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神様のゆうとおり!!  作者: いなりきり
1/1

Rule of God #1

世の中には、必ずルールというものが存在する。


そのルールを絶対的なものにすることができるのが、主導者だ。


主導者とルールは、生き物全てに存在しているということに、あなたは気付いているか?


蟻の女王は働き蟻に命令するし、大人は子供にルールを守れと要求する。あなたの周りでも、思い当たることはあるはずだ。


もう一度言おう。「世の中には、必ずルールというものが存在する」


あなたが知らない「神様の国」でも、この理は絶対だ。





ーーーー神様のゆうとおり!!ーーーー





コトコト、コトコト…。


甘い香りが充満した家の中で、一人の少女は笑っていた。


コトコト、コトコト……。


手をゆっくりと動かしながら、鍋の中の液体をかき混ぜる。まるで、ヘンゼルとグレーテルに出てくる魔女のように。しかし、その笑顔は邪悪なものとはかけ離れた可愛らしいものだった。


まるで、心の底からこの作業が楽しいような…この後起こる何かを期待しているような笑顔を浮かべて、少女は呟いた。


「できた」


カチッ。

コトコトという音が止み、代わりに明るい声が響く。


「ムーンドロップのジャムの完成ー!今回の納品分120ロット、大変だったけど楽しかったー!」


くるくると踊りながら作りたてのジャムを美味しそう、綺麗と愛でていると、勢いよく窓が開かれた。


「おい蜜宮!」


「あっ!渚!どうしたの?」


「どうしたの?じゃねえよ!」


蜜宮(みつみや)、と呼ばれた少女は、パッと明るく振り向く。しかし、(なぎさ)と呼ばれた少年は声を荒らげて続けた。


「おまえ、また神の野郎が言ったむちゃな願い事叶えたんだって?!」


「120ロットのジャム作っただけだよ?」


「それがむちゃだっつーんだよ!…クマ、すげーできてる」


「ええっ、うそ!?やだー、神様に会うのに!」


鏡を見に行く蜜宮の後ろで、渚はますます機嫌が悪くなる。


「…あんなやつの、どこがいいんだよ…」





ここは、神様の国。

名前のとおり、神様が統べる国。


この世界には、絶対のルールがある。


それは、

「神様の指定した職業で一生を過ごすこと」

「それにもとづく捧げものを神様へ献上すること」「神への謀反は追放に値する」


そして「その3つの掟を犯さなければ、自由にこの世で過ごすことを許す」ということ。


神様のルールは絶対。


これは、ここ……神様の国で住むには必要な条件。


「よし、クマも隠れた気がするしそろそろ行きますか!約束の時間に遅れちゃイヤだし!」


鏡の前で、オレンジと黄色をベースにしたワンピースを翻して駆ける。


「それじゃあ行ってくるねー!渚!またねー!」

「蜜宮!…あーもー!!」


悪態をつきながら、水兵が着るようなセーラー襟に通ったスカーフをなびかせて、渚はズカズカと職場である海へ向かって歩いた。

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