少女の話。
自傷名注意
私は沙耶。
腕にはリスカ痕、足にもレグカの痕がある。
高2だが中々学校にも行けない。
元々は成績も良く、国立大学を目標にするほどだった。
親からも傍からみたら過度な程の期待を受けていた。
塾、通信教材、外部模試、資格試験。
小学生の頃から勉強漬けの日々だった。
私の父親は勉強に厳しい人だった。
テストの結果しか見ず、気に入らない点数の時は殴ってくるような人。
母親はそんな父親に逆らえずにいた。
最初はいい点数を取ることで両親が喜んでくれるのが嬉しくて頑張っていたがいつの間にか殴られたくなくて頑張るようになっていた。
そして高校1年の時に私は急に学校に行けなくなった。
元々起立性調節障害を患っていたがそれとはまた違ったものだった。
朝起きると涙が零れ酷い吐き気と目眩に悩まされる。両親はそんな私を罵った。
なんとか進級したが高2でも症状は変わらず病院に行っても診断はおりず軽い薬のみ。
どうせ皆こんな私が嫌いだし両親からも愛されてない。
高2になって1つだけ変化した。
それは両親が諦めからか優しくなったことだ。
その優しさが痛い。
「今日、3時間だけ出た。」
「出れたなら良かったじゃない。ゆっくりやすんでね。」
今日も優しい。
去年はその優しさを求めていたはずが今は·····。
学校に行こうとすると何かが辛くて涙が出る。
休めば申し訳なさと自分への憤り、焦りで涙が出る。
早退すれば周りの目の怖さ、不甲斐なさに涙が出る。
そう。
毎日毎日涙が出る。
なんで生きてるんだろう。
もう消えたいな。
「その願い叶えてやろうか?」
ある日だった。
その声が聞こえたのは。
赤い瞳の少年。
悪魔だという。
「殺してくれるの?」
「あぁお安い御用さ。ただ本当にそれが正しい答えなのか1日考えな。」
まったく、悪魔の癖にその辺の大人みたいなこと言うのね。
正しい答えなんて決まってる。
私が消えたって地球は回る。
時は進む。
「答えは出たか?」
「えぇ。」
次の日少年が来た。
答えなんて最初から決まってる。
私は殺された。
痛みも感じなかった。
何か聞こえたのは気のせいだろうか。
「ありがとう。」
「それは誰に対しての?」
「君に対してだよ。」
「はぁ·····。君に特別に見せてあげるよ。」
そう言って水晶球みたいなものを出し何かを映し出した。
そこには黒い服や制服の人達。
よく見るとその制服は私の高校のものだし、黒い服の人は先生や親族や両親だ。
「君のお葬式だよ。」
「え·····?」
皆泣いている。
両親が行かないでって泣いている。
自然に涙が零れる。
それは普段流していた涙とは違う。
「私、ちゃんと愛されてたんだ。」
「これを見ても死んだことが正しい答えって言えるか?」
·····言えるわけない。
「まぁ、もう遅いけどな。言ったろ考えろって。優しくなったのは両親なりに考えたんだよ。君のこと。諦めなんかじゃねぇんだよ。友達だって友達って思ってるから話しかけてくれんだよ。」
「私、馬鹿だ。生きてれば良かった。」
貴方は私みたいにならないで。