EPISODE1 紫炎覚醒編 その13
久しぶりに長ったらしい話を書きましたが、ほぼ会話で動きがありません… 。
それでも飽きずに読んで頂けたら幸いです。
建物が一切無いこの星では、地上から漏れ出す光害は無く、星の光が宇宙で見なくてもその明るさを損なわせる事は無かった。
そんな満天の星空の下、藍田 (あいだ) 縁は、誰一人いない夜の草原で剣術の稽古をしていた!… 。
上から下、下から上、上から中段、身体を少し引いて突き、左から右、右から左、身体を後ろに一回転させ、最初と同じ事を何度も繰り返えす… 。
「やっと見つけたぞ‼︎ … 。」後方から声がした。縁は木刀を振るのを止め後ろを向くと、息を切らしたアイダ・エンが杖を突いて立っていた!… 。
「どうしたんですか?… 。」縁は息を切らして自分を捜しに来たアイダ・エンに何かあったのかと?、焦りを感じた!… 。
「いや!… 、藍田君そんな深刻そうな顔をするな… 、ただ単に君を捜していただけだ。」
「… でも、そんなに息を切らしてまで探して立って事は、何か急を要する用事があったんじゃ無いんですか?… 。」縁は心配そうな目付きでアイダ・エンを見た!… 。
「いや!… 、だから何でも無い‼︎ 。単純に君を家に帰ってくるよう呼びに来ただけだったが、思いのほか君が遠くで自主練をしていたから探して回っていたと言うだけの話だ… 。」
「… そうですか。お手数かけてすみませんでした。」縁はそう言うと木刀を地面に刺し、深々とアイダ・エンに頭を下げた!… 。
「藍田君!… 、わざわざ頭何か下げなくていい… 、むしろ下げなくてはなら無いのは私の方なのだから…… 。」
「… えっ。」アイダ・エンのその発言に縁は下げていた頭を上げ、「何でアイダさんが俺に謝らなきゃダメなんですが?。」と縁は不思議そうな表情で尋ねた!… 。
「… 君に不快な思いをさせてしまった!… 。」アイダ・エンは眉を下げ、申し訳なさそうな顔で答えた… 。
「… 不快な思いって?、何ですかそれ?… 。」
「… えっ!、いや…… 、私と助さんが喧嘩した理由が、藍田君…… 、君にある様に思わせてしまった事にだ!… 。」
「 実際そうでょ!… 。」縁は真顔で答えた。
「… いや違う。あれは私達が悪い。単に私も助さんも互いにイライラしていただけだ!… 。君のせいじゃ無い。」
「… そのイライラの原因を作っているのが他でも無い俺だと思うんですが… 。」
「… 藍田君!… 。」アイダ・エンは少し悲しそうな表情を縁に向けると何も言わず彼のすぐ側に近づきいきなり縁の左手首を掴むと、「… 藍田君。少し付き合ってくれないか!… 。」
「… はぁ〜?。」縁は何事なのかと訝しげな顔でアイダ・エンを見つめた!…………………… 。
【1】
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァァァァァ…… !。」
縁の激しい荒息が夜の暗闇に響く!… 。
相当疲れているのか両手を両膝につき、額からは大粒の汗が滝の様に流れていた。
そんな息も絶え絶えと言った様子の縁を、彼の前方に立つアイダ・エンは涼し顔で見ていた!… 。
アイダ・エンは少し黄ばんだローブを羽織り、その下には何枚も重ねた着物の様な服を着込み、着物の上には黒い革製のベストまで来ている!… 。
縁はそんな自分より厚着のアイダ・エンにどうしてそこまでしんどそうでは無いのかと?… 不公平だと思う気持ちになった!… 。
「… 藍田君!。とうとう疲れで動けなくなったか。」
「… いいえ!… 。まだ動けます。ちょと考えてただけです。」 縁は両膝から手を離し身体を後ろに反って、背伸びをした。
「… 考え事って何だ?。」アイダ・エンは顎髭に手を置いて、ジロジロと縁を見つめた… 。
「… 別に考え事って大した事無いですよ。俺はこんなにしんどそうなのに!… 、アイダさんは全然平気そうだなぁーって!… 、ちょと思っただけです。でも!… よくよく考えたらアイダさんが俺より平気そうなのって、紫炎があるからで………… 。」
「… 紫炎があっても体力は上がら無いぞ!。紫炎はあくまで燃やせないものを燃やす能力なのだから… 。」
「… 重力を燃やして身体を軽くすれば体力の減りも抑えられるでしょう!… 。」
「… それはあまりお勧めでき無いやり方だな。重力の影響を常に受け無い状態は筋肉や骨が衰える原因になる。特に私の様に左足が悪い人間は特によく無い!… 。」
「… 足が悪いならなおさら重力の影響を受け無い方がよく無いですか?。」
「… 私の左足は樹脂で出来た人工膝で骨とつないでいる。重力を常に燃やせば、膝を支える骨が衰えいずれ立てなくなるかもしれ無い。だから、紫炎を使って重力を燃やすと言う事はあまりし無い… 。」
「… 別に常に浮いた状態でいられるなら、立てなくなった所で問題なくありませんか?。」
「… 話を聞いていなかったのか?。重力の影響を受け無いと筋肉まで衰えて来ると!… 、なぁ〜 藍田君。この話何も足だけの事じゃ無いぞ… 。腕の筋肉や骨が衰えてしまったら、いざ何かしようとしても、振ることも持つ事も出来なくなってしまったらどうするのだ!… 。」
「… いや!、オバーな!… 。」
「… 誇張した言い方だったかもしれ無いが、もしもの時と言うのは常に考えていた方がいいぞ… 、何かあった時は大抵手遅れになる可能性があるからな!… 。」
「… はぁ〜 。」縁はいまいちわかりきっていないのか?、気の無い返事を返した!… 。
そんな縁の姿にアイダ・エンは、どこか渋々と言った顔をしたが、だからと言ってアイダ・エンは縁にこれ以上何か言う訳ではなく、前を向くと黙ってそのまま歩き出した!… 。」
「… ちょ!… ちょと!。アイダさん先に行かなないでくださいよ!… 。」黙って歩き出したアイダ・エンに縁は慌てて彼の後を追って行った!… 。
「… ね〜 アイダさん!。今更な質問なんですけど、いつまで歩くんですか?。かれこれ二時間ぐらいは歩いていると思うんですけど?… 。ってか?、そもそもどこに連れて行ことしてるんですか… 。」
アイダ・エンは縁の問いかけに前を見たまま振り向かずに、「… 本当に今更だな!… だが君の問いに答えるなら後もう少しだ。それまで頑張ってついてきてくれ… 、すまんな!… 。」
「… 全然ちょと付き合えじゃ無いですね!… 。」
「… 結果的にはそうだったな。」
そんな会話をしながらしばらく何も無い星明かりの照らす草原をひたすら縁とアイダ・エンは歩いていると、高さ2メートルぐらいはあるであろう藪の群生地が遠くの視界に見えてきた!… 。
縁は徐々に近づく藪の大群に嫌そうな目で見つめたが!… 、縁の前を歩くアイダ・エンはもう触れるかと言うぐらいの距離まで藪に近づくと!… 、何の躊躇も無く!… 、藪の中へと入って行った!… 。
アイダ・エンは躊躇いも無く藪の中へと進んで行ったが、縁は藪の前で立ち止まり行きたくなさそうな顔をした!… 。
数分間藪の前で行くか?、行かないか?、棒立ちで考えていると!… 目の前の藪がガサガサ動き!… 、中からアイダ・エンがで出来た!… 。
「… 何をやっている?。」藪から身体を出したアイダ・エンは、訝しげな顔で縁を見つめた!… 。
「… いや〜 だって!… 、藪で顔とか擦りそうだし、変な虫とかに噛まれたら嫌だなぁ〜って!… 。」
「… 藪で顔を擦るって!、稽古をつける時散々切られたりぶつけたりしてるだろ。それに虫が嫌って!… 、身体の中に無数の寄生虫を飼っている君なのに!… 今更すぎないか?…… 。」
縁はこのアイダ・エンの発言に目を伏せ、手で頭を押さえながら「… あの〜 アイダさん!… 身体の中に寄生虫飼ってるって言わないでください!… 、冷静に考えると気持ち悪いです!… 。」
「… だから君は今更すぎないか?。」アイダ・エンは不思議そうな顔をした!… 。
「… ハァ〜 〜」縁は深いため息を吐くとそれ以上アイダ・エンに何か言う訳でも無く、嫌そうな顔で藪の中へと足を踏み入れた!… 。
