9019K列車 忘れてもらえません
輝サイド
あさひが働き出して、1.5ヶ月。
光「そんなに奥さんのことが心配。」
と聞かれる。
輝「そりゃね。心配するなっていう方が無理でしょ。メイドだよ。それも光の家。」
光「大丈夫だよ。もう家族とも打ち解けてるし。新しい家族みたいなもんだよ。」
輝「・・・。」
光「そんな顔するな。取ったりする奴はいないから。」
多分、怖い顔していたんだろう。光の家族があさひを取る。そんなことはないな。「ひかり」のタッグは「きらめき」。「あさひ」タッグは「かがやき」と昔から決まってる。・・・冗談が半分だ。
光「それはそうと、貯まってる、お金。」
輝「僕の方は至って順調。ヨーロッパ行って以来、何処にも行ってないからね。というか行けてないからね。嫁の申し込んだ「四季島」のこともあるし、ヨーロッパ旅行はお金使いすぎた・・・。」
その後、光君は指折りでお金がかかるものを上げていく。
光「シベリア鉄道、「eurostar」、TGV、ICE、「Frecciarossa」、後は空路の直行便。」
シベリア鉄道は新幹線と同じくらい知名度のある鉄道。乗車時間7日間は伊達じゃない。eurostarはイギリスとフランスを結ぶ高速鉄道。TGVはフランス、ICEはドイツ。Frecciarossaはイタリアの最高種別になる高速鉄道。
輝「「Frecciarossa」の食堂車、「nightjet」、DSB、レーティッシュ鉄道・・・。」
イタリアを走る」「Frecciarossa」には食堂車の着いている編成が一部存在している。時速300キロで疾走する食堂は世界で類を見ない。「nightjet」はオーストリア国鉄の運行する夜行列車ブランド。DSBとはデンマーク国鉄のこと。レーティッシュ鉄道は「氷河急行」と言えば通じる人が多いか・・・。
お金かかるものしかのってないな。
光「それだけ乗ったらお金なくなるわな。・・・帰ってきた当時貯金いくらだったの。」
輝「・・・えっと・・・。いくら残ってたんだろう。」
光「そこ感心持とう。」
輝「大丈夫。ちゃんと使ってない奴はあるから。多少のことがあっても問題はない。緊急時でもない限り何があっても手をつけない貯金って言うのがちゃんと残っていればね。」
光「・・・。」
輝「以外。僕はそういうの糸目つけずに全部使っちゃう系だと思ってた。」
光「・・・だって、お前の活動自体に何のメリットもないだろ。収入的に。」
輝「まぁね。だけど、僕はその為に活動してるわけじゃないから。自分の為に活動しているだけ。他のユーチューバーさんとは趣向が違いすぎるかも。パステルのアカウントは変人しかいないからね。セーラーさんとコラボってから登録者爆上がりしたんだよ。ああいう自己満でもいいねしてくれる人が多いって言うのはありがたいよ。」
光「嫁に感謝は伝えとく。・・・夫婦揃ってウチの嫁に頭が上がらないなんてな・・・。」
それには笑うしかないな。
輝「・・・。」
同僚「ヨーロッパ行ったのに、お土産一つ買ってこないなんてなぁ・・・。」
輝「それは忘れてた僕が悪いだけで・・・あっ・・・あのちゃんとアフターフォローは・・・。」
光「ヨーロッパ土産が欲しかったところに、日本のお土産じゃあ肩すかしも半端じゃないよなぁ・・・。」
同僚「そうそう。」
輝「・・・そろそろ忘れてもらえないですか。」
光・同僚「忘れられるわけないだろうね。」
輝「そこ・・・ハモらなくても良いんだよ。」
同僚「そういえば、今度またどこか行くのかい。」
輝「えっ。そういう話は誰にもしてない筈なんですが・・・。」
光「ハァ・・・。お前、アレで隠してたつもりだったのか。」
光の言うことがいまいちよく分からない。
同僚「性別関係なく、部署中の噂になってるぞ。まぁ、大体は新しい女が出来たって話になっちゃてるけど・・・。」
輝「何で新婚で新しい女が出来たって話になってるんの・・・。」
同僚「まぁ、輝の趣味が理解出来なくて新婚に逃げられたってところが主に理由らしいけど・・・。」
光「お前はそういうことしないだろ。それにモズがお前に惚れたのはそう言うところも含めてだろ。だから、消去法。一番あり得るのは・・・。」
輝「どこか行くって話って訳ね。」
光「・・・で、本当のところどうなのさ。」
輝「大当たり。」
とは言っても・・・「四季島」の3泊4日なんて・・・そう簡単に当たるわけがない。「瑞風」・「ななつ星」全部のプランに申し込んだところで当たる可能性は宝くじを1等当てるようなものだ・・・。
同僚「今度はいつ1ヶ月休み取るんだ。」
輝「それは未定。」
同僚「未定なのに、あんなに嬉しそうにしてるのか。」
あんなに嬉しそうにしてるって・・・。
輝「あの・・・。僕ってそんなに感情丸出しで仕事してますか。」
光「寧ろ、うれしさ丸出しで仕事してなかったらこんな噂広がらないって・・・。」
何か、自分が怖くなった。
車掌長「輝。出るぞ。」
輝「はい、今行きます。」
近くの制帽を手に取る。さて、では東京まで行きますか。
あさひサイド
あさひ「・・・てる・・・。」
気がついたら慣れた手つきでテル君にメッセージを送っていた。