悪魔の話。
僕は悪魔。
名前なんていう大層なものなんてない。
いや、もつ資格なんてないんだ。
願いを叶えながらその魂を喰らうが今はある少女を見ている。
何やら生に苦しんでいるらしい。
独りよがりの考えで被害者ぶっている。
線だらけの腕と足。
僕はあんなやつが大嫌いだ。
だから僕は言ってやった。
「その願い叶えてやろうか?」
って
「殺してくれるの?」
虚ろな目で聞いてくる。
正常じゃない目に驚いて
冷静に考えるよう促したつもりだった。
次の日行くと答えは変わっていなかった。
目は虚ろではなかった。
「わかったよ。」
そう言って僕は殺した。
下の部屋で彼女の両親が
「最近、沙耶が調子良さそうで良かった。」
「あぁ何とか元気でいて欲しいな。」
なんて言ってるのを聞いてしまったから余計にこの女に腹が立つ。
「ありがとう。」
なんて唐突に言うから親に感謝でもしてるのかって思ったら殺してくれたと僕に感謝しているらしい。
本当にイライラさせる女だ。
僕はあるものを見せた。
そう彼女の葬式の映像だ。
彼女の両親、先生、友達が泣いている。
隣ですすり泣きが聞こえる。
今更後悔したって遅い。
人は誰でも愛される。
そう僕だって愛されてた。
そして僕も気づかずに自殺したよ。
そして死んでから気づいた。
だから僕は悪魔になった。
1人でも多くの人が愛されてることに気づくように。
「私、馬鹿だ。」
彼女の言葉は僕がかつて言った言葉と同じだ。
貴方も愛されてるよ。
それを忘れないで。