縁は藪の中に入るとはぐれないように、アイダ・エンの羽織るローブの端を掴みながら前を歩くアイダ・エンに続いた!… 。
藪の中は縁が思っていた通り藪を掻き分けて進むごとに虫が舞い、目や口に入ってくる!… 。
ただ!… 、顔以上の高さまである藪は擦ったり切れたりする事は無かったが、常に顔を草で撫でられる感触というのはいかんせんあまり気分の良いもので無く!… 、縁はしきりに顔を手で擦りながら歩いていた!… 。
時間帯が夜と言う事もあるが、右も左も自分が今、どの位置にいるのかさえつかめない藪の中をただひたすら歩き続けるのは長距離を歩く事よりこうも疲れるのものなのかと‼︎ … 、縁は自分の前を黙って進むアイダ・エンの背中を見ながら、心の中でつぶやいた!… 。
時間にして20分ぐらいだろ… 、先頭を歩くアイダ・エンが急に立ち止まった!… 。
「… どうしたんですか?。」
「… ついた。」アイダ・エンはそう言うと藪の束を両手で広げると目の前が開け、少し向こうの方に巨大な湖があった!… 。
アイダ・エンは藪の中から出ると湖に向かって歩き出し、縁もそれにつられてアイダ・エンの後に続いて歩き出した。
湖は自分達が出てきた藪以外は、周囲を切り立った崖に囲まれており、湖の岸辺の方を見ると左側に少し大きい岩があるだけで方は何も無い所だった… 。
アイダ・エンは履いているブーツが湖に触れるか触れないまでの距離まで近づくと、その場で立ち止まった… 。
縁もアイダ・エンの隣に並んで立ち止まった。湖は辺りに風が吹いていないのもあってか、夜空に煌めく星が波打つ事無くそのまま湖に鏡の様に映し出されていた!… 。
縁はその光景に感嘆とした思いで見つめた!… 。縁は隣にいるアイダ・エンの方を振り向くと、「… これを見せたかったんですか?。」と尋ねだが!… 。
「… いいや違う。目的の場所はここだが君に見せたかったのこれじゃ無い!… 。」そう言うとアイダ・エンはローブの左袖から何かを取り出した。
取り出した物は、先端が尖った小さい無色透明なガラス瓶に入ってた液体で、色もガラス瓶同様無色透明だった… 。
アイダ・エンはしゃがみ込むと、ガラス瓶の先端をいきなり折!… 、中に入っていた液体を湖に流した!… 。
ガラス瓶に入っていた無色透明の液体を全て湖に流し終わるとアイダ・エンは立ち上がり、縁の方を振り向くと、「… 湖を見ていろ!。」と縁に命令した!… 。
縁は何をやっているのか理解出来なかったが、アイダ・エンに言われた通り、湖の方を見続けた!… 。
液体を湖に流して1分ぐらい経った頃だろうか… 、湖を見続けたいた縁は不思議な事に気付いた!… 。
今までは、湖に光り輝きながら映る星は、夜空の星が湖に反射して映し出されていたものかと思ったが、わずかにだが湖に映る星は、一つ一つが動いている様に見えた‼︎ … 。
惑星は自転しているのだから空に浮かぶ星の位置が変わるのは当たり前なのだが… 、それなら星全体が移動するはずで、この様に星その物が逐一位置が変わる事は無い!… 。
湖に映るのは星では無く別の何かだ!… 湖を見続ける縁は不安な気持ちになったが、ここに連れて来たのはアイダ・エンだ!… 。
なら何か意味があって連れて来たのだろうと思った縁は、本当は今にも逃げ出したかったが、我慢してその場にい続ける事にした。
湖を見続けとうとう5分が過ぎた。縁もいつまで湖の方を見続けるんだとそわそわした表情で、隣に立つアイダ・エンの方を見たが、その瞬間だった‼︎ …… 、湖に映る星がいきなり眩く輝き出し!、色とりどりの丸い光が湖の底から溢れ出していた‼︎ …… 。
隣に立つアイダ・エンは嬉しそうな表情で湖を見つめていたが、縁は湖から溢れ出た光に一瞬!… 、ギョッ‼︎ として足元を崩し尻餅をついた!… 。
何故!、縁はこの光にびびったのか?… 。彼にはこの光にに見覚えがあった!… 。正確的には今から4時間程前に見た光景だが、それに似ている!… 。
「… あの〜 、アイダさんこの光ってまさか!… 、あのクレバスの底にいた連中と同じですか?。」縁は顔が引きつりながらアイダ・エンの方を見た!… 。
「… 違う。形は似ているが大きさが全く違うだろ。」
「大きさなんて分かりませんよ… この位置からじゃ!… 。」縁はアイダ・エンに質問に答えながらも、徐々に後ろに後ずさりして、逃げようとしていた!… 。
「… 藍田君、心配するなあの個体は急に襲ってくる事は無い!… 。」
「… で!、でも!… 、見た感じほとんど同じですよ。本当に襲って来ない保証なんて無いでしょ!… 。」
「ハァ〜 藍田君!… 。」アイダ・エンは縁の方を見てため息を吐くとしゃがみ込み、縁の肩に手を置いた… 。
「… なぁ〜 藍田君!… 。私が君をここに連れて来たのは、気分が沈んでいる君に少しでも元気になってもらおうとした為だ!… 、別にこれは先程の様な修行の一環でもなんでも無い!… 、ただ… 、見に来ただけだ!。この素晴らしい光景を… 。」そう言うとアイダ・エンは光り輝く湖の方に視線をやり、うっとりとした表情で見た!… 。
そんなアイダ・エンを横目に縁はもう我慢出来ないのか立ち上がり‼︎ 、自分達が彷徨い歩く様に潜っていた、藪の中に向かって走り出そうとしていた!… 。
「… まて!… 、藍田君!、逃げるな。」アイダエンは逃げようとする縁のシャツの襟元を掴み、ずるずる縁を引きずって、湖に中に向かって歩き出した‼︎ … 。
「… ちょ!、ちょと!… 、アイダさん‼︎ … 、何!… 湖の中入ろうとしてるんですか?!!!… 。」
いきなり湖の中に自分を連れて入ろうとするアイダ・エンに縁は、軽いパニックを起こし!… 、来ていたシャツを破る様に脱ぎ捨て、なんとかアイダ・エンの拘束から抜け出た!… 。
脛の辺りまで水に浸かり、縁が着ていた敗れたシャツを握るアイダ・エンの表情は、どこか情け無い者を見るよな… 、哀れみを帯びた眼差しを縁に向けた!… 。
「… 藍田君!… 。」縁の名をふいに口走ったアイダ・エンのその声は力なく、風も虫の音さえ聞こえてこない闇夜に静かに木霊した!… 。
上半身裸で棒立ちになっている縁は、自分をどうしょも無い感じで見つめるアイダ・エンに、何故?そんな顔をされなければいけないと思う。理不尽な感情が心の中にふつふつと湧き出た!… 。
「… なんだね?… 、何か言いたそな顔だな?… 。」アイダ・エンは縁の不遜な気持ちを感じ取ったのか?、やや不機嫌そうな表情で縁に尋ねて来た!… 。
「… あんたって‼︎ 、基本人の気持ちなんて考えないよな?… 。」
「… はぁ。」アイダ・エンは少しキレ気味に返事をした!… 。
「… はぁ〜 じゃねーよ‼︎ 。あんた元々は俺に謝りに来る為に捜してたんだろ?… 。
なのにこんな所に連れて来て‼︎ … しかも、結局は俺に嫌な気分にさせんの!。
あんたってそうなんだよ‼︎ … 、常に自分しか見てない。
だから自分のする事は全部正しいと思ってる。ここに連れて来くれば俺の気分が晴れると思ってる!… 。
あんた俺がこれと似た連中に数時間前ボコボコにさせた事もう忘れてんじゃねーか‼︎ 。
俺は結構あの事はトラウマになってんだぞ!!! … 、ちょとは考えてくれよ…… 。」
アイダ・エンに必死に訴えかける縁の表情は悲痛そのものであり、我慢出来なくなったのか瞳からは涙が溢れ、ときおり鼻水をすすりながら、アイダ・エンを見つめた… 。
アイダ・エンは絶対に何か言い返すと縁は思ったが、彼は何も言い返さず自身の顔を左手で覆って、うなだれた様子で一言、「すまない。」と縁に謝罪した!… 。
それを聞い縁は、心の中で… えっ‼︎ … 、と思ってしまった。なかば愚痴に近かった自分の発言にこうもに素直に非を認めるなんて!… 、縁はアイダ・エンの顔をマジマジと見ながら困惑した!!!… 。
