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EPISODE1 紫炎覚醒 編 その6

ELPISその6です。この話もその5と同じで、そんなに文字数は多く無いので読みやすいかと思います。

まぁ〜 その1とその2がアホみたいに長かったと言うのもありますが、その5以降はそんなに一つの部が長くなる事は無いとは思うのですが、多分⁈ 。


「… まじか〜!… 。」藍田(あいだ (えん(なげ)きが澄んだ青空に小さく木霊した… 。


彼の目の前には巨大な地面の裂け目があった!… 。


底が見えないくらい深く岩肌も剣山の様に尖り、いくら凄腕のロッククライマーでも降りるのは困難と思われる。


縁はふいに!、隣を見た… 。


隣ではアイダ・エンが持参したリュクから、ロープや登山靴、そして、岩肌を刺しながら登ったり降りたりする時に使う、ピッケルの様な物まで取り出していた!… 。


アイダ・エンは鼻歌まじりにリュクから出した道具を地面に並べ、指を差しながらちゃんと必要な物が揃っているか確認していた… 。


縁はそんなアイダ・エンの姿に呆れを通り超し、焦燥感に見舞われていた!… 。


縁は地面に膝を着き頭を抱えた… 。


本気で降りる気か⁈ …縁は頭の中でひたすら嘆いた… 。


「… 藍田君、ロープを身体に固定したいから、ちょっと立ってもらえるかね。」


アイダ・エンはいつの間か縁の前に立ち彼に起立をする様命じた。


縁は渋々と言った表情で立ち上がった… 。


アイダ・エンは縁が立ち上がると手際よく腰に安全帯を着け、そこに登山様なのか素人目でも解るぐらい頑丈そうなロープを安全帯に通して、ベルトには落下防止の為に紐とベルトの金具に繋がれた、ピッケルを手に渡された!… 。


「… アイダさん!… 、本気でここ降りる気ですか?… 。」


縁は自分の身体に降りる為の装備を有無を言わず着けていくアイダ・エンに、嘆きの籠った感じで話しかけた… 。


「… 降りるぞ、でなければ何の為の修行だ!… 。」


「… いや、まぁ〜 、そうですけど… 最初の修行と趣旨が違う様な?… 。」


「… 君は、《エクス-ガルーダ》で私に使い潰すまで使ってくれと確かに言ったぞ、ならば私がどんな事をしようとも君は黙って従う義務があるのだかな!… 。」


「… そうでした。俺が浅はかでした、すみません… 。」縁は若干ふてくされた感じで答えた!… 。


「… はぁ〜 …… 藍田君、そんな顔をするな!… 今のは冗談だ!… 。」


アイダ・エンは溜め息混じりに自分が言った言葉を訂正した。


「… 藍田君、私は君を利用しようとはするが、何も使い潰す気などさらさらない!… 君は自分と私をどう思っているか知らないが、そんな事を考えるのは愚の骨頂だ!… 。」


