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EPISODE1 紫炎覚醒 編 その7

このその7はストーリー本編にはあまり関係無い話で、主人公のほのぼのとした日常を描いた話になっているので、話としてはつまら無いかも知れません。


「… はぁ〜 、やっぱり無理だったか!… 。」

縁は丸いテーブルにうつ伏せになって大きい溜め息混じりの小言を吐いた… 。


「… そりゃ無理だろ!… 今日初めてばかりでしかも、“能力無し”で降りきるなど私でも無理だ!… 。」


アイダ・エンは縁の小言に耳を傾けながら陶磁器で出来たティーポッドから湯飲みにお茶を注いでいた… 。


アイダ・エンは注いだお茶をうつ伏せになってふさぎ込んでいる縁の前に置いた。


出されたお茶は鮮やかな青色をしていた!。


縁は出されたお茶に気づくと身体を起こし、その青いのお茶を何の躊躇もなく飲んだ!… 。


「… なれって、怖いっすね!… 、このスカイブブルー色のお茶も今じゃ普通に飲めるんやから… 。」


縁は湯飲みに注がれた青いお茶を覗きながらそんな事を口走った … 。


「… 最初にここに来てそのお茶を出した時、君は露骨に嫌な顔をしていたがな… 。」


縁の正面に腰掛けたアイダ・エンもティーポッドからこの青いお茶を注ぎ、極平然と飲んでいた!… 。


彼ら2人は四畳半ほどの広さがある部屋にいた… 。


部屋の作りはいたってシンプルで、西側に流し台、北側に食器棚、南側に大きな丸窓、東側に玄関、そして、部屋の中心に丸いテーブルがあるだけで他は何もない… 。


「… しっかし、本当何もない部屋やな! … 」


縁はお茶を飲みつつ、部屋を見渡しながらそんな小言を吐いた… 。


「… 今更だな。」アイダ・エンは縁のこの小言に少しムッとした表情でつぶやいた… 。


「… いや、だってもっとこう… 何か置いたりするでしょ! … 。」


「… その日食べる物と足を伸ばし寝る事が出来る部屋があれば十分だ!… 。」


「… 十分って!… 。」縁はやや不満げな表情をした… 。


「… なぁ〜 藍田君!…では逆に聞くが君はこの部屋に他に何が必要だと思うのかね?… 。」


アイダ・エンは少しテーブルから身を乗り出し食い気味に縁に尋ねた! … 。


「… 冷蔵庫と洗濯機!… 。」縁はアイダ・エンの問いに即答で答えた… 。


「… 冷蔵庫と洗濯機?… 、そんなのエクス-ガルーダに行けば両方あるだろう!… 。」


アイダ・エンは何言ってんだ?…と言った表情で縁を見つめた!… 。


「… いちいち行くの面倒くさいでしょ!… 。」


縁はテーブルを両手で叩くと、大きく身を乗り出し、アイダ・エンの鼻先まで顔を近付けた!… 。


「… 顔が近い!… 後、口が臭い!… 。」アイダ・エンは怪訝な顔をした!… 。


「… えっ!。」縁はアイダ・エンの一言で椅子から立ち上がり、口を押さえ、口臭を確認する為に息を鼻腔に向けて吹いた! … 。


「… これは臭いんですか?… 。」縁は不満げな表情でアイダ・エンを見た!… 。


「… いや、今のは冗談だ!… 君があまりにも私の顔に近づくから遠ざける為に言った… 。」


縁は物凄く不快な気分になったが、言い返した所で言いくるめられると思い、あえて何も反論せず、静かに椅子に座りなおした… 。


「… 藍田君、休憩が終わったらエクス-ガルーダの修理を手伝ってくれるかな?、そろそろ1人で頑張る助さんにも休息を与えたいのでな… 。」


「… 別にいいですけど… 。」縁は気怠げな返事をした!… 。


「… 嫌そうな顔だな… 。」アイダ・エンは湯飲みに口をつけながら縁を見据えた… 。


「… アイダさんにいつの間にか乗せられてたあの宇宙船、エクス-ガルーダでしたっけ?… しょっちゅうどっか壊れてるじゃないですか!… ええ加減、新しいの買ったらどうですか?… 。」


