-終の談-敵のいない争いは宴に変わる
強準の例外以外で一つ抜けていたので入れておきます
庭からガラス戸を開け縁側に上がりそのまま奥の明かり障子を開けると予想通りこたつに入り読書をしている三一納がいた
そんなだから誰も寄り付かんのだとお前が言うなとでも言われそうなことを思っていると「何よ」と言われたので「何でもない」と返しておいた
それよりも頼まれた件を進める
「でだ、血鬼はどうしたらいい」
「…そこにでも寝かせといて、起きたら影華の意思の説明でしょ」
「あれをか、これを連れてきた阿呆は教えてないのか」
「分からない、だから確認も兼ねて教えるだけよ」
「なら我も居ようか」
「…別に居なくても問題ないわ」
「つれんな、久しいのだ後で宴でも開かんか。どうせ食べていないのだろう」
「…そうね最近食べてない気がする」
「この世界では不必要だとしても多少は食べんと衰えるぞ」
「……椅子いる?」
「もらおう」
そんな感じでキュラミスが起きるのを待とうとすると
「宴会するの?たくさん呼んでこようか?」
パッと見何も感じてなさそうな精霊、白髪で濃い青目、黄色い服を着ている少女、ネティーショが障子を開けながら言ってきた
「…いつも思うけどこの里には遠慮というものがないのかしら」
「諦めろ、それと遠慮がないのは空蛇もだ」
「そう呼ぶなと言ってるでしょ」
「そうだな人数はほどほどにな、場所は永桜だ」
「分かった。言ってくる」
そう言うとネティーショは隠しきれていないわくわくした顔ですぐに出て行った
三一納は空蛇と呼ばれたことで柊を睨んでいたがその姿を面白がって笑うのでため息を吐いていた。諦めたようだ
「それで、我の記憶がもどる目処はついたか?」
「………」
「…そうか」
今までも何度か聞いたが変わらんか
そう自嘲気味に苦笑していると
「…分からないわ当てもないんだから」
柊を見ずに呆れたような声色で言うその言葉に安堵したが自嘲気味だったのが自嘲に変わってしまった
「ふ、そうか」
そこからは他愛のない話が続き戻ってきたネティーショも交えて小一時間談笑をしていたところふらつきながらもキュラミスが起きた
「…あらおはよう。よく眠れた?」
「ははは、面白い話を聞く?」
頭を振って意識をはっきりさせるとそんな言葉が耳に入る視界に入るのはこたつに入っている人間と精霊、高そうな木の椅子に座っている妖怪
「……あんたら、何で私がここにいるのよ!」
「我が運んだ。空蛇が話があるそうだ」
「…何よ話って」
「…まず最初に貴女はあれをなんだと思っているの」
「何って、この里の心臓ともいえるモノでこの里のありとあらゆる全てが詰まっているモノでしょう」
「…そう…。心臓でもいいのかしらね。あれは----」
憎々しげに言うが柊とのこともあり冷静ではあった。そんな中影華の意思のことを聞かれ自分の認識している情報を言うとあまり肯定的な返事はこなかった。
それからは少し長い昔話などを聞き認識を改めはした
「----ここは外に見つからないための場所なの、ここ自体にもあれにも何かできるはずはないけどあれに何かがあってはだめなんだから。」
「…そう、あんたの言うことを信用するわ。でも認識を改めるだけ、何度でもあれを手に入れるためにまた挑んでやるんだから!」
話を聞かされても色々とは分かったがそれでも影華の意思を奪おうとするのは彼女の境遇からなのだろうか捨て台詞のようなことを吐き捨て素早く飛び去って行ってしまった
その後ゆっくりと柊が口を開く
「…空蛇、外とはなんだ」
「………外は外、私達が世界から逃げてきた意味がないでしょう」
「むぅ、そうか」
三一納は黙り込もうか考えた末、黙っていられずつい口に出してしまった。その時ある一点を見てしまったのは口に出したのと同じでついつい見てしまった、その視界にはネティーショが居た
それを見聞きした二人は
(なぜそこで引っ掛かる、空蛇…)
(!方向がある、なのに違う…!)
二人は感じたものを表には出さず「さあ、宴に行くぞ」と柊が言ったのを皮切りに準備をし大きな一本桜、永桜に向けて進む
最初三一納が飛べないと少しごたごたがあったが柊が抱えることで収まった
宴会はたくさんの妖精や精霊、幽霊などと色んな種族もおり楽しい時間だった
酒に酔いつぶれ寝ていた者も、言い争いをする者も、もみくちゃにされている者も、笑っていた
端にはキュラミスも居たようでうるうに付きまとわれていたが嫌そうではなかった
いろいろとあったもののうまくいった宴会だったそうだ。三一納は疲れたと言いながらもまんざらでもなかったそうな
これにて影遠に光華の談は終わりです。(もしかしたら外伝的なものがつくかもしれません)次は影遠に祭騒の談になります。(たった今考えたので現時点では全く書けていませんw)
あ、あと三一納が飛べない理由は簡単に言えば空気を操る能力なだけで強風など風を起こすことはできるが自身を永続的に浮き上がらせることは無理があるというだけです