名前って何なの?
「名前の無い四角形を描いてね」と先生は僕に言った。
は?「名前が無い」だと?既に「四角形」という名前が付いているだろう。
もしかしたらこの世はそういうものなのかも知れない。人間が勝手に名前を付けて、それで読んでいるだけだ。
例えば「林檎」。日本語ではこうなのに、英語だと「apple」となる。
誰が、「これをこう呼ぼう」と決めたのだろうか。全ての物には元々名前なんて無くて、でも僕達を楽にする為に名前が付いたのだ。
だから、時々僕は、物に別の名前を付けたりすることも有る。
名前に縛られていたらこういう不思議が出てきてしまってもおかしくはない。
と思いながら、僕は定規で、「一般では」名前の付かないと言われる四角形をノートに描いた。