縁は腕を組みながらそんな不満をアイダ・エンに漏らした!… 。


「… まぁ〜 、君の言う通りなのだが、愛着もあってな… なかなか手放せないのだよ!… 。」


「… 愛着って!… アイダさん物を大切にする様な感じしませんけど!… 。」


「… それは君が決める事ではないだろう!… 。」


「… まぁ〜 、そうですけど… 。」


「… なぁ〜 、藍田君、私は何も愛着だけでエクス-ガルーダを大事にしている訳ではないぞ!…

あの船は見た目はボロいが中身はどんな優れた宇宙船より性能は上だ!… 何せ今はもう失われた技術で作られた傑作だからなぁ!… 。」


アイダ・エンは話しの途中で立ち上がり、身振り手振りで、自身の持つ船の素晴らしさを縁に力説した! … 。


「… その失われた技術のせいでメンテが大変で、壊われては直し、直しは壊すを繰り返す、悪循環になってんでしょが!… 。」


縁がふてくされた様子で小言を吐くと、アイダ・エンはしょげた顔で静かに椅子に座り直した!… 。


縁とアイダ・エンはその会話を最後にしばらく黙ってお茶を飲み続けた!………………… 。


【1】


「… 痛って!… 、指挟んだ!。」


「… 気をつけてくれ藍田君… 君もそうだが、あまり機械を傷つけないでくれ、こんどはどこがイカれるかわからんからな!… 。」


縁とアイダ・エンはエクス-ガルーダのエンジンルームにいた!… 。


ルーム内は複雑に絡み合った配線や、剥き出し基盤のなど、素人がおいそれと勝手に触っていいのかと躊躇する構造だった!… 。


そんな機械関係の修理屋でも匙を投げそうなエンジンを、縁とアイダ・エンは上下灰色の作業着に身を包み、小さいハンダゴテとスパナを持ち修理していた!… 。


「… あっ!、配線切った!… 。」アイダ・エンが小さくつぶやいた!… 。


「… あんた!、俺に言ったそばから何、自分で傷つけとんの!… 。」縁はアイダ・エンにややキレ気味に毒づいた!… 。


「… あーー 、もう、ヤダ!… 。」縁はとうとうメンテ疲れで発狂した!…… 。


縁はエクス-ガルーダの修理を助からバトンタッチしてから切れた配線の取り替え作業と並行して、伸びたチェーンの張り替え作業もしていた!… 。


チェーンを触り続けた軍手はグリスのせいで真っ黒に染まり、あちらこちらに黒い手形が着いていた!… 。


「… アイダさん!… やっぱりこんなの素人がどうこうできるもんじゃないですって!… 。」


縁はアイダ・エンに向かって険しい表情で訴えた!… 。


「… それでもやるしかない!… 、この星には君と私と助さんしかいないのだからな!… 。

……あっ‼︎ 、… また切ってしまった!。」


アイダ・エンの着る作業着はグリスや機械油、錆が付着し、全身ドロドロの状態だった!… 。


顔や髭にもグリスや機械油がつき髪に至っては、メンテ作業の為束ねた毛先の先端にグリスがべっとりとつき、そこだけヘアーワックスをつけたかの様に固まっていた!… 。


「… アイダさん!… 俺らしかいないから俺らで治さなきゃいけないのは分かりますけど!… やっぱり探してでもプロに任せた方がいーですって!… 俺らじゃ治す所か壊してる一方ですって!… 。」


「… それでも治すんだ、藍田君!… 、万が一動かなくなったら私達には移動手段のなくなる!… 。」


「… だったらこんなオンボロ苦労して治してないで、新品買えよ!… 。」


縁の悲痛な叫びがエンジンルームに木霊した!… 、その瞬間だった!、天井に備え付けてあるハザドランプが点滅し、薄暗いエンジンルームを黄色い点滅灯がグルグル辺りを回転しながら照らす!… 。


「… えっ!… 何‼︎、何‼︎ … 。」縁は急に点滅したハザドランプにビクつき、不安げな表情でアイダ・エンを見た!… 。


「… あれは有毒ガスを検知した時に光る色だ!… 、どこかのパイプが破損したか?… 。」アイダ・エンは少し焦り気味に答えた!… 。


「… 有、有毒ガス‼︎ 、は、早く逃げなきゃ!… 。」縁はエンジンルームを出ようと出口に向かったが、慌てたせいで足をぐなャリと捻って蹴つまずき、顔から床に叩きつけられた!… 。


「… 何をやっているんだ藍田君!… 。」アイダ・エンは床に倒れ伏す縁をどこか呆れた様子で見ていた!… 。


「… 有毒ガスが出てるんですよ!… 逃げなきゃ死にますよ… !。」起き上がり、アイダ・エンの方を振り向いた縁は、鼻を左手で押さえていた… 。


押さえた手の下からは血が垂れ、床にボトボト落ちていた!… 。


「… 鼻血を吹け、床が汚れる!… 。」アイダ・エンは作業着の胸ポケットからハンカチを出した。


しかし、グリスや機械油で汚れた軍手で直接ハンカチを取り出した為、所々黒い指形が着いていた!… 。


「……………!。」縁は嫌そうな顔で差し出されたハンカチを受け取り、指形が着いていない部分で鼻血を(ぬぐ)った。


「… よし!、藍田君、鼻血を止めたらパイプの修理に向かうぞ!… 。」アイダ・エンは生きよよと言った感じで喋った!… 。


「… あっ!、そうだよ有毒ガス‼︎ … 。」縁はハンカチで鼻血を拭いながら再びガス漏れの恐怖に(おのの)いた!… 。


「… ビビるな!、私が入ればガスぐらい何とかなる… 。」


「… 何とかなるって!… 。」縁は未だ怖気ついていた!… 。


「… 何とかなる!。私には紫炎があるのだから君や私がガスを吸って中毒になる事はない!… それよりも破損したパイプの方が心配だ!… もう、鼻血が止まったのなら修理に行くぞ、いいな藍田君!… 。」


「……… はい。」縁は自信の無い返事をした!… 。


アイダ・エンはそんな終始ビクついてる縁に、どうしたものか?と、頭をかいて少し困り果てた!… 。


エンジンルームに未だ点灯する黄色のハザドランプは、そんな対照的な二人を騒がしいぐらい照らし続けた… 。

その7読んだ頂いた皆様ありがとうございます。今回投稿した話は今までで、かなり短いものだったと思うので、時間をかけずに読む事が出来たと思いますが、まぁ〜本筋に進まず… こいつら相変わらず、何やってんのの状態です!… 。

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