【2】
ただただ自分の趣味で書いていきます。
「なぁ、ソラ体育館いこうぜ」
俺と同じクラスの足丸 蹴太は片手に運動靴を持って俺に駆け寄った。
「えぇ、体育館?やだよ、一人で行って来なよ」
「なんでだよ〜、行こうぜ」
「だって、体育館なんて能力自慢のヤツらが集まるアホの集合地帯じゃん」
この学校の体育館はそこら辺の学校のグラウンドの4倍くらいの大きさの建物のことだ
「いや、まぁ確かにお前からしたらみんなアホなのかもしれないけどさ……」
「とりあえず、俺はパス」
「あ、待てよ。どこに行くんだよ」
「購買で飯買って寮に戻る」
俺は投げやりな口調で蹴太にそう言い残し、机の上にあったジュースの紙パックをゴミ箱へ放り投げ、教室を出た。
「あ、待てよ。俺もついて行く」
「お前は体育館に行って来いよ」
「流石にあそこに1人では行きづらいだろ……」
体育館では各々才能、異能の特訓やら他の人への見せ場としての利用が主だった。
「良いじゃないか、1人で永遠と体育館の周りを走ってれば良いだろ?」
「そんなのただの変人だろ……」
確かに体育館の周りを汗だくになりながらずっと走ってる姿は気味が悪い。
「昔はお前足の速さを周りに自慢してモテてたんだし、今でもそれでモテるんじゃないか?」
すると、蹴太は呆れたようにこう言った。
「お前なぁ、足が速くてモテるのは小学生までだぜ?今そんなの周りに見せても『は?それがお前の才能なんだから当たり前だろ……』みたいな目を男女問わずされるんだぜ?」
「まぁ、俺もそう思うけど」
「ひでぇな……わかった上で言ってたのかよ。ところでよ、寮に戻って何するんだ?」
「勉強」
「お前なぁ、いくらお前な能力が勉学方面だからってそればっかしじゃつまらないだろ」
「実際、そっち方面の能力だったらお前だって嫌でも勉強することになるだろ」
「まぁ……それもそうか」
この学校では、年に2回能力診断という名前のテストがある。そのテストでS・A・B・C・Dの五段階評価がされるのだが、そのテストで成長が見られないと判断された場合独房のような所で半年間研究者とみっちり能力育成となる。
「でも、蹴太なら最初のテストで手を抜いてよ、次のテストで少しでもタイム縮めたら大丈夫なんじゃないか?」
「いやいや、無理なんだよ。両の手首足首に変なバンドみたいなの付けさせられて俺の心拍数だとか消費エネルギーだとかを計算してその時の全力なのかどうか分かるんだとよ」
「まじか……」
「そ。だからそんなの無理なわけ」
「めんどくせぇな……」
「しょうがないだろ。ここは能力向上を目的とした実力主義の学校なんだからよ」
「まぁ……それもそうだな」
「てか、ほんとにこのまま寮に戻るだけなのか?勿体なくねぇか?」
「んー、と言っても他にやりたいことも行きたいとこもないしな」
俺がそう言うと、蹴太は手に持ってたシューズの紐を持ち、靴を空中でグルグルと回し始めた。
「そっかぁ……俺はこの間お前の為にすげぇ働いたのになぁ……お前は俺のワガママひとつも聞いてくれないのかぁ。体育館に一緒に行ってくれるだけでいいのになぁ……」
「うわぁ……めんどくせぇお前。今それ持ち出すのかよ」
「今言わなくていつ言うんだよ!時がたったらお前『そんなこともあったなぁ……』で済ますだろうが!」
数週間前俺はこいつの足の速さを使って校舎の中を猛ダッシュさせていた。多分こいつは今はその事を言ってるのだろう。
「分かった分かった。行くから、行くからその話はチャラにしてくれ」
「あまり釣り合ってない気がするけど、まぁいっか!行くぞ〜」
そう言うと蹴太は俺を抱えた。
「おい、なんだこれ」
「俺が先に行ったらお前ゆっくり来るじゃん」
「お前の足が速いんだよ……」
「だから、こう連れてった方が早いかなと」
「俺はペットか?」
「まぁまぁ、とりあえず行くから捕まってろ。落ちたら怪我するぞ」
「はぁ、ペースは最低限守ってくれよ……」