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封印少女、持ち帰ります。  作者: ぱふぇ
一章-異世界への転送
1/29

§プロローグ1§

この物語を手に取って下さり、ありがとうございます。コメントで気軽に感想をいただければ幸いです。

いつものように朝を迎える。


学校へ行き、クラスのみんなと話す。


今日や明日、(ある)いはその先のことを話しながら、みんなで帰る。


そんな当たり前のことが、今では叶うことのない幻想となってしまった。


かつては幸せに生活していた健気な少女は、今では神殿の一角のような、広く暗い空間に閉じ込められている。


どうしてこんなことになってしまったのか?


幾度となく口にして自分に問いかけるも、答えが出てくる訳も無く。


独り啜り泣く声が、暗い昏い深淵に木霊した。



「誰か来て……」



少女は呟いた。か弱く、消え入りそうな声で。


だがその声は、広い空間にただただ反響するばかりで、誰にも届くことは無い。


身動きの殆ど取れないようなこの状況で、このままずっと永遠の時を過ごすのだろうか。

そう考えると、少女の頭の中は恐怖で埋め尽くされた。



「嫌だ……早く、ここから出してよ……」



少女は、またぽつりと呟く。


だが、日光等の自然光は愚か、人工の光ですらも全く届くことのない、光から完全に隔離された地下空間からは、少女の声はやはり誰にも届くことは無かった。
















あれから、長い時間が経った。


いつぶりだろうか、この部屋に変化があったのは。


突如、地面が大きく揺れた。



「━━ッ?!」



かつてないほどの大きな揺れが、少女のいる部屋を激しく揺らす。


壁や天井の至る所に次々と亀裂が入り、大小さまざまな大きさの瓦礫がいくつも地面に叩きつけられ、その衝撃が少女の体を震わせた。


地震だ。この世界で、かなり大きな規模のもの。


その震源は偶然にも、少女の封印されている部屋の真横だった。



「ぐっ……!」



咄嗟に残り僅かな魔力を枯渇しない程度に絞り、床に這いつくばりながら障壁を張る。


少女の頭上からも瓦礫が落ちてくるかと警戒して張っておいたのだが、意外なことに、思っていたよりも部屋の損傷した部分は少なく、幸い部屋が崩壊することは無かった。


部屋は、強大な揺れにも耐えうるほど頑丈な作りだったらしい。






しばらくすると、徐々に揺れが収まった。


薄い障壁の中でうずくまっていた少女は、そっと顔を上げる。



「……開いてる……!」



その時少女は、長年待ちわびていた光景を目にした。


少女の顔が歓喜の色に染まる。


封印部屋の封印が解けていたのだ。


多くの瓦礫のうちの一つが、封印を構成する魔法陣の真上にピンポイントで落ちてきたのだろう。結界を張っていた魔法陣は、その中央から破壊され、光を失っていた。



「今なら……!」



封印という枷を解かれた少女は、部屋の外へと続く扉を抜けた。


少女が封印されて、実に三百余年後。







━━遂に物語は、動き出す。━━





プロローグ


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