アイダ・エンは足まで浸かっていた湖から出ると、縁に近づき… 「 本当にすまない藍田君!。全部君の言う通りだ、本当!。私はいつだってそうだ!… 一つの目的を見出すとそれにしか目がいかない… 、その目的はなんの為にしていかを忘れてね… 、本末転倒だ‼︎ 、そうは思わないかね藍田君!… 。」そう縁に尋ねかけたアイダ・エンの顔はどこかやり場の無い怒りを含んだ様な表情に縁は見えた!… 。
「… アイダさん怒ってます?。」縁は少し引き気味に尋ねた?… 。
「あぁ… 怒っている。自分自身に!!!。」
「… えっ!なんで?俺じゃ無くて?… 、アイダさんがアイダさんにキレるんですか?… 。」
「… 今君自身が説明したじゃないか!… 私は自分しか見ていないと?… 、君の言う通りだ。結局私は言葉ではそれを否定していても‼︎ … 心の中では他人にをどこか見下し!、自分が優位な存在だと思っている!!!… だから私は私のする事は全部正しいと思っている!、卑しい人間だよ本当!… 。」
「… あの〜 アイダさん!… 、なんか元々の話から内容がそれてる様な気がするんですけど?… 。」
「… 私が今君にした話は!、君に行った私の行動も含めての私の自己評価だ‼︎ … 。」
「… そんな風に自分を客観的に見れるならどうしてそうなる前に自分の行動を考えられないんですか?… 。」
「… する前はそうはなら無いと思っているからだろうな… 。
この場所に来たのも君が絶対に喜ぶと思って連れて来た!… 。
さっき君が言った通り、これと良く似た生物に君が半殺しに目にあっていた事なんてとっくに忘れてな‼︎ … 。
ここにも、あのクレバスの底にも連れて行ったのは私なのに…… 。」
アイダ・エンは縁に話し終わるとその場にあぐらをかいて座り込み、頭を抱えうなだれていた!… 。
そんなアイダ・エンを縁は、どこと無く寂しくなる様な気持ちで見据え、頭を一回搔きむしると縁はアイダ・エンに向かって静かに歩き出し、彼の隣に三角座りになって横に並んだ!… 。
「… アイダさんさっきはすみませんでした。俺の為にここに連れて来てくれたのに、その… 、感情的に言いたい放題言っちゃって…… 。」
「… 何故君が謝る?。悪いのは私だろ?… 。
これもそうだが… 、今までも含めて!… 。」
「… 悪くないですよアイダさんは全然… 。
悪いのは愚痴ばっか言う俺の方なんですから!… 。」
「… 愚痴だって言いたくなるだろ… 、あんな日々じゃ…… 。」
「… でもそれを選んだのは俺です。」
「… 助さんも言っていたが、君が選んだ選択は私がなかば君を脅して選ばせたみたいなものだ!… 。
あんなのは選択とは言わない… 、ただの脅迫だ!… 。」
「… それでも行き場失った俺に生きる道を示してくれたのはアイダさんです!… 。
感謝こそすれど、愚痴を言うなんて本当はもってのほかなんですよ!… 。
だから… 、本当ごめんなさい。
これもそうですけど… 、今までも含めて本当にごめんなさい…… 。ごめんなさい…… 。」
縁は大粒の涙を流していた!… 。アイダ・エンはそんな縁をいたたまれない気持ちで見据え、沈んだ表情で「本当にすまない。」と、か細い声で縁に謝罪をしていた… 。
大の大人が二人、お互いをお互いが謝りあって座る中… 彼ら二人の暗く沈みきった心とは裏腹に、目の前にある湖では夜空に浮かぶ星の光さえ霞む程の、眩い光量を辺りに燦々(さんさん)と撒き散らしていた!… 。
……数時間経った頃だろうか、縁は曇った表情でふいに湖の方を見ると… 、いつの間にか湖の中で光り輝いて丸い生物が何匹か、湖面から顔を出して自分達を見ていた!… 。
縁は何気無く自分達を凝視する湖面に浮かぶその生き物に手を振ってみた!… 。
手を振ると光り輝くその生き物はそれに応えるかの様に、バシャバシャと水面の上で跳ね!… 、一匹が跳ねるとそれに呼応して湖面から顔を出す全てのその生き物が一斉に跳ね出した!… 。
縁はその光景に何だか癒される気持ちになった。そして、隣に座るアイダ・エンも、そんな縁を見てほころんだ顔になった。
光り輝くその生き物は、跳ねるのを止め、湖面上で再び縁達を眺めているだけだったが、縁がまた手を振ると再び水面上で跳ね続けた!… 。
縁は立ち上がり両手で手を降ったり、指揮者の様にタクトを振る様な動きをして見ると!… 、湖面に浮かぶその生き物達は、跳ねるだけでは無く、空中で一回転したり!、シンクロナイズ選手の様な、統制の取れた幾何学模様的な動きを水面下で魅せていた!!!… 。
縁はあぐらをかいて地面に座るアイダ・エンに「… アイダさんはこれを見せたかったんですか!!!… 。」と無邪気にはしゃぐ子供の様な無垢な笑顔でアイダ・エンに尋ねた… 。
「… あぁ、そうだ。」縁の質問に短い一言で答えたアイダ・エンだったが、その声にはどこと無く優しさや、嬉しさが滲み出している様に、受け取った縁は感じた… 。
アイダ・エンはふいに立ち上がると、「もうそろそろ帰るか 。」と縁の方を見て尋ねた… 。
「… あっ!、はぃ…… 。」縁はアイダ・エンの質問に一応は即答したが、その表情は何だかこの場から離れるのは名残惜しと言っている様に見えた。
「… 気に入ってくれた様だね。」アイダ・エンはニヤけ顏で縁に尋ねた!… 。
「… えっ!、いや、その何て言うか?、 その
…… 、めっちゃ綺麗だなぁ〜って?!… 。」
縁は頭をボリボリ掻きながら、照れた顏で答えた!… 。
「君にこれを見せたかった。そして、君のそんな顏を見たくてここに連れて来た… 。
なのに私と来たら君に気分を害させるだけで!… 。」
「… それを言うなら俺だってそうです。アイダさんが何でここに連れて来たのか考えもせず、偉そうな事ばっか言って…… 、その、すみませんでした… 。」
「… 君が謝る事はない。悪いのはちゃんと説明しない私だ!… 。
それこそ君をあの湖に引きずり込もうとしたのだって、ちゃんと説明しなければ端から見ればただの身投げだ!… 。
私はいつもそうだ!… 、相手は勝手にその場に順応してくれるだろと思っている。
本当… 、自分本意で身勝手な話だよ!… 。」
「そう言えば何で?、俺を湖に引きずり込もうとしたんですか?… 。」
アイダ・エンは、縁のこの質問に湖の方に視線を向けながら「… 湖の中から見よと思ったんだ。紫炎を使えば水を燃やしながら湖の中に進めるからな!… 。」
「… あっ!、だからか。」縁は納得したのか両手をポンッと叩いた。
「… アイダさん、湖の中からの方が外から見るより綺麗なんですか?… 。」
「… あぁ、綺麗だとも… 、とても…… 。」
「… 今更ですけど、行って見る事って出来ますか?。」縁は両手をもじもじしながらアイダ・エンの方を見た。
「… 君が良ければ是非… 。」縁の提案にアイダ・エンは微笑みながら嬉しそうに答えた。
「… では、行こうか。」アイダ・エンはそう言うと左手を縁に差し出し、縁も差し出されたアイダ・エンの左手を両手で優しく掴み、二人はそのまま湖に向かって歩き出した!… 。
「… おっと!、そうだ… 、忘れていたよ。」アイダ・エンは何かを思い出したのか途中で止まると、アイダ・エンは自身が羽織っていたローブを脱いで、「… 藍田君!… このローブを着なさい。ずっと上半身裸じゃ寒いだろ。
まぁ〜薄汚くて申し訳ないのだが!……… 。」
そう縁に言ったアイダ・エンの顔は若干照れて赤くなっていた… 。
縁はアイダ・エンから彼が来ていたローブを手に取ると、「… 俺も上!、裸なの忘れてました。」と笑顔で答えながらローブに袖を通した… 。
縁がローブを着終えると、アイダ・エンは縁の義手で出来た右手を掴むと、再び湖に向かって歩き出した。
その時だった‼︎ …… 、今まで湖面上で光り輝いていたあの丸い生き物達は、一斉に光らなくなり!… 、何かを感じ取ったのかブルブル震える出し、そのまま水中に潜ってしまった!!!… 。
「 何だ…… ?。」縁は呆気に取られてその光景を眺めていると!… 「時間切れか。」とアイダ・エンが静かに縁の隣でつぶやいた!… 。
