぽいのはある。ネックレスにかかっている小瓶だ。
その小瓶の中に"それ"はある。砂みたいのが入っている。色合い的に魔石ととっても似ている。正直言って信じたくない。この砂みたいのが魔石だなんて。
アレ?オウカサンガコノマドウグニコメタマホウッテトッテモヨワカッタノカナ〜。ハッハッハッハッハ……。
聞きたくない。聞きたくない。聞いたら戻れない気がする。うん、ワタシハナニモミナカッタ。コレハタダノネックレスダ!!
うん、さっさと結果を聞こう。そうじゃないと精神的に死ぬ。
「あの……オウカさん。それでワタシノシレンノケッカハドウタッタンデスカ?」
「どうしたの、ネロナ?なんか元気が無いように見えるけど……。」
「イイエ、トッテモゲンキデスヨ。ハッハッハッハッハ……。」
大丈夫ですよ、オウカさん。ただ今私の首にかかっている物がものすごくやばいだけで。
「そう?それじゃあ結果を言うね。」
ゴクリ
「まず、僕の前で言っていた通りに1人でパタシアルを取りに行っていた。このことから君は正直者だった。
次にゴブリンを視認した時、ネロナは慎重にどう行動するかを考え、行動した。その結果、君は自分を守ると同時にツキミを守ろうとした。
このことから君は無理はしないけれど、もしも仲間が大変な目にあった時自分を犠牲にしても仲間を守る仲間思いな者であった。
そして最後にネロナは自分は魔法をまともに扱えないと言っていたけれど、自分の"可能性"を信じ、とても綺麗な魔法を相手に魅せていた。
この3つの評価により、僕はネロナを
災厄の魔女の弟子として迎え入れよう。」
さて今回はネロナちゃんすこ〜し壊れちゃってましたね。そして賢者さんと少し似ている部分が出ましたね。
やっぱりどちらとも師匠に悩まされてるんですね〜。まあ今後も悩まされると思いますがね。( ´_>` )ハッハッハッ
そして賢者はどうやら1人だけでは無かったようで?今後その方達も出ますので乞うご期待を!!
それでは次回まで良い夜を〜!!(挨拶のネタが無くなってきた)