「………………」縁はアイダ・エンの問いかけに無言になった… 。


アイダ・エンはそんな縁の様子に少し呆れてしまった… 。


「… 支度は出来た降りるぞ。」


「… 降りるのは確定なんですね!。」縁が口を開いた。


「… 降りるさ!… この下には君を強くするのに必要な物がある。」


「… えっ!… そうなんですか?。」


「… そうさ!… でなければ私がわざわざこんな所に君を連れて来て、君を落とそうとは思わないさ… 。」


「… 落とされるんですか?、俺!… 。」縁は怪訝な顔になった… 。


「… 藍田君、落とすと言うのは言葉のあやだ!… 実際はちゃんと私がサポートしながらあのクレバスを降りてもらう… 。」


「… そんな事言う割にはアイダさん、俺に装備は着けても自分は全く着けてなじゃないですか?… 。」


縁の言う通りアイダ・エンは自身の身体に降下様の装備は全く身に付けておらず、服装も縁が初めてアイダ・エンと会った時の物を着用している。


「… 私は大丈夫だ!… 心配ない。この衣装でも全く問題なく降りられる… 。」


「… えっ!…でも、その格好で降りるんだとしても、装備なしは危険過ぎませんか?… 。」


アイダ・エンの言葉に縁は疑心暗鬼になりながら彼を見つめると、アイダ・エンは縁から少し離れ両手を横に広げた… 。


!!!… アイダ・エンの足が地面から少し浮いた!……… 。


最初はほんの数センチぐらいの高さだったが、次第に地面と足との隙間は広がり、もう、縁が首を上げなければいけないほど高く浮いていた!… 。


「… 藍田君、これで安心してくれたかね。」


目視で大体10メートルぐらいの高さまで浮いたアイダ・エンは、下で首を高くする縁に大声で話しかけた… 。


「… 解りましたから、もう、降りてきください!… 。」


縁も自分の頭上にいるアイダ・エンにちゃんと聞こえる様に大声で返答した… 。


アイダ・エンは縁の返答を聞くと少しずつ降下を初めた… 。


着地の瞬間はまるでエアークッションの上に降りるかの様に、やさしい感触で音も立てずに地面に降り立った… 。


「… それ、“紫炎”で重力を遮断したんですか?… 。」


「… 遮断ではなく燃やしたんだ。」アイダ・エンは特げな表情でそう答えた。


「… しかし、君はもう紫炎を見ても特に驚いたりはしないな… 。」


「… アイダさん達と一緒に乗ってきたあの船でこの星に来た時、今みたいなのを散々見せられましたから!… 。」縁を伏せ目がちにそう答えた… 。


「… なら私の言う通り私が装備なしでも大丈夫と解ってくれたかな… 。」


「… 解りましたけど、そのヒラヒラした格好であの割れ目に降りたら岩肌にどっか引っ掛けますよ?… 。」


「… 心配ない!… 岩肌から少し離れて浮く… 。」


「… そうですかい。」縁はせっかく親切心で心配したのにアイダ・エンには無駄な考えだったと、少しいじらしい気持ちになった… 。


縁は身体に着けたクライミング様のロープを引きずって地面の割れ目に近づいた… 。


下を覗くとやはり底は見えず、辛うじて太陽光で照らされている岩肌の部分も20メートルぐらいしか見えない!… 。


縁は割れ目すれすれにしゃがみ込み溜め息を吐いたが、よし!… と一言気合いを入れて、即立ち上がった… 。


「… アイダさん!、行きましょう!… 。」


縁は振り返り、後ろにいるアイダ・エンに覚悟の籠った返事をした… 。


「… 分かった行こう… 。」アイダ・エンも縁の返事に(うなずき割れ目まで近づいて縁の隣に並んだ … 。


縁とアイダ・エンは2人並んで地面の割れ目を覗いた… 。


アイダ・エンが隣にいる縁の顔見た … 。


「… 何ですか?、アイダさん… 。」急にこちらを向いて来たアイダ・エンに縁は不思議そうな表情をした… 。


「… いや、藍田君… “右腕”の調子はどうだと思ってな … 。」


「… あっ!… その事ですか、まだ慣れてないのもあるんでしょうけど、指がちゃんと動かない時があります!… 。」


そう言った縁は右腕を上げアイダ・エンに見える様にした… 。


縁の肩から二の腕までは本人の身体だったが、そこから先は金属製の技手がはめられていた!… 。


肘にあたる部分はスムーズに伸ばしたり曲げたりする事が出来ていたが、指先は小刻みに震えながらピクピク動いていた!… 。


「… 握ったりする事は出来るか?… 。」アイダ・エンが縁に質問した… 。


「… それは問題ないです。ただ、箸を持つとかの細かい動作はまだできませんけど!… 。」


「… なら問題ない。ピッケルをしっかり握って岩肌に刺す事が出来ればそれでいいんだからな!… 。」


「… でも、この岩肌ピッケル刺さりますか?、結構硬そうですよ!… 。」縁はしゃがみ込み岩肌を触りながらそんな疑問をアイダ・エンにぶつけた… 。


「… 大丈夫だ!… このピッケルは柄に着いているこの出っ張ったボタンを押すと、先端から超音波を出して分子の結合を弱くする。だからある程度の硬さなら豆腐に突き刺すぐらい簡単に刺す事が出来る。」


