第15話 トカゲ村
ここ迄で、前半は終わりです。
話は、つながっていますでしょうか?
ジャック外伝と並行して、外伝の貴族編の話を開始します。
貴族編は、外伝のネタバラシにもなっています。
後半は、フォーレンでジャック達が・・・
翌日、マリスは遅い時間 食堂に現れた。決められた時間は無いので、何時でも食事はとれるが鉱夫達の交代の時間に合わせてある。鉱夫が居なくなってもそれは変わらない。
人数に合わせて作っているで。
「ちぇ、残り物かよ。」
愚痴っても、品数が増える訳ではない。
近くのテーブルに座り、食べようとするが 周りの視線に気づく。
顔を上げ見渡すと、マリスの挙動を見ている。
「どうかしたか?」
パーティーメンバーの女魔法使いが、答える。
「今日は、遅いからどうしたのかな?って。」
「あぁ、そういう事か。それなら今日は休みだ。さすがに昨日は疲れた。」
「そうですか・・、それじゃ皆さん、これからどうします?」
「そうだな・・マリスさんが行かないなら・・。」
どうやら、昨日のあらましを聞いて、完全に戦意を失った冒険者達も休むようだ。
「俺達は、どうする?」
食堂の奥で、様子を見ていたジャック。
「えーと・・・」
「どうした、ダイ?」
「弟は、この防具を直したいようです。この鉱山に防具修理の職人はいないので、フォーレンに戻りたいのだと思う。」
「そうなのか?」
「はい。でも、それだとかなり時間がかかるので。」
「遠慮していたのか。」
「それなら、私の村に行きましょう。村で猟師をしていたので、獣道を歩いて村に行くなら3時間で行けます。修理は、親父が出来ます。親父は、年は取っていますが良い腕の防具職人です。明日には、戻ってこれますよ。」
「それで、いいんじゃないか。トードの村で直してくればいい。」
「じゃ、私も行く。トカゲ村って興味あるし。ジャックさんもどうですか?」
「俺?・・そうだな、一回様子を見に行くか。」
昼過ぎに村に付いた、本来の道でないところからトード達は近づく。
「誰だ!」
いきなり木柵の奥から槍を突き出された、猪だと思ったのかためらいの無い良い突きだ。
どこから出たのか、ジャックのナイフが矛先を弾く。
耳に響く金属音で、槍の方向が変わる。
「あぶねえ、俺だ、トードだ。」
「トード?」
トードが顔を見せると。
「済まねえ、てっきりトカゲが戻ってきたと思った。」
「トカゲ?また、捕まえたのか。」
「い・・・・」
ジャックの姿を見て急に、言葉が止まる。
「トード、何しに来た?」
何か変だ、話を変えようとする。
「親父に修理してもらいたいから、帰って来た。」
「そうか、親父さんなら家にいる。さっさと行ってくれ。」
「ああ。」
なんかおかしい。
木柵の扉は閉まっていた。トードの様子から、普段は開いてるらしい。
途中、トードと会った村人は、挨拶はするがなんかよそよそしい。
親父さんに挨拶して、ダイの防具を見せると明日迄かかると言う。
おふくろさんも久しぶりに会うのだろう、(一緒に)泊っていけと言うので厄介になる事になった。その夜、ジャックの姿が無かったのは・・・。
お昼までに終わると言う親父さん。それならと居間でお茶会が始まった。
雑談から始まり・・・少しずつ核心に・・・
「ここに来る途中、トカゲが逃げたとか言っていたけど、前に捕まえたトカゲが逃げたんですよね。」
ジャックがさりげなく、おふくろさんの顔をうかがう。さっと、顔色が変わる。
「ええ・・・」
言い淀むみ、息子の顔を覗き込む。
「かあさん、おれも聞きたいな。」
「・・・」
思案していたが、息子に言われてか・・話好きなのか。
「ここだけの話にしてね。」
テーブルに顔を近づけ小声になる、ジャック(エイミとダイ)とトードもつられてテーブルに顔を寄せる。
「何か月も前、久しぶりにトカゲが捕れたの。いつもの様に檻に入れ、餌を与えないで弱るのを待つのだけど、今回のトカゲは、麻痺が取れると大暴れしたのよ。
長ーく使っていた檻なんだけど、腐っていたようで何度も体当たりをされると、折れてしまったの。
トカゲを捕まえると、安全になる(殺す)まで村への扉を閉めてしまうでしょ。
逃げ場がなくなったトカゲは、トンネルに逃げ・・・」
ここで、急に言葉が途切れる。
「知っていますよ。領主から言われて掘った穴ですね。」
ジャックは、カマをかけてみた。
夜、周囲を探ってみると、厳重に囲われた穴?を見つけた。
音をたてない様に、囲いをずらし・・中に入ってみる。
暗い穴の奥に、落盤の後・・その上部は、不自然に吹き飛んでいる。
誰の指示で掘った穴か分からなかったが、この村は領主が管理している。ならばと。
「え・・、よくご存じで。そうです、トカゲが捕まる前に領主様から言われて、掘った穴です。何でも掘った先に、鍾乳洞があったとかで。
結局、鍾乳洞に逃げたのだろうとなりました。領主様に相談すると、掘った穴を壊して穴を塞ぎ、弱るまで待っていろ。と言われ、そうしたのですけど。」
「いつまでたっても、弱る気配が無い?」
「はい・・(ジャックが気味悪くなってきたようだ)、村で『魔素を感知』出来るのは、一人しかいません。その人が、まだ弱っていないというのです・・・ひと月もずーとです。私達も気味が悪くなって。」
『この時は、まだ魔素を感知で来たのか。』
「それからです、急にトカゲが消えたと言い出したのです。それに合わせて、隣の鉱山でトカゲが人を喰って暴れているって聞いた時は、とてもビックリしました。
みんな、怖がって穴を塞いだのです。出て来て人を襲ったら怖いです。」
「鉱山のトカゲと村のトカゲが同じだと?」
「それ以外考えられないと皆で言っていました。一月もなにも食わないで生きている化け物なら、どうにかして鉱山に行ったのだろう、ってみんなが言っています。」
「そのトカゲが、出て来た?」
「夕方、村の人が歩いていると、脇を走り抜けて村の外に出て行った、と。」
「それで、帰っていないかと警戒していたのですね。」
「は・・い。」
お昼までに、出来上がった防具を受け取り、昼食をご馳走になったトード達は鉱山へと戻って行った。




