表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神になれなかった双子  ジャック外伝  作者: 神取優
鉱山の鎧トカゲ
3/23

第3話 毒カエルの襲撃

 朝、馬車に乗り込もうと人が集まりだした。

 「なあ、お前達(姉弟)、昨日ろくに寝てねえだろう?午前中、俺と変われ、俺が見張りをしてやる。」

 「変われと言われても・・?」

 「寝る場所ならあるだろう。」

 ジャックが指さしたのは、乗客の足元。

 「無理無理、あんな狭いとこに寝たら足の置く場所が無くなりますよ。」

 「へえ、本当にそうか?」

 馬車の脇に捨ててあるボロ毛布を指さした。

 「もしかして。」

 「そうだよ、その、もしかして。ゴロゴロ転がらない様にしてもらえるのだよ、感謝しながら寝るといい。」

 ジャックは、御者の横に姉弟は、乗客の足置き場となっていた。


 馬車が動き出す前、御者からひと言。

 「えー。今日朝早くに、お一人様がこの町に用事が出来たと降りられました。一人分空きがありますが、そういう事情ですので、このまま走らせていただきます。」

 途中で降りても、料金はもらっているから構わないという所か。


 ジャックが場所を変わったのには理由がある。

 姉弟は、町の周りで冒険者をしていたと言うのだから、フォーレンの話は知らないだろう。だとすれば、何度も往復している御者ならと・・

 最初は、無難な世間話から、次第にフォーレンに話を持っていく。適度に、物知りだね。と、ほめると次第に舌が軽くなってきた。


 フォーレンは、何処にでもある、普通の宿場町だった。それが変わったのは、一組の冒険者が鉄鉱石を見つけた事から始まる。

 冒険者は、町の有力者に情報を買うように勧めたが、信憑性もなく信用してもらえなかった。仕方なく、商業ギルドに売る事にした。相場最下限で買うのが商業ギルド、それでもいいやと見つけた場所に案内。結構な金貨を手にしたと言う。


 商業ギルドは、鉱山の存在を確認すると領主の所を訪ねる。少々買い叩かれても、十分利益が出ると睨んでいた。ところが、領主の返事は即答を避け、「明日の夕方返事をする、再度来て欲しい。」だった。


 ギルド長達が再度訪問すると、そこに居たのは領主だけではなかった。

 「君達も『ブラッド商会』の彼を知っているだろう。私が懇意にしている会頭だよ。今回の話をしたらね、彼が乗り気になって、ぜひ任せて欲しいと言ってきた。私としても断腸の思いなのだが、彼の熱意に負けてね。彼に任せる事にしたのだよ。それでは、私は邪魔にならない様に失礼する事にしよう。」

 結果は、商人同士・・買い叩かれ、商業ギルドは大した利益が出なかったと言う。今もブラッド商会が、鉄鉱石を掘っているのだが、儲けの結構な部分を領主に取られていると噂になっているそうだ。


 「その領主、上前をはねているのか結構(わる)じゃないのか。」

 「いやいや、フォーレンで領主を悪く言う人はいない。今は、街中きれいだけど、それをやったのは領主の政策だと、みんな言っている。」

 「町がきれい?」

 前に来た時には、それほどきれいとも思えなった。

 「実は、領主から毎月全部の教会に相当の寄付をくれるのだ。その寄付で、スラム住人に朝と夕方、毎日炊き出しがでるんだ。その炊き出しを貰うには、町に貢献する事になっている。」