アイダ・エンはピッケルの先端を指差しながら、得意げな表情で縁に答えた… 。


縁はその説明を聞いて納得したのか立ち上がり、アイダ・エンが持つピッケルを自身の手に取った… 。


「… もう一本はどこですか?。」


「… おっ!とそうだ… 。」アイダ・エンは慌てて持参してきたリュックまで走り出そうとしが!… 左足の悪いアイダ・エンは、足を引きずりながら若干苦しそうに走っていた!… 。


それを見かねた縁が、アイダ・エンの代わりにリュクまで走り、その中からもう一本のピッケルを出した… 。


縁はリュックからピッケルを取り出すとアイダ・エンの側まで小走りで戻って来た… 。


「… すまなかった、藍田君。」アイダ・エンは自分の代わりにピッケルを持って来た縁に、頭を掻きながら照れ笑いで謝罪を述べた!… 。


「… 別にいいですよ、これぐらい!… 。それより、この安全帯に通したロープ、どこに縛りつけるんですか?… ここら辺、ロープを巻き付ける様な木も岩もありませんよ!… 。」


そう言うと縁は辺りを見渡した… 。


周りには木やロープを巻き付けられるほど巨大な岩もなく、彼ら2人がいる空間は青空と、どこまでも続く平坦の草原が広がるだけだった!… 。


「… それは心配ない藍田君、ロープは私の身体に巻く… 万が一君が落ちても私は宙に浮いているから君が底に落ちる事はない … 。」


「… 俺が落ちたら2人分の重さが加わりますけど!… 。」


「… 大丈夫だ!… 重力を燃やしているのだから重さが2人分加わった所で、私と君は落ちたとしても地面に叩きつけられずその場でプカプカ浮かぶだけだ!… 。」


「… そーすっか!、解りまし。だったらもう心配はしません… さっさと降りましょう… 。」


縁は吹っ切れた感じでアイダ・エンに答え、割れ目に片足を突っ込んだ!… 。


「… まて、藍田君!… まだ、私はロープを私に巻いていない!… 。」


「… あっ!… そうだった… 。」


いきなり降り始めようとした縁にアイダ・エンは焦り、言葉をかけて制止を促したが、アイダ・エン自身彼の行動で早く用意をしなければと、慌ててロープを身体に巻き付けた… 。


アイダ・エンは焦ってロープを身体に巻き付けた為結び目が雑で、素人目にも直ぐ解けてしまうのではないかと思うほど緩そうだった!… 。


そんなアイダ・エンの姿に縁は、大丈夫かこの人?… と感じたが、あれこれ考えていても始まらないと思い、文句を言うのは止めようと思った!… 。


「… アイダさん!… もう降りますけどいいですか?… 。」


「… あぁ、藍田君、降りてもらって結構だ!… 。」そうは言うものの… アイダ・エンはしきりに身体に巻いたロープの結び目を固くしようと、力いっぱい引いていた!… 。


