第10話 トカゲ退治の方法
馬車が走り出す。
ジャックは、腰に付けた袋から4つのアイテムを出して、二人に見せる。二人は、初めて見るアイテムに興味深々の様子。トードは、馬を操りながら聞き耳を立ているだろう。
「これの説明の前にここ最近の冒険者は、どういう戦いをしてるか知っておいた方がいいだろう。トード、聞いているか?」
「最近ですか?・・・奴隷が襲われて、手や足を食いちぎれると聞いていたようで、奴隷の手足に、睡眠や麻痺毒を縛り付けていたと聞いています、でも、かじった時に異物に分かったのか噛み切らずに消えたそうです。
別の冒険者は、噛む瞬間に開いた口に魔素爆弾を入れようとしましたが、それも失敗(投げた時には、口は閉まっていて)してしまいました。
それから、矢じりに毒を塗って、口や目を狙っていました。それも失敗してしまったようです。ただ当てようとしても、トカゲは動いていますから当たらないようです。
最近は、魔素爆弾を何とか目や鼻先で爆発させようとしています。その隙に開いた口の中に、毒を入れる相談をしていました。」
「話に出てくる『魔素爆弾』って何ですか?」(エイミ)
「鉱山で使っているのは、内側に薄くミスリルコーティングした鉄の器の中に、高密度に圧縮した魔素が入った爆弾ですね。魔素が混じった導火線が付いていて、線に魔素を通すと器の表面に付いた発火剤が器に衝撃を与えます。すると、器が割れて魔素が飛び出す。という物です。
冒険者は、導火線を外して衝撃で爆発する様に、改造したようです。
飛び出た魔素は、ぶつかった物体の魔素にぶつかり、その魔素を飛ばしてしまうとか。簡単に言うと、ぶつかった物をガタガタにするそうです。魔素が拡散しない狭い場所でしか使えないと聞きました。すみません、分かりにくい説明で。」
「いいえ、大体わかりました。それで、ジャックさん、どうやって討伐するのですか?」
「聞いた通り色んなやり方で討伐しようとしているが、失敗続きだ。これだけ失敗すると、トカゲには半端な攻撃は効かないだろう。」
「そこで、このアイテムだが。元は、全部同じだ。ダイ、これは何んだか分かるか?」
差しだれたのは、大きさは親指より少し太く、長さは同じ程度、試験管のような形をしてコルクみたいな栓がしてある。中には、光沢のある液体?が入っていた。それは、粘着性の液体だろう、ジャックが振っても動かない。
「・・・それって、カエルですか?」
「そうだ、これがどれだけ危険か覚えているな?」
「はい、覚えています。」
「次に、これだ。」
液体の容器の半分の長さの容器、口は栓がしてあって同じだが、奥に連れて狭くなっている。中には、薄い黄色っぽい白い粉が入っている。
「これは、こいつを乾燥させたものだ。そして、これ。」
袋に包まれたアイテムだが、ジャックが出して見せる。
「これは、この粉をゼラチンで固めたものだ。」
それは、丸い錠剤。大きさは、5mm程、それが4粒あった。
「最後に、これだ。」
鉛筆より幾分太い筒、片方に幕が張ってあり、中に何か入っている。
「これは、吹き矢という武器だ。見た事は?」
「「ありません。」」
「こんな武器、冒険者は使わないから知らなくて普通だろう。こういう使い方をする。」
ジャックは、幕の無い方でくわえて、頬を膨らませて吹く動作をして見せる。
「勢いよく吹くと、中の針が飛び出る。その針先にカエルの毒が塗らている。触れれば死ぬから封をしてもらった。これは一回しか使えない武器になる。」
「さっきのトードの話を聞いただろう。トカゲは、かなり学習している。
そこでだ、坑道の奥で、奴隷達が採掘している。そこにお前達ふたりは、一緒にいてもらう。俺は、離れた場所で気配を消して隠れている。
トカゲは、奴隷を襲うだろう。まあ、気配を消してまじかで襲うのだから奴隷は、逃げる事も出来ない。その時を逃がさないでエイミが対峙するのだ。戦う必要はない、時間稼ぎだ。
俺は、トカゲが出たら坑道に姿をだす。逃げ道を塞ぐのが目的だから、俺はお前達に手を貸さない。」
エイミとダイの緊張した顔。
「俺を見たトカゲは、エイミに襲い掛かる。挟まれているのだ、弱い方を相手にするだろう。」
エイミの顔が引きつる。
「エイミとトカゲが対峙している間に、ダイ、弓の準備をしろ。この粉(白い粉を渡す)を塗って、トカゲの口の中か目を狙え。他に当ててもはじかれるだけだ。それに粉の危険は分かっているな。蓋を開け矢尻を入れて引き出す。絶対にかき回すな、粉が飛ぶぞ。」
ダイは、ビンを食い入るように見ている。
「それとエイミ。これを手と足に巻いておけ。(丸薬を全部渡す)両手と両足だ、食いぎられても呑み込んでくれれば死ぬ。」
今度は、エイミの顔が引きつる。
「それと、これもだ。(吹き矢をエイミに渡す)手か足を食いちぎれられる時に、幾分の間があるはずだ。その時に、口か目に吹け。」
信じられないと、ジャックを見るエイミとダイ。
「食われる事が前提なんですね。」
「それは万が一だ。戦う必要は無い、時間稼ぎをしろ、ダン、お前の腕なら大丈夫だ。」
「・・・・・」
「事が終わったら、俺は姿を消す。その時に何処にいても分かる様に、印を付けてやる。後でユックリ、討伐の確認をすればいい。」
「・・・・、それで、報酬が少ないと言っていたのですか。」
「そうだな、これを聞いたのだ。もっと報酬をやってもいいのだが。」
「それは、成功した時でいいです・・それよりも、・・。」
「トカゲとうまくやれるか心配か?」
「はい。」
「受けるか二人で相談すればいい。このまま帰ってしまうのも有りだ。どっちでも二人で決めてくれ。」
それから、エイミとダイは頭を突き合わせて相談した、口数が少ないが真剣に悩んでいるのだろう。
「ジャックさん、相談があります。」