 「それで掃除。」

 「掃除だけでない、水路の泥上げ、ゴミの収集と、町の雑用を率先してやってくれるのだ。」

 「それはすごいね。」

 「だろう、今ではフォーレンは国一番きれいな町だと言われているくらいさ。」

 「なるほどね。」

 「だから、町の住民は領主様と言って悪く言う人はいないのさ。」

 「これは、行くのが楽しみになってきた。」


 10時頃、午前の休憩で街道の端に止まった馬車。

 寝ていた姉弟冒険者が起きてくる。十分に寝てはいないようだが、顔がはれているので少しは寝たのだろう。

 「よう、気分はどうだ?」

 「朝よりいいかな?」

 「では、これから働いてもらうか。」

 「?・・・働く?」

 「護衛だろう?」

 「また襲われると?」

 「昨日、俺が寝ていた時、帰って来ただろう。」

 「ええ、壁に背をつけて寝ているから、よく疲れないなぁと思いましたよ。」

 「その時、男が立っていただろう?」

 「今日降りた人よ。」

 「そいつが言っていたのさ『あんた、悪いことは言わない。フォーレンに近づかない方がいい。』。そう言って、外に出て行った。」

 「ああ、それで腰に手を。」

 その人、殺気が無かったから命拾いしたのかなと思う姉。

 「俺の事はいい。午後の休憩頃(3時)だとフォーレンに近すぎる。それに、どこで休憩するか分からない。」

 「いつものお昼をとる広場?」

 「そうだと思う、御者を呼んでくれないか。」


 重い馬車は遅い、お昼時間に広間にたどり着けないので、街道に止め道脇の草むらで食べる事になった。広場で襲われるかもしれないと聞いた乗客達から文句は、出なかった。


 広場に近づくと・・また魔素の乱れがある。今回の魔素たまりは、かなり小さい。小さな魔素が10個、広場を囲んでいる。それより奥、林の中から魔法使いだろう少々大きな魔素が感じられる。

 弟を後ろに呼ぶ、しかし、姉弟共、魔素たまりを感じていないと言う。

 それでも、ジャックを信じている様で。


 馬車は、誰もいない広場に止まることなく街道を進む。


 すこし通り過ぎると、魔法使いが慌ただしく広場に近づく。それに合わせて、小さな魔素が広場の周りの草むらから出て来た。

 10匹の『マダラ(まだら)ポイズンフロッグ(どくかえる)』。

 「俺への嫌がらせか?」

 眉間にしわを寄せ、少々苛立っているジャック。

 「そんなに危険?私が行って斬ってきましょうか?」

 「いやまて・・・弓はあるか?」

 「弟が得意で持っています。」

 「追いつかれる前に殺そう、準備してくれ。」


 弟は、乗客に足を上げてもらい椅子の下から弓矢を取り出し、ジャックの脇に来る。変わって姉は、御者の隣へ座る。

 「そのカエルの体液は、猛毒になっている。一滴付いただけで、その部分を切り落とすから覚悟してくれ。」

 サッと青くなる弟。

 「まだ距離がある、落ちついて狙え。近づいたのは俺がやる。」


 体長1m程、ピョンピョンと飛び跳ね、意外なほど高速で追ってくる。最初慌てて弓を射るが、動きが速くて射る事は出来ない。慌てた弟は、さらに外す事になる。

 「落ちついて。」

 近づくカエルにナイフを投げるジャック。急所を直撃したようで狂ったように身を動かし、路上に腹を見せる。その様子を見た弟は、次第に落ち着きを取り戻す。

 弟の矢が当たりだすと、残りのカエルを連続で射貫いてしまう。

 「ほう、上手い物だ。」

 ジャックに褒められまんざらでもない様子。

 「最後の一匹だが、頼みがある。道端に追い詰め、見えない様に草むらで仕留める事はできるか?」

 「任せてください。」

 馬車に見えない様に並走していた魔法使いも消えていた。


 もう大丈夫だろう・・しかし、二度も襲撃されては、落ちついて休憩もできないと、そのままフォーレンまで来てしまった。フォーレンの門前、入場審査待ちの間、姉弟に路上に放置してきたカエルの焼却を頼みに行ってもらう。

 知らずに触れば、死んでしまう危険な物。さっさと焼却するしかない。

 採取を知っている兵士に取り次いでもらうと、門内が慌ただしくなってきた。兵士が3名、魔法使いが2名、馬に乗ると門から飛び出して行った。

マダラポイズンフロッグ・・・頭部からお尻に、赤黄青と毒々しいまだら模様が特徴。体表面のジュンサイのようなぬめりのある体液が猛毒となる。

 毒は、神経毒で一滴でも触れると体内に侵入。神経に触れると組織を破壊してしまう。恐ろしいのは、毒は体内の成分を使い増殖する事。触れたら、すぐに神経系の解毒剤を飲み、壊疽部分を除去するか、聖女クラスの神官に回復してもらうしかない。

 討伐(Eクラス)成獣で体長1m程。人里離れた沼地に生息。人影を見かけると物陰に隠れるほど臆病。魔法を持っていないので、倒すのは簡単だが体液を浴びてはいけない。移動は、見かけより速いので注意が必要です。

 採取(Aクラス)神経毒を持っている。危険度は、上記参照。なお、濡れていないと、体内に入れないので危険度は低下するが、水などで濡れると毒性は復活する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