アイダ・エンのその発言に縁は彼の方を向き、さっきの言葉の真意を聞こうと口を開きかけた時、微かだが遠くの方で何か音がしたのが聞こえた!… 。
音は次第に大きくなり、明らかにこの湖に近づいているのが分かった… 。
音が近づくにつれ… 、聞こえてくる音の感じがエンジン音の様な凄まじい轟音で、縁は耳を押さえ音のする方を睨みつけた!… 。
縁は何が近づいているんだと身構えたが!… 、隣に立つアイダ・エンはそんな縁を見て、「心配するな藍田君、あれは助さんが迎えに来たんだ… 。」と近づいて来る音のせいで周囲がうるさくなってしまったので、アイダ・エンは声を張って縁に説明をしていた!… 。
「… 助さん?。じゃーあの音って?… 。」縁も自分達に近づく轟音のせいで、アイダ・エンに大声で話してかけていたが、途中で‼︎ … 、縁達の30メートルぐらい頭上を何かが!… 、猛スピードで通り過ぎ去った!!!… 。
縁はその何かの出す、通り過ぎ去った風圧で体が後方に飛び、勢いよく後頭部から地面に倒れ伏した!… 。
隣に立つアイダ・エンは、縁の様に風圧で倒れる事はしなかったが、長く縮毛気味の白髪や服は風圧で激しくなびき、その姿はさながらゲームや漫画に出てくる様なキャラそのものと言った、出で立ちや風格さえ感じられた!… 。
縁を風圧で吹き飛ばした何かは、一旦は縁達を通り過ぎ、湖の中心辺りまで飛んで行ったが、中心まで来たところで徐々に減速をし… 、バックしたまま今度はゆっくりとしたスピードで縁とアイダ・エンの元まで近づいて来た!… 。
その何かが、縁とアイダ・エンの真上まで近づくと、いきなり上空から強烈な光が降り注いだ!… 。
光はさながらサーチライトの様な激しい光量で、それが10本光の柱になって等間隔で、円形状に彼らを取り囲んだ!!!… 。
「迎えに来たぞ!!!… 。」けたたましいサイレンの様な音量の助の声が真下にいる縁とアイダ・エンを直撃し!… 縁は鼓膜をつんざくその大音量に吐きそうなった!… 。
右手で口、左手で耳を覆いながら気分の悪そうな縁にアイダ・エンは彼のそばまで近づくと、背中をさすりなが自分達の真上で静止する巨大な物体に、鬼の様な形相で睨みつけた!… 。
「… すまんエン!… スピーカーの音、間違えた!… 。」アイダ・エンが物体を睨みつけると、聞こえてきた助の声は先程とは違い、辛うじて聞こえるぐらいの音量になっていた!… 。
アイダ・エンは浮遊する物体から縁の方を向くと、「大丈夫かい?、藍田君。」と優しい口調で縁に語りかけた。
「… 大丈夫です。アイダさん!… 。
ちょと鼓膜がビックリしただけで!… 。」縁は一応は気丈には振る舞ったが、その顔はまだ気分が悪そうだった… 。
そんな縁達を尻目に彼らの真上で浮遊していた助が乗っているであろう飛行物体は、湖の岸辺辺りまで移動し、ゆっくり下がりながら湖に着水した。
湖の中は下にっているのか?、着水した飛行物体は少し後ろが傾いた状態で止まっている。
アイダ・エンは飛行物体が湖に着水するのを確認すると、「…さぁ… 帰ろうか。」と縁の手を引いて、湖の岸辺に止まる飛行物体に歩き出した。
‼︎ 、その時だった!!!… 。
アイダ・エンに手を引かれて歩いていた縁が立ち止まり!… 、急にどこかへ向かって歩き出し?…… 。
「… どうした!… 、藍田君!。」アイダ・エンはいきなり自分から離れ湖とは違う方向に歩き出し縁に、戸惑い?、彼の名をとっさに叫んでしまった!… 。
自分の名を叫ばれた縁は、アイダ・エンの方を振り向き、「… あっ!、いや、アイダさん大した事無いです!… 、ただ…… 、あれ!… 。」
煮え切らない感じでアイダ・エンに説明する縁は、おもむろに湖の岸辺に唯一ある岩を指差した!… 。
アイダ・エンは縁が指差した岩の方に近づくき岩をマジマジと見つめた。
ふいに… 、アイダ・エンは岩の後ろを覗き込んだ!… 。
覗き込んだ瞬間‼︎ 、何かが岩の角でブルブル震えていた!… 。
アイダ・エンはその岩の角で震える物を、何の躊躇もなく掴み取った!… 。
「…それいきなり持って大丈夫なんですか?。」いつの間にかアイダ・エンの背後に近づいていた縁が、怪訝な顔でアイダ・エンが掴み取った物を見ていた!… 。
アイダ・エンが岩の角から掴み取った物の正体は‼︎ 、湖で色とりどりに光っていたあの丸い生き物だった!… 。
今は光っていないのでただの丸い物体だが、丸の中心には縦長の線の様な目が何回も瞬きを繰り返し、その身体はゼリーの様なやや半透明な見た目だった!… 。
夜の為、色は分かりずらかったが何となく、紫ぽっい色をしていた。
アイダ・エンに掴まれているその物体は、未だ震える事を止めず、縦長の目もハの字になり、泣いている様な印象さえ受ける!… 。
「… アイダさん!。何でこいつこんなに震えてるんですか?。」
「… さぁ〜な?。私が掴む前から震えていたからな?… 、原因が分からない?。」
「… 俺らが原因なんすかね?… 。」
「… この種の生き物達は本来人などは恐れない。そもそも他の生き物を見た事が無いからな。だから恐れると言う概念が無い… 。」
「… まぁ〜そうでしょうね。じゃなかったら俺はあのクレバスの底でボコボコにされてなかっと思いますから… 。」そう答えた縁の視線は横を向き、思い出したく無い記憶から背を向けている様だった!… 。
「… クレバスにいる彼らは、なあばり意識が強い!… 。
君じゃ無くても他の生き物を掘り込んだだけで攻撃してくる。
それこれ今私が掴んでいるこれでさえも!… 。」そう言うと、アイダ・エンはその生き物を指でつまんで縁の顔の前でぶらぶら揺らした… 。
つまんで部分はお餅の様に伸び、柔らかいのは見て取れた。
しかし、つままれたその生物は、今にも死にそうな表情で自分を見つめて来る姿に、縁はいたたまれない気持ちになった!… 。
「… ねー アイダさん。そいつもう湖に帰してあげましょうよ。
何だか可哀想になって来ました!… 。」
「… そうだな。それに早く戻らないと迎えに来た助さんがもうそろそろキレるかもしれないからな!… 。」
アイダ・エンはそう言うと、つまんでいた生物を左手の手のひらに乗せ、なるべく揺らさない様にゆっくりとしたペースで湖に向かって歩き出し、縁も続けてその後をついた。
湖の水に足が触れるか触れないかまでの距離までアイダ・エンは近づくと、なるべく振動を与えない様に膝を曲げ、手に乗せたその生き物を水の中に入れた… 。
しかし、その生き物はアイダ・エンが水の中に入れた瞬間‼︎ 、いきよいよく水面を跳ね!… 、アイダ・エンの隣に立つ縁の身体に投げつけられたカラーボールの様に、ベシャッと張り付いた!… 。
張り付かれた瞬間… 、縁は驚いて後ろに仰け反りそうになったが、お腹辺りに麺本で伸ばされた生地の様になって張り付くその生き物は、そんな状態にもかかわらず未だブルブルと震えていた!… 。
一瞬はお腹に張り付いたその生き物を剥がそうと思った縁だったが、自分のお腹に張り付き何をそんなに怯えるのか?、一心不乱に震えるその生き物に縁は、無理やり剥がそうと言う気が起きなかった!… 。
「… アイダさん。やぱっり何でこいつこんなに怯える様に震えているんですかね?… 。
それとも怖いから震えてるんじゃなくてそう言う震える習性なんですか?… 。」
「… その生き物にそんな習性は無い。その生き物はそんな見た目だが知能は高い。震えていると言う事は何かを怖がっているからだ!… 。
「… じゃー 、何か危険が迫ってるから震えてるって事ですか?… 。あの湖にいたこれの仲間みたいに?… 。」縁は少し不安げな表情になった… 。
「… 湖にいた彼らが発光を止め、一斉に震えたのは、助さんが乗って来たエクス-ガルーダに反応したからだ!… 。他の原因は無い!… 。」
「… エクス-ガルーダって!……… 、あれ!、俺らが普段修理してるあのオンボロ宇宙船ですか?… 。」
「… それ以外何がある?。」
「… えっ!、いや、そのよくここに来るまで落ちなかったなーって!… 。」
