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神になれなかった双子  ジャック外伝  作者: 神取優
ジャックと盗賊団
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第21話 下水ネズミとやさぐれ魔女ドーラ

 夫人の問いに。

 「冒険者として当然です。」

 「可哀そうだから。」

 姉弟の答えに、夫人は笑顔で聞いていた。

 意味が分からないと顔を見合わせる姉弟。


 その時、姉弟の後ろの部屋から声が聞こえて来た。話しの内容から、隣は穀物庫として使っているようだ。袋に穴が開いていて、下水の匂いがすると言う。

 バタバタと人の出入りする音と物を運び出す音、広い場所で使えない穀物を省く作業が始まるようだ。


 「あらら、大変な事が始まりました。最近、増えましたね。」(夫人)

 この時、夫人はジャックの目を見る。確認するとも確かめているような目つきは、貴族の目だった。

 「お忙しいところ、お邪魔しました。近いうちにお伺いいたします。」

 「はい、いつでも。」

 ジャック達は、教会を後にした。


 急な話で教会から出て来たので、どうしたのだろうとエイミは考えていた。

 「何処に行くのですか?」(エイミ)

 「冒険者ギルド。」(ジャック)

 心なしか、元気がない様に見える。時折出るはため息?その理由は、ギルドで分かった。


 冒険者ギルドに入ると、トードは別れ自身の打ち合わせに向かう。


 ジャックは、依頼の掲示板に向かい、一枚の依頼書を剥がしてカウンターに向かい歩き出した。

 通常、依頼書は安価な魔素板を使う、しかし、ジャックが持っている依頼書は、色のあせた羊皮紙に書かれ何度も金額が変更されている物だった。


 羊皮紙に書かれていた理由は単純。誰も受け手がいないからで、数年の間、放置されていた。そのため、冒険者の発する魔素の流れが、魔素板を劣化させるおそれがあり薄い魔素板は耐えられないと羊皮紙に書かれていた。


  カウンターに座っている女の子達の視線が、ジャックの手元を見る。一瞬固まり、ある人に視線を向ける。冒険者達も気付き始め、ロビー脇のテーブルで騒ぎだした。


 急に騒がしくなったロビーと静かになったカウンター、騒がしい気配を感じたお姉さんが顔を上げる。


 カウンターに向かって来るジャックが持っている依頼書は、もう誰も依頼を受けないだろうと言われていた物、しかもそれを書いたのは自分だ。カウンターの女の子達は、目を合わせない様にしてジャックを上司に行けと無言の要求をする。ロビーの冒険者達は、これからどんな展開になるか面白半分で見ている。誰にもわかった、とても厄介な事が起きそうだ。


 視線に促されてカウンターに立ったお姉さんに。

 「この依頼を受ける。」

 「よろしいのですか?」

 特に意味は無い、何年も誰も受けない依頼なのだ。

 「受けては困るのか?」

 「そのようなこと・・では、ここにサインをお願いします。」

 依頼の受領書にサインをする。

 「これが、ドアの鍵です。」

 奥から女の子が持ってきたカギを渡す。


 エイミが、どんな依頼なのか興味深そうに見ているので、ジャックは依頼書を見せてやる。

 「これは、・・でも・・えぇ・・・。」

 顔が青くなっている。

 「どうしたの姉ちゃん。」

 ダイが依頼書を受け取り見ると。

 「これ、本当にやるのか?」

 「そう頼まれただろうが?」

 「誰に?」(エイミ)

 「夫人に。終わったら来てくれと言われただろう?」

 「?」(エイミ)


 夫人が、

 「ネズミが多くて大変です、何とかしてください。」

 と言っていただろう。だから、

 「終わったらお邪魔します。」

 と言っただろう。

 「え?言いました?」


 「そう聞こえなかったか。まあいい、下水のネズミをどうにかしないと、奴隷の話はこれ以上話が進まない。」

 「それでも・・どうやってやるんです?いったい何匹いるんですか?」

 「駆除もやるのですか?そうですね・・今なら、4万匹位だと思います。」(お姉さん)

 「4万・・・」

 「ネズミも厄介だが、急に統制が取れてきたのだろう。」

 「最近の噂では、ボス級のネズミが発生したと噂が出ています。恐らく『ジャイアントラット』だと思います。」(お姉さん)

 「それで、あの金額?」

 「調査だけですから・・。」

 「金貨1枚って、最初は銅貨ですか。」

 「銀貨1枚でした。」

 「下水ネズミって、噛まれたら確実に『病気』になり、すぐに処置しないと『壊疽』が始まる言われていて、近寄る事も出来ないと言われていませんでした?それでこの金額ですか、安すぎませんか?」

 「これは、ギルドからの依頼ですから・・予算が。」

 「それにジャックさん。私達は、魔法なんて使えませんよ。この3人でどうやって依頼をこなすのです?」

 「それには考えがある。念話機を借りるぞ。」

 「ロビーにあります、どうぞお使いください。」


 ジャックは、念話帳を取り出し、1枚のカードを球に押し当てると、球に念話先が浮かび上がる。

 「天使の教会・ドラゴンの町」

  「やさぐれ魔女ドーラ」


 それを見たお姉さん、この教会を知っていた。古い教会を買い取り、新しく建てなおした教会で。神を信仰する事は一切無く、『己を信じ、突き進めば必ず達成される』と教えている、何処にも属さない教会。そんな教えに興味があったので、長期休暇の時に、一回訪れている。馬車で3日程の距離だった。

 たしか、若いシスター1人で、教会を造り運営していると聞いている。実際、行った時もシスター1人しか居なかった。しかし、信者は大勢いると噂されている。

 ドーラと言うのはそのシスターだろうか?宿なし魔女?魔女からシスターになった?


 『プルルルル・・・・ガチャ』

 相手の念話機には、発信場所、念話帳から読み込んだ発信者が表示される。しばらく鳴っていた呼び出し音の後、接続したと音が出る。


 「やあ、元気か、久しぶりだな。」

 「あら、本当にジャックなのね?お久しぶりなんて言えないわよ。あんた、10年以上連絡して来ないでしょう。でも、お祝いはありがとうね。あんたは、来なかったけど嬉しかったわ。


 ところで何かあったの?・・分かった、あんた、またもめ事に首を突っ込んだわね。それで私に助けをお願いしたいのかしら。

 いいわよ、あんた今何処にいるの?待って、ここね・・フォーレンの冒険者ギルドね。分った、明後日の昼までは行くわ。そうそう、これは貸しよ、いいわね、わたしの貸しは安くないからね。

 これから準備して出かけるから、待てっててね。


    あなたに、幸おおからんことを       」


 ドーラと言うシスター?は、いう事だけ言うと切ってしまった。ジャックの顔が、後悔してるように見えるのは気のせいだろう。

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