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EPISODE1 紫炎覚醒編 その15

その15です。自分の作品には珍しくあまり会話が無く、状況説明だけで終わります。


そこがどこだかは判らない。ただ、どこか遠くの離れた、別の星なのは確かだ……。


そこは今、夜だった。 雪が降っていた…。


降ると言うよりとても強く吹雪いていた。しかし辺りは一面の銀世界ではなく、周りは目を覆いたくなる程の蛍光色の強い(だいだい)色が辺りを塗りつぶしていた。


雪で積もった白い地面の切れ目から夕日のような光が漏れ出している。


底を覗くとマグマ溜まりがあり、血管のごとく無数に広がっていた。


大地の溝からは光と共に高温の熱が放出され、切れ目周辺の雪は溶けて水になり、それが蒸発して辺りは水蒸気の煙がたちこめていた。


地面から漏れだす激しいほどのオレンジ色の光せいで、夜空に浮かぶ星は何一つ見えずただ黒いだけの空間が広がっているようだった。


そんなどこなのか判らない場所で人が三人立っていた。男だった。


三人の内の二人は一緒に並んで立っていた。もう一人の男はその二人と距離をとり立っていた。


立ち込める水蒸気のせいで人物の顔はよく確認出来なかった。


時折覗(のぞ)かせる煙の隙間から、なんとなく見える程度だった。


彼らはボロボロの外套を羽織り、その下は着物のような服を着ていた。(はかま)の部分は我々が知っている末広がりではなく、ズボンのような細い作りだった。


彼らは何者なのか?… 一体何をしているのか?… 。


三人の着ているものどれも一様にボロボロだったが、明らかに時間の経過で風化でそうなったものではない!… 。


切り傷や焦げた跡、そう時間が経っていないであろう出血による衣服のシミ。


彼らは闘っていた… 。


男達の立ち位置からして並んで立つこの2人は多分仲間だろう。


そして、この2人の向かいに立つこの男が彼らにとっての敵であり又、この1人で立つこの男にとっての敵もこの2人なんだろう… 。


しかし、二人組の方は片方が負傷し、立っているのがやっとの状態だった!… 。


1人で立つ男の方は多少の出血や焦げた跡があったが、息切れ1つせず!… 全く消耗している様には感じられなかった!… 。


彼らは、皆同じ剣のような武器を構えていた。


()の部分は黄金に輝き、真ん中に穴が開いた、ペロペロキャンディーのような形をしていた。


剣と言うより杖のような形状である。


刀身にあたると思われる部分は、紫色に光っていた。発光している周辺の空気が揺らぎ、高温に発熱している事が分かった。


柄を握っている拳の隙間から何か金色に光る水のようなものが垂れ、それは地面に落ちると一瞬で蒸発し、金ラメを混ぜたかのようなキラキラ光る煙を出していた。


金色の液体が手から流れ出すたび、二人の男は、眉間にシワを寄せ焦っているような表情をしていた。


二人が対峙しているもう一人の男も、彼らと同じで持ち手から液が漏れ出しいるが、特に気にするそぶりも見せず、ただ、相手を鋭どく睨みつけていた。


二人の内の一人が、先行して男のもとに走り始めた。

「まて・・・」負傷しているもう一人の男が彼を制止しようと声を荒げたが、彼は制止も聞かず、持っていた杖を左方向から薙いで、こめかみ部分に叩きつけようとした。


だが、寸前で男の方も素早く身体を左に倒して攻撃を回避。男は、両足の(かかと)のみが地面についている状態だった。


それでも倒れる事はなくまるで宙に浮いているようだった。


男は、その状態から身体を右に(ひね)り切りかかってきた彼の脇腹に回し蹴りを浴びせた。


彼は、寸前で身体を捻ってかわし、今度は右方向から杖を男の頭上に叩きつけるように振った。

男も体制を整え持っていた光る杖を振り、彼の振ってきた杖に叩きつけるように打撃を受け止めた。


叩きつけられた衝撃で周りの水蒸気は彼らを中心にに、同心円状に拡散した。


激しい打撃音と熱した鉄を水につけたかのような不快な音が辺りに響いた。


光っている部分がぶつかった瞬間、紫色の閃光が飛び散り、互いの衣服や露出している素肌を焦がす。


まばゆい光が視界に入り、一瞬全ての像が白く濁った。


その瞬間!、自分から向かって行った男の力んでいた手が少し緩んだ。


見逃さなかった‼︎ … 攻撃を仕掛けられた男が、相手の杖を左手で掴み自分の方に引き寄せた。


男は、杖の光っている部分を握りしめていた。


男は、黒い厚手の革手袋をはめていたが、手袋は一瞬で灰になり、掴んでいる手は燃えだした。

辺りには、明らかに食用ではない事が分かる肉の焦げた匂いが、広がっていた。


いきなり手間に引き寄せられた方は、まさか発熱している刀身部分を、直で掴んでくるとは思っておらず、突然の行動に軸のバランスを崩し、前のめりに身体が崩れそうになった。