「そんなやわな機体じゃないさ。まぁ〜 欠陥があるのは間違いないが!… 。
そんな事よりも藍田君… 、その君の腹に張り付いた、それ!… 、どうするのだ?。」アイダ・エンは縁の下腹部を指差した。
縁は唸る様な表情で、「どうしましょ?。やっぱり無理やりでも剥がした方がいいんですかね?。」と腹に張り付きブルブル震えるその生き物を指で突きながらアイダ・エンに尋ねた。
「… 無理やりでもって!…… 、君はそれを常に腹に張り付かせた状態でいるつもりか?。
剥がすべきだろう!… 。」アイダ・エンは少し間の抜けた表情で答えた。
「まぁ〜そうなんでしょうけど?…… 。
こんなに震えられちゃーね!… うん〜〜 どうしましょ?…… 。」
「… どうするも何も?。」アイダ・エンは喋っている途中で急に喋るのを止め、何を思ったのか?、膝をかがめ湖の水を手で掬うと、いきなり‼︎ 、縁の下腹部に張り付くその生き物に目掛け水をかけた!!!… 。
「… 冷た‼︎ 。」縁はお腹辺りに水を急にかけられた為、後ろに仰け反りそうになった!… 。
アイダ・エンが水をかけると腹に張り付いた生き物はより一層震えだし‼︎ 、張り付かれている方の縁も、下腹部に来る強烈な振動で大きい方を催しそうになって来た!… 。
「… やはりそうか!。」アイダ・エンは長く伸びた白い顎髭を上から下へと触りながら感嘆とした表情で声を発した!… 。
「やはりって何ですか?。」縁はアイダ・エンがお腹にかけた水をローブの袖で拭こうとしたが、ブルブル震えるその生き物が出す振動のせいで、お腹にかけられた水など等に弾き飛ばされていた。
「… 彼は、水が苦手なのだよ。この種類では珍しいがな!… 。」
「今腹に張り付いてる奴って全部が水に潜れる奴何ですか?… 。」縁は腹に張り付いた生き物を指差しながらアイダ・エンに尋ねた。
「あぁ… 、そのサイズ物だと大抵は水に潜れる。まぁ〜 常に彼らを観察していた訳ではないから絶対とは言い切れないが?… 、私が知る限りでは手乗りサイズの《水まんじゅう》は水生型何だがな?…… 。」
「… ん、んん??。」縁はアイダ・エンが言ったある一言に思わず前のめりになって、聞き返した!… 。
「… どうしたのだ藍田君。」
「… いや、どうしたって!… 、こいつら水まんじゅうって言うんですか?。」縁は未だ下腹部ではブルブル振動したながら震えるその生き物を見ながらアイダ・エンに尋ねた。
「あぁ… 、名前の事か。本来この生き物達をどう言うかは知らなかったんで、私が勝手に命名した… 。
ほら… 、彼ら、外側が透明で内側がやや色が濃い部分があるだろ… 、丁度その部分があんこに見えたから似てるもので水まんじゅうと名付けた。ダメか?…… 。」
「… いや、だったらスライムとかで良かったんじゃないんですか?。
透明だし、今だってこうやって形状が広がって腹に張り付いてる訳だし… 。」
「スライム?… 、スライムはこんなんじゃないぞ!… 。
もっとこれよりもサラサラした液状で、中には気化して体内に入って人に寄生して身体を乗っ取ってしまうものまでいるからな‼︎ … 。」
「………… それスライムですか?。」
「あぁ… 、スライムだ。それがどうした?。」
「… いや、だって… 、俺が知ってるスライムってネバネバしてて半固形って感じのイメージだったんで!… 。」
「… 君の住む世界のスライムの認識がそれなだけで実際のスライムはそんなだ!… 。
まぁ〜 この星にはいないが 一応それらしい生物を見かけたら気おつけろ!… 、意外と凶暴だぞ‼︎ 。」
「はぁー 、あのアイダさん!。」
「何だね藍田君。」
「アイダさんってゲームやった事あります?。特に剣と魔法が出る様なロールプレイング系とか?。」
「無い。…… そもそもその質問の何がスライムと関係している?。」
「… いや!、ゲームだったら俺が知ってる様なスライムを知ってても可笑しく無いのかなーって!… 。」
「… なるほど分かった‼︎ 。
てっきり君の住んでいた星ではスライムはさっき君が説明した様なものなのかと思ったがそうでは無くゲームでの知識で、スライムは君の世界では架空な生き物なのか。」
「… はい。お恥ずかしながらそうです… 。」縁は少しはにかみながらアイダ・エンから視線を逸らした!… 。
「……… うん…… ん!、ん‼︎ 。」アイダ・エンは、一旦は縁がして来た質問を否定したが、顎髭をくねくねいじりながら何か考えている様子で!… 。
「あ‼︎ 、藍田君、すまない。確かに君の言う通りあるゲームではスライムがネバネバした形状のものがあった‼︎ 。
一番私がプレイしていた物なのに完全に忘れていた… 。
やはり長らくやら無いのはいけ無いんだな。」
「あっ!そうなんですか?… 、どんなジャンルのゲーム何ですか?… 。」
「エロゲーだが。」
「……………………………………………………………………………… はぁ?。」
縁は数秒間沈黙した後、何言ってんだこいつと言った表情で開いた口が塞がらなかった‼︎ 。
「… それは冗談で言ってるのか?、それとも本当に真面目に言ってるんですか?… 。」
「… 何故?、そんな事をふざけて言わねばならない。本当の事だからそう言ったまでだ!… 」
アイダ・エンは何故?、縁がそんな事を聞くのかと、やや不満そうな顔をした!… 。
「… そんな仙人みたいな恰好の人からまさかエロゲーなんて言葉が出てくるなんて思いもしなかったんで!… 。」
「私は自分を仙人何て思った事は無いし!、エロゲーをやっていたのもスッキリする為だ!… 。」
「スッキリって?… 、精神的な方なのか?、それとも…… 、出す方のですか?。」
「… 両方だが。君は違うのかね藍田君。」
「… 申し訳ありませんが!、俺は知識としては知っていても実際やった事はありません!。
ってか!… 、この世界普通にエロゲーとかあるのかよ!… 。」
「… 藍田君。私は今まで色々な並行世界を見て来たが何一つとして同じものは無かった。
ただ一つを除けば!… 。」
「… どう言う意味ですか?。」
「簡単なことさ、似た様な同じ世界でもその世界では当たり前にあるものが、別の並行世界では無く、逆にその世界では当たり前にあるものが、最初に行った世界では無かったりもした。」
「無いって何が無いんですか?。」
「それは様々だ!… 。文化的な物だったり、道具だったり、能力関係とか… 、まぁ〜 多種多様に何かが無いのが並行世界の特色だ!… 。」
「で!… 、そんな何かが互いに欠けてる世界でもエロゲーはあると?… 。」
「… よく分かったな!。まだ私は何も説明して無いのに?… 。」
「アイダさんが並行世界は全部何かが違うぞって言った後に、ある一個だけは除くって言ってんだからその前にしてた会話の流れで大体予想はつきますよ… 。」
「まぁ〜 、正確にはエロゲーだけがあるのでは無く、エロ関係なら大概どの世界も似たり寄ったりしていると言う事を言いたかったのだがな!… 。」
「……… なんか情け無い話ですね。」縁は肩を落とし、頭を抱えながらうなだれた… 。
「そうか?。男と女がいれば大抵そうなるだろ?… 。
男や女だけしかいない世界でもエロな文化は必ず存在するのに、男と女が混合する世界でそれが無いのはあり得ない… 。」
「… 男や女しかいない世界何てあるんですね!… 。」
「何だ!… 、羨ましいのか?。」
「羨ましいくねーよ‼︎ 。ってか!… 、そんな世界じゃ人口何て増えないんじゃ無いんですか?… 、どっちか一個の性別しかなかったら?… 。」
「遺伝子が一つあればそこから卵子や精子を作る事など造作も無い!… 。
男どうしだろうが、女どうしが、子を成せ無いと言う事なんて遥か昔にはとっくに解決された問題だ!… 。」
「… 何て言うか!… 、本当に未来って感じですね… 。」縁は口を手で覆いながら、感嘆とした声を出した!… 。
「君にとっては未来でも私にとっては何ら新鮮味もない当たり前の技術だよ。」
「… そうですか…… 、だったら性病とか妊娠時の痛みとかも無くなってたりもするんですか?。」