そんなアイダ・エンを横目に縁は再び片足を割れ目に入れた。そしてもう片方も入れ、縁は割れ目の淵に上半身だけを出して、両足は完全にぶら下がった状態になった!… 。


縁は左腕を下げ試しにピッケルを岩肌に刺して見た… 。 ピッケルは岩肌に跳ね返えされ深く刺さらない!… 。


「… アイダさん!…刺さらないんですけど!… 。」


縁はまだ地面でもたついているアイダ・エンに声をかけた… 。


縁の声に気付いたアイダ・エンは「… ちゃんと柄に着いているボタンを押したか… 。」


「… あっ!… そっか!… 。」縁はピッケルに着いているボタンを押すのを忘れていた!… 。


縁はもう一度、今度はボタンを押しながらピッケルを岩肌に刺した… 。


すると!… ピッケルはアイダ・エンが言った通りまるで豆腐に刺したかの様に、簡単に岩肌を突き刺す事が出来た!… 。


「… アイダさん出来ました!… 。」縁は何だか嬉しくなってアイダ・エンに報告した。


だが!… 縁の前でもたついていたアイダ・エンはいつの間か消えていた!… 。


「… こっちだ。」


縁の背後から声がした。慌てて縁は首を後ろに向けた!… 。


アイダ・エンがいた!… 。彼は縁から少し離れて宙に浮いていた!… 。


ロープが短ければ、アイダ・エンが動けばそれと繋がっている縁も気付いたかも知れないが、縁とアイダ・エンを繋ぐロープはそこそこの長さがあり、アイダ・エンが動いてもロープが引っ張られると言った事はなかった!… 。


「… 移動するなら一声かけて下さい!… 。」縁は不満を漏らした… 。


「… すまないな。だが、君だって勝手に降りようとしたではないか!… 。」


「… まぁ〜 、そうですけど!… 。」縁はアイダ・エンに言い返され少しむくれた… 。


縁は割れ目の淵から上半身を少しづつ下へ降ろし、左右の手に持つピッケルを岩肌に刺して、岩壁に張り付いた!… 。


縁はピッケルを下に刺しては上を抜き、また下に刺しては上を抜いて、徐々に垂直の岩壁を降り始めた … 。


上を抜いた瞬間、下に刺した分まで身体が落ち、手に持つピッケルを離しそうになる!… 。


「… ここに来てから筋トレばかりしていたから難なく岩壁を下るな!… 。」


縁の後ろでアイダ・エンが声をかける… 。


「… アイダさんにはそんな風に見えますか!…俺はもう結構キツイです!… 。」


縁の言う通り彼の左腕はプルプル震えていた!… 。


技手で出来た右腕は左腕の様に疲れる事はないが、技手と肉を繋ぐジョイント部分が落ちる度に引っ張られ、二の腕が千切れそうな痛みが来る!… 。


「… 藍田君!… これも一応修行の内だから私は何も手助けはせんぞ!… 。」


「… 分かってます!… そんな事… 。」アイダ・エンの問いかけに答える縁だったが、その声は切れ切れで、喋るのもやっと!、と言った感じだった… 。


「… ア、アイダさん!… 俺、今日中に底まで降りられますかね⁈ … 。」


縁は一旦止まって後ろを振り向き、自分の背後で浮かぶアイダ・エンに、もう限界!、だと言わんばかりの表情で話しかけた… 。


「… まぁ〜 、無理だろな。、君はどっかで落ちる!。、 でも悔やむ事ない。… 最初から出来る者など誰もいないさ!… 。」


アイダ・エンはそう言うと笑顔で縁に微笑みかけた… 。


「… そうですか、アイダさん!… でもどっかで落ちるにしてもある程度の距離は進んで行きたいです!… 。」


「… ご自由に、進むのも止まるのも君が勝手に決めればいい!… ここに私がいるのは君が落ちた時の為なのだから!… 。」


それを聞くいた縁は腕が震え、顔が引きつりながらも、笑顔でアイダ・エンに笑いかけ再び岩壁を降り始めた… 。

ELPISその6読んで頂いた皆様ありがとうございます。

何でいきなり主人公達がロック クライミングしてんだと読んでる最中にツッコミを入れた方もおられると思いますが、そこはあぁ〜 何かの修行なんだなぁ〜 ぐらいで流しておいて下さい。

まぁ〜 このELPISに限っては、ロック クライミングやるどうこう以前に色々とツッコミどころ満載ですが!… 。

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