男は目一杯杖を引き、そして離した。


離された方は、ただでさえ手間に引かれた事で、身体の軸を崩し倒れないように踏ん張っていたが、離された事で、完全にバランスを崩し、軸足の膝が地面についてしまった。


男は、相手が地面に膝をつけ前かがみに倒れた瞬間!… 素早く自分の持っていた杖で、彼の背中を切りつけた。

刀身部分が高温のため、切った瞬間血煙ではなく火花が散った。


光る刃先は彼の肉を焦がしながら深くえぐり、えぐられた部分は煙を上げてその奥からは背骨が露出して見えていた!… 。


「 縁・・・・」彼と一緒にいたもう一人が叫び声を上げた。


彼は歯を食いしばり、かすれかすれのうめき声を上げる事しかできなかった。


今まで冷淡で睨みつけるような表情をしていた男が、足元に倒れこむ彼を見て、男は侮蔑(ぶべつ)や哀れ身ではなく、どこか意外そうな、それでいて何か達観したかのような。

「どうしてこんなこっ・・」男が少し口篭った感じで言葉を言いかけたときに。


「 炎・・・・」もう一人が、切り伏せられ倒れこむ彼にではなく、切りつけた男の方に激しい怒声込めて、名前を叫んでこっちに向かって来た。


「エンお前もなのか・・」男は静かに言葉を発した。自分に向かって来るもう一人の彼に何か諦めにも似た感情を抱きながら。


三人共、名前が同じだった…いや、名前が同じだけではない。 彼ら三人は皆同じ顔していた。


向かって来たもう二人目の彼は男に杖を斜め右上から振ろうとしたが、右手首を下に捻り、フェイントをかけて男の左膝に切りつけようとした。


男も寸前で振られて来る杖と膝の間に自分の杖を差し込んで打撃を回避。


素早く間に差し込んだため男は膝の側面を少し削ってしまった。


杖と杖が重なり激しい鍔迫り合いになった。


互いの持つ光る杖は(まばゆい光と熱を放出し、彼らの周囲は空間が細波(さざなみ)のように揺らいでいた。


鍔迫り合いの状況から、 男は一瞬だけ杖を少し引き、受け止めている相手の杖との間にわずかな隙間を作った。


男は柄の下辺りを右拳で真上から殴りつけた。殴りつけられたことで、男が持っていた杖は、いきよいよく相手の杖を、下から叩きつける状態になり、てこの原理のように相手の杖を上に押し上げた。


彼は突然の下からの打撃で、強く握りしめていた両手の拳は緩み、杖は真上に吹き飛ばされ地面に突き刺さってしまった。


刺さった部分はみるみるうちに夕日のように燃え上がり、ドロドロの溶岩になった


武器を失いガラ空きになった瞬間、男は彼の右手の中指と薬指の間を光る杖で切り落とし、右側の顔面から真下に向かって一直線に切りつけた。


彼は切りつけた瞬間右眼から頬にかけて縦方向に深く(えぐら)れてしまった。


抉れた部分は焼き切られ肌が燃えていた。


彼は薬指と小指を失った右手で傷つけられた顔を押さえ、よろめきながらも再び男に向かおうとした。


「スターケイン・・・」 彼は何かの言葉を叫んで左腕を横に振り手を広げた。


その直後地面に突き刺さり、半分ぐらいまで沈んでいた杖は、彼の左手に吸い寄せられるように飛んで来た。


彼は飛んで来た自分の杖を握ろうとしたが、彼が掴むよりも先に一瞬早く男は彼の左膝の皿を

薙いだ。


左膝を損傷したことで彼の左足は右方向にくの字に曲がってしまった。


彼も最初に男に向かっていた彼も地に伏してしまった。


そんな彼に男は憐れむかの様な表情を向け、紫色に光る杖を天高く上げ、光っている部分を倒れている男の真下に向けた。!… 。


「 お別れだエン… 。」そう言って男は杖を真下に刺した………………………………………………………

…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………… 。


「ハッ‼︎ …… 」アイダ・エンは荒い呼吸を吐いて目覚めた。


彼は敷布団からゆっくり上体を上げると、自身の顔に大きく刻まれている右目に出来た大きな傷跡を触りだした… 。


彼の息は絶え絶えで呼吸がしづらそうだった!… 。


アイダ・エンはふい隣を見た!… 。


隣には畳まれた敷布団があった。


アイダ・エンは布団から少しふらつきながら立ち上がった。


彼は浴衣の様な寝巻きを着ており着崩れたのか、帯が解けた浴衣の下はアイダ・エンの顔とは似つかわしくない西洋彫刻を思わせる様な、見事に割れた腹筋や厚い胸板があらわになっていた!… 。


アイダ・エンは解け帯を締め直すと窓の方に近づいた。


窓を覗くとリュックサックを背負った炎が木刀を持ち1人で剣術の稽古をしていた。


リュックはよく見ると袋がパンパンに膨れ、肩紐もかなり下まで垂れ下がり、相当重い物を大量に入れているのは遠目からでも分かった!… 。


しかし、等の縁はそんな重たいリュックを背負っているにも関わらず、時折バク転や空中で一回転捻(ひね)りをするなど機敏に動いていた。


アイダ・エンはそんな縁の様子を窓から眺めながら、「 そろそろ頃合いか… 。」とボソッとつぶやいた。

その15読んで頂いた皆様ありがとうございます。

前回投稿したその14の後書きで、ちょっとは話を進める見たいな事を言っていたので多少進めました。

進んだか?どうかはわかりませんが?←(読む人次第?… )

とりあえずこんなへんちくりんな作品でも楽しんで頂けているなら筆者トマトジュース的には、御の字です。

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