「妊娠時の痛みについては無くなっている。と言うか!… 、そもそも女性が自分の胎内で子を育てる何て事はほとんど無くなった!… 。」
「… えっ!、じゃーどうやって子供を作るんですか?。」
「子供を作るのは今も昔も精子と卵子が受精する事によってだが、今… 、まぁ〜これも私の世界では当たり前になっている事だが、受精させた卵子を羊水と同じ成分で満たしたでかいフラスコの中で約5年間ぐらい育て…… 。」
「… 5年?… 、そんなに時間がかかるものなんですか?。」
「5年と言うのは受精した卵子が出産可能な赤子まで育つ期間では無く、その赤子が5歳児になるまでフラスコの中で育てると言う意味だ。」
「何で?5歳児になるまでフラスコの中に入れておくんですか?… 。
もう本来なら産まれてもいい状態ならささっとフラスコから出して、母親に渡せばいいでしょ?…… 。」
「… その5年でフラスコの中の子供にある程度の教養や知識を身につけさせるからだ!… 。」
「フラスコの中の子供に?… 。
頭にケーブルでも刺さってるんですか?。」
「記憶何て所詮は脳が出してる電気信号だ!。
だったら脳が出してる電気信号と同じ信号を体外から送ってやればいい… 。
頭にケーブルを挿すなんて相当昔の廃れた技術だよ!… 。」
「… 羊水で満たされたフラスコの中なのに、ちゃんと電気信号… 、頭の中まで届くんですか?… 。
羊水っちゅうても液体でしょ‼︎ … 。
液体の中で信号が拡散したりし無いんですか?… 。」
「私はさっきこう言っただろ… 、羊水と同じ成分で満たしたフラスコの中だと… 。」
「それが何だって言うですか?。」
「同じ成分と言ったのは、羊水とよく似た成分であって完全には羊水と言う訳では無いと言う事だ!… 。
フラスコの中に入れる液体は胎児に送る電気信号を阻害せず、むしろ脳に効率的に送る事が出来るそんな代物だ!… 。
そもそも何だがこの羊水は体外から電気信号を送るのに適した成分と化合物で出来た液体だ!… 。
空気中で電気信号を送るよりはるかに脳に作用し、5歳児であってもある程度の計算や教養、礼儀作法を会得する事が出来る… 。」
「… なんか、製品みたいですね… 。」縁は怪訝な表情でアイダ・エンの顔を見た!… 。
「君の言う通り製品だよ… 。
この世界… 、いや次元か!… 、こちらに住む者達の子供など一部の富裕層以外は、わがまま言ったり、自分の夢を語る様な子供など誰もい無い… 。
親から言われた事をこなし、それに対して意を唱える者もいず、自分の割り振られた役割をただ当たり前に遂行する…… 。
そんな平和で安定した面白味も感動すら無い、素晴らしい世界が私の生きるこの世界だ… 。」
アイダ・エンはふいに両腕を広げ、空を見上げた!… 。
縁は眉をひそめながら「… それは素晴らしいんですか?。」とアイダ・エンに尋ねた… 。
「人同士の争いが他より無いだけマシではないのかな… 。」アイダ・エンは縁の質問に少し憂いを帯びた様な表情で答えた… 。
「… どうしてそんな風に、子供をフラスコの中で育てるんですか?… 。」
「そんなの決まっている。産まれて直ぐ親の手伝いができる様にする為だ!… 。
ちなみ私はフラスコの中で5歳になるまで育てると言ったが、そんなのは若干金にゆとりのある家庭だけで、実際は8歳〜13歳ぐらいまでフラスコの中で育てるのが大体だ!… 。」
「何で?そこまでして親は子供に仕事を手伝わせるんですか?… 。
しかも8歳〜13歳って!… 、ほとんど子育て何てしてないじゃないですか?。
そんなんで子に愛情何て湧くんですか?… 。」
アイダ・エンに喋る縁の口調は、喋る事に語気が強くなり、苛立っているが見て取れた!… 。
そして、その縁自身… 、どうして自分はこんなに苛立ってしまうのか分からず?、時折困惑した様な表情をアイダ・エンに向けていた!… 。
そんな縁の姿にアイダ・エンも縁を見ながらもの悲しげな表情で、「確かにそうだな。君の言う通りそんなんじゃ親が子に愛情が湧くなんて事も無いし、その逆もしかりだ!… 。子も親に愛情など湧かない… 。」
「… 何でここはこんな世界何ですか?。
俺の住んでた世界よりはるかに科学技術は進歩しているのに?… 。」
「だからこそだよ藍田君!。利便性や効率性を突き詰めて行った結果がこれだ!… 。
女性は妊娠の苦しみから解放され、親は子育ての苦労から解放させる… 。
そして、フラスコから出され子供は親の言う事をちゃんと聞き、学校何て行かせなくても知識だって与えられた状態で自分達の元にやって来る。君だってもし子供が出来たらそっちの方がいいだろ!… 。」
「… それは…… そうかもしれませんけど。」アイダ・エンのその発言に縁はアイダ・エンから目を伏せて、黙ってしまった!… 。
「… まぁ〜 、君がそう思うのも無理もない。君の世界では裕福だろが貧乏だろが、ちゃんと女性が妊娠して、親は苦労しながら子供と向き合って育てているんだろうが… 、 一方こっちの世界ではどうだ!… 、そういった人間として必要なわずらわしいものは一切排除している… 。
本当に…… 、何なんだろう… この世界は。」
「… でも!… 、親の立場で考えればそっちの方がはるかにいいですよね… 。」縁は若干伏せ目がちにアイダ・エンを見据え答えた… 。
「その気持ちも分からんでもないが、要は自分達が楽をしたいだけだろ… 。
子供を作れば自分達の仕事を押し付けられるんだから!… 。」
「自分達の仕事を押し付けるって… 、一から十まで押し付けるわけじゃ無いんだし!… 。」
「一から十までどころか全てだ!、その親が請け負っていた仕事全部だ!… 。
むろん仕事の引き継ぎで教えなければいけない事も多少はあるんだろうが、言うてその程度だ!… 、後は全部子供に任す。」
「…… そんなの召使いや奴隷じゃないですか?… 。」
「むしろ召使いや奴隷の方がよっぽどいいだろうな!… 。
なにせちゃんと給金が発生しているのだから。
しかしなぁ!… 、藍田君。その親が産んだ子供は違う!… 。
自分達が産んだ子供にさせる事は、あくまで親の手伝いだ!… 。
親の手伝いに給金何て発生しないだろ。
まぁ〜 、お小遣い程度の金は貰えるのかもしれないがそんなのはたかが知れる… 。
結局は都合のいい何でもやってくれるお人形が欲しいだけさ!… 。」
「…… あのアイダさん… 、そもそも何ですけど?、この世界は科学に関しては俺の住んでた世界よりはるかに進んでます。
あんな物を現に作れているんだから…… 。」縁はそう言うと、湖の岸辺に着岸しているエクス-ガルーダに指を刺した。
「あぁ… 、確かにそうだな藍田君の言う通り、この世界は君の世界より遥かに科学技術は進んでいる。」
「… だったら!… 。」
「だったら何で、子供にではなく機械にやらせないのかと尋ねたいのかな藍田君… 。
答えは簡単だ!… 、禁止されているからだ。」
「き、禁止って!… 、何で?。
俺の元いた世界ですら機械で出来ることは全部オートメーションになってるし!… 、体の負担を軽減する為の補助装置なんかも実用段階まで来てるのに?…… 。
何でこっちでは禁止何ですか?…… 。」
「そりゃ昔は君の言う通り、全ての事を機械でやっていたさ。社会も家庭も教育も…… 、全てな。」
「だったらなおさら何で?… 。」
「機械に任せ過ぎて人の価値が下がった。ただそれだけだ… 。」
「… 任せ過ぎたって?… 、ただ、だとしても人の生活は豊かにはなるでしょ?… 。
そりゃ… 、アイダさん言う通り人の価値は下がるかもしれませんけど… 、それでもそれを使うのは人です。ある程度はコントロールできるでしょ?… 。
それこそこれは機械にやらせたらその人の仕事が無くなるからセーブしておこうとか?… 。」
「君の世界ではそうなのか?…… 。
この作業を機械にやらせたらその人が離職するから機械は使わないであげようと… 、そんな人の絆を大事にして生産性や効率性を度外視にする社会なのか?… 。」
