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封印少女、持ち帰ります。  作者: ぱふぇ
二章-そうだ王都、行こう。
22/29

6話:王城探索 1

かなーーーーり遅くなってしまい、誠に申し訳ございません!!

引き続き私用が忙しくなっているので、この先も投稿ペースが遅くなるかも知れませんが、ご了承ください……

「こちらがワタル様方のお部屋になります」

「うわ、これひとつ僕の部屋か。すごい大きいな」



ホテルのスイートルームを超える程の大きさ。


こんな豪華な部屋を、一部屋四人で六部屋。


当然、生徒たちは大興奮である。


因みに、ワタルのルームメイトは悟と佑介、そしてもちろん暴龍天凱だ。


別の部屋では、優香とあかりと夏希というクラス最強美少女タッグでまとまってひと部屋となっている。


その部屋は、クラス男子からは、通称"聖母の部屋" "桃源郷"などと呼ばれているようだ。


クラスメイトたちは修学旅行の時のような気持ちで、自分の部屋の大きなベッドにダイブした。


もちろんワタルたちも例外ではない。


ワタルと暴龍天凱は同時にベッドにダイブし、地球の並のホテルとは比べ物にならないほどのふかふかに身を包まれ、しばらくの間、擬似的な屍と化した。



「約一ヶ月ぶりのオフトゥン……はぁぁぁぁあ、気持ちいいなぁ」

「生き返るねぇ〜」



おじさんみたいな溜息とともに会話を進める。


ルームメイトである悟と佑介は、優香を迎えに行くために、既に部屋を後にしていたので、今部屋にいるのはワタルと暴龍天凱の二人だけだ。


なので、思う存分にゴロゴロできる。


だが、止めなければ永久にベッドの上を転がっていそうな二人に、不意に声がかけられた。



「まったく……二人して何やってるのさ」



声のした方に体を向ける。


見ると、部屋の入り口に苦笑いのサツキとエリアスが立っていた。


二人はそのままワタルと暴龍天凱のいるベッドに近づき、腰を下ろす。



「いらっしゃい。僕たちもそっちに行こうとしてたけど、お布団に捕まって出られなくなったんだ」

「やっぱりね……まあ、一ヶ月も森で生活すれば、本格的なベッドからは逃げられないよねぇ」

「全くもってその通りだよ」



暴龍天凱が共感する。だが、布団から出る気はないようだ。


布団の虜囚となりつつも、ワタルはサツキとエリアスが来室した理由を問うた。



「で、どうしたの?」

「いや、ご主人がさ。お城を探検したいって」



聞けば、夜まで暇だし、その暇つぶしに城の内部を探検してみよう、とのこと。


この世界と地球の時間の刻み方は奇しくも一致しており、今夜八時にパーティーがある。


確かにそれまでの間ベッドの上で転がっている訳にもいかず、ワタルと暴龍天凱は暇を持て余していたので、暇つぶしの誘いが来ても断る理由もなかった。


実をいえば、だだっ広い城の中をぶらぶら歩き回って探索するということは、ワタルと暴龍天凱も一度やってみたかった事だったので、むしろ大歓迎である。


なので、即決。



「もちろん。僕たちでよければ、いくらでも付き合うよ」

「やったぁ、ありがとう……!」



ワタルと暴龍天凱はついて行くことを同意する。


たったそれだけの事なのに、眩しいほどの笑顔をうかべるエリアス。


男二人は「そんなに喜ぶかな?」という疑問を抱えつつ、エリアスに可憐な満面の笑顔を向けられて、少し頬を赤くした。


サツキがコホンと小さな咳払いを挟むと、ワタルと暴龍天凱は我に返り、ベッドからおりる。



「じゃあ早速、どこから行こうか?」

「あっちから行こうよ……みんなあっちに行ってたし」

「わかった、それじゃあ行こう」



いざ、王城探索。


暇つぶしに城の全てを調べ尽くすべく、ワタルたちは部屋を出た。






「やっぱり広いねぇ」

「まあ、あの外観だしね。よく掃除が行き届くなぁ」

「リュウくん、そこ?」



探検の途中、ワタルの独り言を暴龍天凱が拾い、サツキにツッコまれる。何回目かの光景だ。


今ワタルたちはまた廊下を歩いている。


三十分かけてクラスメイトたちのいる部屋をまわってきたので、次は別の場所に行くつもりらしい。


ホールへ向かう通路を通り、数人のクラスメイトやメイドさんとすれ違いつつ、ワタルたちは今夜のパーティーの会場である広いホールに着いた。


天井はとても高く、美しいシャングリラも付いている。


勿論ここも例に漏れず、煌びやかな装飾の数々がシャングリラの光を反射して、キラキラと輝いていた。


十数人のメイドさんがパーティーに向けて準備しているのが伺える。



「おぉ、眩しい。この建物、一体いくらかかってるんだろ」

「ワタル……気にするべきはお金だけじゃないよ……」



それを見て発したワタルの一言に、エリアスが苦笑いをしつつツッコミを入れる。これも何回目かの光景だ。


と、その時、暴龍天凱の視界の端に、ホールの外へ出ていく一人のメイドさんの姿が映った。個人的に、そのメイドさんがどこで何をしに行くのかは気になるところ。


ワタルたちとの相談の結果、次はあのメイドさんについて行ってみることに決めた。


先のメイドさんの出ていった両手扉から、ワタルたちが顔を覗かせる。


メイドさんは、ちょうど突き当たりの角を曲がるところだった。それでも二十メートル程の距離があることから、この城の広さが伺えるだろう。しかも、これでもほんの一角なのである。


今日中に探索しきれるか不安になってきた。



「よし、曲がった」

「今だ、行くよ」

「うん……」



まるでどこぞの特殊部隊のような動きでメイドさんを追尾するワタルと暴龍天凱とエリアス。



「今度はご主人まで、何やってるのさ……」



サツキが三人の後ろで、やんちゃなわが子を見守るような視線を向けている。


その姿はまるで、小さなお母さん……


それはともかく、メイドさんが曲がった角にサササッと移動する三人。メイドさんは、さらに向こう側にいる。またひとつ角を曲がるようだ。


再びサササッと移動し、その先を確認する。


さらに長い廊下があり、分かれ道が遠くに見える。


メイドさんの姿は無かった。



「あれ?どこ行ったのかな……」



だんだん距離を詰めるワタルたちに対し、曲がり角への距離は遠くなっている。


ダッシュしても間に合うか怪しい距離だが……


と、その時、サツキが瞬時に後ろを振り返る。



「何か御用でしょうか?」



すぐ後ろから声が届く。


先程まで前にいたはずのメイドさんは、いつの間にかワタルたちの後ろに回り込んでいた。

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