2話「生まれ変わる」
(うん?暗いな……)
意識が戻ると、目の前が真っ暗だった。
少し熱いような……
たしか、崖から落ちて意識を失ったんだよな……
意識がある中で、視界が無い。
生きてるのか?
そう、疑問に思う。
暗いのは視力を失いながらも生き残ったってことなのか…?
(もし、生きているなら……)
そう、考える。
いや、無理…だろ。
崖から、落ちたのだ。
人も、居なかった無理だろうな……
半ばあきらめ状態だった。
(てか、なんで俺こんなに冷静なんだ?)
こんな、不思議な状態なのに冷静な俺に疑問を抱く。
いや、いまの状況てきに冷静なのは、いいことだ。
不思議では、ある。が困るわけではないと考えることを変える。
今、考えることはどうなっているのか。なのだから
(これは植物人間というものなのでは?)
生きているならそうだろう。あの重症だ
植物人間状態……。嫌だな、そう考える。
そんな時、声が聞こえる。
「息…してないのか?」
「いえ、息はしているみたい。でも、泣いてはないはね…」
(んんんんんんん?どういうことだ……?)
男性と女性の声が聞こえる。
疑問に、疑問が重なり混乱する。
それでも、そこまで疑問を抱いてはいない。
不思議と冷静だった。
・・・・・
・・・
目が開いた。
いきなりの、明るい景色に目を閉じたくなる。
「目を開けたようだぞ・・・よしっ。いなーいなーいばぁ!」
目を開けると、黒髪の男性が「いないいないばー」をしていた。
(え?・・・ふざけているのか?大の大人が、子供でもない俺に‥‥ん?)
いや、違うのでは?
おかしいのは、俺じゃないのか?よく考えろ、俺…
普通、生きているなら。俺は重症で、普通なら病院にいるはずだ。
だが、ここは病院じゃないし
あの重症で身体も動かせる。
考えれば分かる話。単純なのかもしれない。
(決めつけたくはないが『転生』なのか……)
念の為、体も見てみたが小さくしゃべることもまともに出来ない。
早くも、今の状況を理解してしまう。
いや、するしかないのだ。
あなた、そんな顔をするなんて」
茶髪の女性が、黒髪の男性に語りかける。
彼らが、話している。
「いいだろう。赤ん坊にはこうするって書いて――」
「はじめは、寝かせるものでしょう?――」
「それは――。……分かったよ」
(まぁ。『転生』が妥当か……)
見たことない人が、目の前にいる。
俺の身体も、小さい。ホントに、『転生』することがあるんだな。