アイダ・エンは皮肉めいた言葉で縁をまくしたてた!… 。
「… それは…… 、多分違うと思いますけど。」縁はアイダ・エンの問いかけに力無く答え、指をもじもじさせていた… 。
「… 藍田君。突き詰めた繁栄の先にあるものは何だと思う?… 。」
縁はアイダ・エンのこの質問に一瞬は考える様な素振りを見せたが瞬時に、「後退ですか?… 。」と言葉に詰まりながら縁はそう答えた!… 。
「… そう…… 、後退だ。この世界は昔は確かに色々な事を機械任せにしていた。
最初の頃はその機械をメンテする人もいたが、その内メンテをする機械が誕生し、更にそのメンテナンスをする機械を治す機械まで発明された!… 。
そうやって行く内にどんどん人の仕事は機械が請け負い、家庭の中にもそう言った風潮が現れ始め、やがて母親は家事を一切しなくなり、子育て全て機械任せになった。」
「… 子育てを機械任せって?… 、ロボットか何かって事ですか?… 。」
「あぁ… 、そうだ!、全ての家事育児をアンドロイドに任せた。出始めの頃はただの無機質な人形の様な見た目だったが、そんなのは私が生まれる遥か前に出たモデルだ!。
私が生まれた頃には生身の人間と全く区別がつかない物がすでに出回っていた… 。」
「… それが人の価値を下げたんですか?。」
「あぁ… 、その通りだ。なんせ機械は人と違って従順で良く働き、アンドロイドに至っては、容姿や性格だって使用者の思いのままにカスタム出来る!… 。
そうなって来ると生身の人間になんの価値がある‼︎ … 。
人の仕事は完全に機械が担当し、自分好みのアンドロイドの登場で男女の恋愛は無くなり、誰も生身の者同士で付き合う事は無くなった… 。
そのせいで出生率まで下がり、挙句の果てには子供までアンドロイドで済まそうとする親まで出て来た‼︎ … 。
そりゃ禁止にだってなるさ…… 。」
「 だからって!… 、禁止された機械の代わりに実の子供に雑務を押し付けるのはおかしいでしょ!… 。」
「確かにその通りだが!… 、結局その子供の親も自身らが子供の時にその親達の親から同じ扱いを受けていたのだから仕方が無いと言えば仕方が無い… 。
この世界はそう言った事が次の世代に受け渡せながら、何百年と続く後退した世界なのだからな… 。」
「あの… 、アイダさん。そもそも何ですけど!… 、この世界の子供は胎児の頃から知識や教養を脳にインプットされるんですよね?… 。」
「あぁ… 、そうだか今更その話を蒸し返してどうしたのだ?… 。」
「知識や教養を赤ん坊の頃から頭に植え付けたって!… 、別に洗脳されてる訳とかじゃ無かったら、いくら環境がそうだからって絶対的にその事に反発し無い子供がい無いなんてありえ無いと思うんですけど?… 。」
「あぁ… そうだ。君の言う通り、フラスコの中で育った子供は洗脳教育まで脳に刻み込まれてはい無い。むろん親の言う事を全く聞か無い子供だってもちろんいる… 。」
「 じゃ何で‼︎… 、こんな社会何ですか?。
反発する奴が一定数いるならいずれはそれは大きな渦になら無いんですか?。」
縁は誰かに怒っている訳では無かった。
しかし、このどう表せばいいか分から無い怒りや憤りをアイダ・エンにぶつけられずにはいた‼︎ …… 。
アイダ・エンはそんな縁をただ静かに見つめ
「 一切無い。言う事を聞か無い奴は処分して新しい子供を作ればいい… 。」と別に自分が悪い訳では無いのにアイダ・エンは、誰かに謝る様な申し訳なさそうな口調で答えた… 。
「… 狂ってる。」縁のその表情は、耐え難いものを見た様な!… 、嫌悪と侮蔑に満ちていた。
「あぁ… 、狂っている。しかしだ藍田君。そんな世界を望んだのは他でも無いその世界に住む民衆そのものだ!… 。
力ある者や富のある者に強制された訳では無い。選んだのはあくまでそう言った強者では無く… 、言い方が悪いが、弱者と呼ばれる階層社会の下にある者達だ!… 。
むしろ権力や富のある者は機械で全てをまかなっていた世界の方が今でも望む者が大半だ… 。
人を雇えば金がかかるし、言う事だってちゃんと聞か無い。それに比べ機械はどうだ!… 。
初期費用はかかっても一度稼働させれば何時間でも働き給与もいら無い。
女や男だってそうだ!… 、権力者が自分の周りにハーレムを築きたいなら高性能な愛玩用アンドロイドをハベラしておけばいい… 。
だからなぁ藍田君… 、今の社会と言うのは弱者の弱者による弱者の為の世界なのだよ… 。
アイダ・エンの説明に縁は髪の毛をむしる様にかき、理解しきれ無いのか?… 、何度もため息を吐き、うなだれていた‼︎ … 。
縁は険しい表情でアイダ・エンを睨みつけ…
「こんな世界を望んだのが弱者って?…… 、アイダさん!、おかしく無いですか?。」
「何故だ… 。」
「機械の使用を禁止したらテクノロジーの使用を制限した張本人である社会的弱者の方が割りを食うじゃ無いですか?… 。
そりゃ機械が使われなくなれば企業や有力者だって人を雇わざるえないから、裕福な家庭じゃ無いところにも仕事が来るかもしれませんけど‼︎ … 。」
「けど、何だ?… 。」アイダ・エンは腕を組み、縁をじー っと見つめた… 。
「… それって結局自分達の首も絞めてる事になりませんか?… 。
企業だろうが!、個人だろうが!、人がいればそれだけで金がかかるじゃ無いですか?… 。
裕福じゃ無い家庭がいくら雑務を全て子供に任せたとしても、子供を作るって事がすでに金のかかる行為なのに?、自分達が裕福じゃ無いからって矛盾してませんか?… 。」
「なぁ… 、藍田君!。私はこうも言わなかったか!… 。
アンドロイドの登場で、出生率が下がったと… 。機械やテクノロジー関係をある程度禁止してからは人の手が必要になった。だが!、アンドロイドのせいで下がった出生率を上げる為に各星の政府はある2つの政策をした!… 。」
「各星の政府って!… 、人が住んでる星そんなに在るんですか?。」
「在るに決まっているだろう。水や酸素がちゃんと在る惑星や… 、故郷の星を棄て宇宙船で暮らす者など様々にな… 。」
「じゃーそう言った政府の代表が集まって何か話し会ったんですか?。例えば話しの流れからして少子化対策と後、それに伴う養育費的な事ですか?。」
「そうだ!。まさにその通りだ!… 。各家庭は絶対に2人は子供を設けなくてはいけない。
男と女1人づつな!… 。
でも、子供を作ればそれにかかる費用は政府が負担してくれる。だから貧しくても子供を作って食いっぱぐれる事は無い。」
「… それでも男女1人づつ作らなきゃダメなんですね!… 。
男も女も産まれ来る可能性は半々なのに何を無茶の事を!……… 。」
「遺伝子1つあればそこから卵子も精神も作れるのだから染色体を弄る事ぐらい造作もない。
産まれ前から男か女どちらか決める事など簡単な事だ!… 。」
「 でも…、アイダさん!。今思ったんですけど?。そんな事してたら今度は人口が過剰に増えて、色々な問題とか出て来ませんか?。
例えいくら政府がある程度面倒を見たとしても限度がありますよ。それこそ、食料とか?、住居とか?、雇用とか?… 。」
「だから男女1人づつなんだ!。3人目以降は基本作る事は禁止されている。君の言った通り人口が増えればそれだけで色々な弊害が出でくるからな… 。」
「ね… アイダさん?。そもそも何ですけど‼︎ 、自分達の仕事や意味が奪われるからって、いわいる社会的な弱者の人達が声を上げてそう言うのはおかしいって!… 。
だからこの世の中を変えたんですよね?。自分達の力で?… 。」
「あぁ… そうだ。そして!、君はこう私に尋ねたいのか?… 、そんな事を何故?、出来たのかと?… 。」
「… はい…… 、いや、だって!、アイダさんも言ってましたけど、権力者や富裕層は人を使うより機械の方が今でもいいって!… 。
だったらそんな機械反対の声が上がった所で、自分達の持てる力を駆使して反対なり弾圧とかしなかったんですか?… 。」
