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封印少女、持ち帰ります。  作者: ぱふぇ
一章-異世界への転送
2/29

§プロローグ2§

感想や改善点などを知らせていただければ幸いです。

ここは、とある学校の教室。窓という窓すべてを開けているのにもかかわらず、この部屋の壁に掛かっている温度計は現在、三十三度を記録している。


六月四日月曜日、朝八時。


真夏の日差しが燦然と教室の中に差し込み、容赦なく生徒たちの頬を照らした。


その教室の中で桜井ワタルは、今日もいつも通り、ある友達と話していた。


教室の中央では、クラスの陽キャ代表、いつでも正義感に溢れた十六夜悟が、グループの仲間たちと話している。


十六夜悟(いざよい さとる)水谷優香(みずたに ゆうか)文野佑介(ふみの ゆうすけ)


クラスをまとめるリーダー的役割を果たしているグループ。


対してワタルは、典型的なオタクである。


教室の端でスマホを見て、教室の状況はあまり気にしない。


家に帰ったらすることをいつでも考えている。


だが、ワタルは、学校を憂鬱だとは思っていなかった。先生も優しいし、クラスメイトも、少数だが話す人はいる。


なので、今日もその少数の友人と雑談をして、いつも通り朝礼が始まり、授業が始まる。今日最初の授業は、社会だった。最近は歴史分野の勉強をしている。


しばらく経ち、授業は終盤。


ワタルは相も変わらず、まだ一時限目だというのに、帰ったら何をするかに思いを巡らせていた。


その時、クラスのどこかから、先生に質問が投げかけられた。



「ここまでで質問はありますか?」


「じゃあ、せんせーい、今は日本史をやっていますが、日本史と世界史以外にも、異世界史もあるんですかー?」



教室に笑い声が点々と起こる。異世界の存在は、人々は架空の産物と認識している。

確かに、あればいいなぁ、と、ワタルは思う。

実際に異世界に行って、魔法というものを使ってみたい。

夢の詰まった世界を、自分の足で冒険してみたい。

ワタルは、今度は異世界について思いを巡らせている。



「あればいいのですがね。誰もが一度は夢見るでしょう。夢があるのは、いいことです。」



くだらない質問でも、優しく丁寧に返してくれているのは、笹野先生だ。

優しい性格故に、多くの生徒から慕われている。

クールさの中に見え隠れする優しさというものが、人々の心を惹きつける主な要因だろう。

さらに先生は続ける。



「でも、架空の世界です……残念ながら、異世界なるものは存在し━━」



先生の意見は、ごく一般的な答えだった。しかしそれは、彼が発言すると、次元を超えたフラグ設立となる。

ワタルは、完全に侮っていた。笹野先生のフラグ回収能力を。

そんな大胆なフラグ、いくらフラグコレクターたる先生だって、回収できるわけがない。きっと、場を和ませるための冗談だろう、と。


刹那。部屋に一瞬、強烈な歪みが生じる。


教室の中にいる誰一人として、他人に警告することも出来ないほど一瞬の出来事。


しばらくの間。


歪みがだんだん晴れてくる。


歪みが完全に無くなったその教室には、開かれた教科書、床に落とされた筆記用具などがあるばかり。


人影は、ひとつとして無かった。


先生の凄まじい、次元を超えたフラグ回収により、教室内の人間は、異世界に飛ばされてしまったのだった。


クラスを挙げた異世界攻略は、このときを持って始まった。


ここから先は、元いた場所ほど平和ではない。殺るか殺られるかの闘いも多々存在する。


強者が弱者を喰らう、弱肉強食の世の理が体現された、理不尽に溢れた苦境にも出くわすことだろう。


その世界で、平和と安息を求めて、ワタル達は進むことになる。


この出来事は後に、ここにいる人物は愚か、全世界の誰にも予想することなど不可能な事件として人々の記憶に刻まれることとなった。







プロローグ②

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