第11話 鉱山奴隷
エイミとダイが、討伐のやり方を変えたいと言ってきた。
「この薬を、奴隷の手に張り付けておけば、いいのではないでしょうか?」
「トード、討伐で待機している時、奴隷と冒険者はどうしている?」
「冒険者は、奴隷から離れて作業を見ているようです。」
「基本、襲われるのは奴隷だが、冒険者の脇に立っていれば奴隷でも冒険者だと思うだろう。危険な奴を襲うより、てじかな者を襲った方がリスクが少ない。
そこでだがその薬、熱と水に溶ける様に作られている。普通に持っているだけならいいが、奴隷に持たせて仕事させると、汗と高くなった体温で溶けるだろう。」
「・・・・」
「それに、奴隷を消耗品の様に思っているようだが知っているよな?」
「誰でも知っていると思います。
奴隷には、幾つか種類があって。
犯罪奴隷、この間襲ってきた傭兵達のような重犯罪を犯した人達です。犯罪が軽ければ、刑期があり終われば開放されます。鉱山とか農地開拓で刑期満了まで働きます。
戦争奴隷、戦争に負けた人達です。こちらには、刑期が無いので死ぬまで働かされます。奴隷商人が売っていて、鉱山、農地開拓や農園、屋敷の召使いになります。
契約奴隷、約束を破った人です。アイテムの運搬を頼まれたのに、売ってしまって逃げた。というような人です。こっちも犯罪なのですが、それ程罪が重くないので、賠償金が払えない分の間 奴隷になります。返済が終われば開放されます。こちらは、当事者で話し合って、何処で働くか決められます。鉱山や農地開拓より農園や召使いを選ぶようです。」
「そう、良く知っているね。でもこの鉱山は、少し違うようなんだ。」
この言葉に、ビクッとするトード、やはり町の住民は知っているようだ。
「町の周りに、農園が広がっているよね、遠くの農園に通うのは大変だから、近くに村や集落が出来ていく。そこを獣や魔獣、強盗が襲う事もある。」
「はい、私達はそれを依頼されていました。」
「フォーレン近郊の村も襲われる、でも、家を焼かないし、農作物を奪わない、老人・子供は怪我などしない。居なくなるのは、働く事が出来る村人だけなんだ。」
「え?」
「でも、居なくなった人数より多いくらいに村人は、増える。」
「え・・?」
「意味が分からないよね。
仕組みは簡単なのだ。村に来た強盗は、村人を檻に入れて連れ去る。その檻には、その人数以上の人が入っていて、交代するんだ。
老人は、村に来た人に農作業を教える。老人は、いつかは死ぬからその前に、来た若い?老人に教える。子供は、大きくなるまで育てられる。労働出来る人達は、家が与えられ仕事も出来るという訳だ。」
「なんで?」
「そんな面倒な事をやるか?かな。
それは、フォーレンの町が関係している。フォーレンには、仕事があって、きれいだし、スラム住人になっても奉仕すれば炊き出しが貰える。」
「はい、私の町や村でもそう聞いています。」
「そうやって人が集まる。でも、全員に仕事がある訳ではない。自然にスラム住人が増える。増えた住人を集めて、農園に送る。住んでいた農民は、鉱山に送る。」
「えぇ?それって犯罪じゃないですか。」
「誰が犯罪をやっている?」
「決まっています、強盗です。」
「スラムから人を集めて農園に送るのは?」
「それは、犯罪・・じゃないです。」
「農園から集めた農民を奴隷商人に売るのは?」
「それは、犯罪です。」
「では、買った奴隷商人は、さらに鉱山に送る奴隷商人に売るのだけど、どういう奴隷だかは言わないし聞かれない。これは?」
「えー。犯罪ですよね。」
「そうかな?最初の奴隷商人は、グレーだよね。たとえ知っていても、どういう奴隷を買ったか知らないって言うだろうし。次の奴隷商人は、無罪だよね。だって、売っている奴隷を買ったのだから、この国は奴隷売買は違法じゃないからね。」
「・・・・・」
「そうやって集めれた奴隷は、あの鉱山に送られているんだよ。」
「・・・おかしいです。なぜ、強盗は捕まらないのですか?」
「どの段階でかな?
スラムの住人は、数名ずつ門外に出されて、集まれば農園に送られる。門番は、顔見知りがスラム住人2~3人連れて、外に出ても文句言わないだろう。
では、農園に調べに行ってみると。いつ農園に行っても、誰も居なくなっていない、自分達は昔からここで働いている、とみんな言うんだよ。」
「だったら、スラム住人の集められている場所を、調べればいい。」
「それは、誰も知らないのだ。そんな事は無い、となっているからね、誰も調べないしね。」
「・・・・」
「だったら、町の役人に訴えたらいい。」
「フォーレンの役人・門番も他の町に比べて、高い給金をもらっている。それに、町の行政に問題があるとか言ったら・・間違いなく首になる。言うと思うかい?」
「・・・・・」
「だったら自警団に訴えれば?」
「住民が消える様になって、住人から自警団に訴えたようなのだ。
役人に言っても、『そんな事実はない』と言われ。
門番に言っても、『そんな怪しい事を見逃さない』と言われ。
いくつか農園を回っても、『農民の入れ替えなど無い』と言われ、
たまたま知り合いのスラムの住人がいても、『スラムより農園で働いた方がいいので、ここに働きに来た』と言われたそうなんだ。
門外のスラム住人が集めれている場所は、見つからないので証明をすることも出来ない。」
「・・・でも、・・・そんな事おかしいです。」
エイミとダイは、トードにいくつか質問していた。その後、二人で相談をしていた・・。
決まったのか、ジャックの顔を見る。
「それで、トカゲだが、どうするか決まったのか?」