「もちろんした。しかし、最後には弱者が勝った。君も言っていたが、反発が起こればそれはいつか大きな渦になると… 。
いくらどれだけ優れた武力を持っていても、弱者の方が圧倒的に数は多いのだから時間はかかったが勝った… 。」
「俺はこの世界の軍事情勢は知りませんけど、少なくても俺の住んでた世界よりは遥かに兵器の性能は上だとと思います。それこそアンドロイドがあるならそれに銃持たせるだけでかなりの脅威だと思いますけど?… 。」
「… そりゃ最初は圧倒的に有力者が有利だったさ!… 。
なんせアンドロイドで全て構成した軍団や最新鋭機の兵器!、金!、資材!、全て潤沢に在る!… 。
普通なら弱者に勝てる要素が無い!… 。」
「じゃー 何で!、勝ったんですか?… 。」
「何故勝ったか?… 。」アイダ・エンは頭をボリボリかいて、ふけを落としながらどう言ったものかと?… 、右へ左へ何度も往復しながら考え込んでいた!… 。」
時間にして1分ぐらい左右を言ったり来たりしていたアイダ・エンが縁の前で立ち止まり…
「勝った要因は3つ在る‼︎ … 。1つはさっきも言ったが人の数!。2つ目は魔法や超能力と言った異能の力を持っていた者の助力!… 。
3つ目は…… 。」
「ちょっと待って!、アイダさん‼︎ 。忘れてましたけど、この世界魔法とか超能力が在る世界なんですよね!。」
「あぁ… 、そうだが?。この話はだいぶ前にしたぞ!。」
「あっ!、いや、魔法があるとか無いとかどうこうじゃなくて?… 、そんなのが普通に在るなら兵器にもそれ組み込めますよね?。
それにアイダさんは前に魔法や超能力が在るからむしろ科学や社会は発展して行くんだって?… 。
だったらなおさら人だけの軍勢なんて取るも足らない集団じゃ無いんですか?… 。」
「確かに異能の原理を組み込んだ機械は沢山ある。それこそ君が言った通り兵器にもな… 。」
「なら何で?… 、人が勝ったんですか?。」
「人に比べてしょせん機械に組み込める超常の力などたかがしれてるからだ!… 。」
「人にに比べてって?… 、人に使えるなら機械にだって普通に使えるでしょ?。」
「使う、使えないの問題ではない。藍田君… 。
要は質の問題なのだ。人間が異能の力を使うのと機械が使うのでは圧倒的に能力の質が違う!… 。
例えばだが!… 、機械と人間両方が魔法、超能力、何かしらの異能力で炎を出したとしよう。
両者が並んで一緒に出したとしたら明らかに人の方が出力が上だ!… 。」
「何で?、人の方が上なんですか?… 。」
「さぁ〜 それに関しては私も分からん?… 。
ある意味でその疑問は宇宙最大の謎だな!… 。
だがな、藍田君!… 、私はこう思うのだよ… 、異能の力と言うのは本来人が、いや!… 、人型の生き物のみが自身らにせまる脅威を排除する為に誰かによって組み込まれた一種の自己防衛システムなんかじゃないのかと?… 。」
「自己防衛?… 、だとしたら何に対しての自己防衛なんですか?… 。
後… 、その力を組み込んだのは誰になるんですか?… 。」
「自己防衛の方はそれこれ今君としていた話のような、人の尊厳が著しく低くなり存在そのものが危うくなる事態を想定しての事や、シンプルに種として生命の危機に瀕している時何じゃないのかな… 。
だからこそ人の方が機械などに異能を組み込ませるより出力が上なのではないのかね… 、なんせ自分達より優れた存在が現れた時対処出来ないからな!… 。」
「じゃー組み込んだ奴は誰なんですか?。俺はどっちかと言うとそっちの方が知りたいです… 。」
「それは知らん。だが私はこう思うのだよ!。
誰かが異能と呼べる力を技術として作り、それが拾え伝えたか… 。
もしくは元々自分が持っていた力を分け与えそれが宇宙… 次元を超え数億年の年月をかけてありとあらゆる人に空気感染的に広がり、住む星の環境や移った人の適性で次第に元の能力から変異して今に至ったかのどちらかだと私は推測している!… 。」
「ねー アイダさん!。1つ目はまぁ… 、何となく納得は出来るんですけど… 、2つ目の感染って!… 、異能力ってそんな風邪みたいに感染するものなんですか?。」
「あぁ… 、感染する。そして、他人から他人への能力の移し替えも出来る。
ただ、他人から他人への能力の移し替えはあくまで同じ種族間だ!… 。
別の種族間では出来ないし、能力の感染も全員が全員移る訳ではないからもちろん使えない者も一定数いる。」
「一定数って事は、使えない奴の方が少ないって事ですか?… 。」
「確かに少ないな… 、なんせこの世界において魔法や超能力などの超常の力を行使出来ない奴の方が珍しいぐらいだからな!… 。」
「そんな奴居たら格好のイジメの標的にされそうですね… 。」縁は若干皮肉った言い方をした!… 。
縁のこの問いにアイダ・エンは何も答えなかった。ただ… 、少しアイダ・エンの表情はどことなく沈んでいる様に縁には感じられ、その表情こそこの質問の答えなのだろうと縁は思った。
場に重い空気が経ちこめ、縁は流れを変えようと半ば慌てた様子でアイダ・エンに話しかけた‼︎ … 。
「… あっ‼︎ 、あ‼︎ … あのアイダさん‼︎ … 、そう言えば、機械もりもりに支配された世界でどうして人が勝ったのか?、3つ目の要因をまだ聞いていませんでした!… 。
3つ目は何だったんですか?!!!… 。」
縁は所々目が泳ぎながら自分のした質問で気分が下がっているアイダ・エンに申し訳ない気持ちになって行った‼︎ … 。
縁があたふたしていると!… 、アイダ・エンは右手を顔に当て、上から下に撫でる様に下ろすと静かな口調で一言「… 紫炎だ!。」
「ん?… 。」縁はその答えに一瞬思考が止まり、アイダ・エンが何を言ったのかすらも忘れてしまった!!!… 。
アイダ・エンはそんな縁を今まで見せた事のない程真剣な表情で見据え、両手を前に組むと、「… 1つ目が人の数、2つ目が異能力、3つ目が紫炎を扱えた者達の助力だ!… 。」
縁は何を言っていいか分からずただアイダ・エンを見つめた‼︎ … 。
「藍田君… 、君はこう言ったよね!… 、この世界は狂っていると!… 。
あぁ… 、確かな狂っている。だけどな藍田君… 、私達自身もこうなるなんて思っても見なかった!… 。
機械に頼り切った世界で人の意味がなくなりそうだった時、私達は、弱者と呼ばれる者達と一緒に戦い、励まし合い、明るい未来を信じて力を行使した!… 。
しかし、待っていたのはこのザマだ!… 。
機械がやっていた仕事を人がする様になっただけで本質は何も変わっていない… 。
結局… 、弱者は強者に使われるだけ!… 、そして、その弱者は金が無いから子を機械の様に使い、少しでも生活を楽にしようとする!… 。
もし、言う事を聞かない子が出来ればそれを捨て新しく作る。そんな事を数百年も繰り返せば人の心は無機質な物になり、機械を使うのと何ら変わらなくなった!… 。」
アイダ・エンは今までにない程荒い口調で喋っていた!… 。
「紫炎を扱える者の助力って!… 、つまり、シエンジャが手を貸したって事ですか?… 。」
「… あぁ、その通りだ!。ちなみにだが藍田君!… 、その時代はまだ紫炎を扱う者をシエンジャなんて言わなかった!… 。
このまぁ〜 、ある意味、尊厳戦争見たいなものが終わった時に紫炎使いをシエンジャと誰かが呼んだ!。
誰が何でそんな名前を付けたかは知らんが、周りの反応を聞く限り、感謝の意を込めてつけたみたいだな!… 、この戦いに協力してくれた者達を忘れない為に… 。」
荒かった口調のアイダ・エンはいつも通りの静かで、淡々とした喋りに戻っていたが!… 、発する声の節々にやりきれない思いが滲み出している様に、聞いている縁は感じられた… 。
その13読んで頂いた皆様ありがとうございます。
会話、会話、会話&会話でほぼ終わりましたね。
多分読んでて辛かったと思いますが、すみません。この次もこんな話が続くと思います。 それでも楽しんで頂けたなら筆者トマトジュース的には御の字です。




