ワーヒド 第2話
いよいよ農民の強さが頭角を現れ始めました。
僕は今、道らしくない道を歩きながら、考え事していた。とりあえず目標は人里を見つけること。
そう考えて歩いてたら、何かが近づいて来た。僕より高く、でっぷり太っていて、そして全身緑色だった。
RPGでお馴染みのオークだった。手には棍棒が握られている。
オークはよくザコ扱いされるが、一般人には強敵だ、というより普通は勝てない。だって、二メートルくらい高い身長で腕は丸太くらい太い、そして、一体どんな木から作り出したのかわからない重そうな棍棒。日本で筋トレもろくにやっていない僕が勝てるはずもない。
ここは障害物が全くない平原。オークの脚力はどれほどなのかわからないが、逃げられない可能性が高い。
オークはまだこっちを見ているだけで襲いかかってこない。何かするなら今だ。
僕はしばらく考え、『農業魔法』の『植物成長』を念じた。そして、それをオークの足下にかけ、ありったけなMPをつぎ込んだ。計画は簡単、オークの足に草が絡み付いて、オークが戸惑っているとこを突いて全力で逃げる。カッコ悪いとか、ダサいとか好きに言えばいい。僕はまだ異世界に着いたばかりだ。まずは生き残ることが目的。
ここまで考えるのに、五秒とかからなかった。
僕が後ろを向いて逃げようとした、でも出来なかった。僕が目の前の光景に驚いたからだ。そのあと少し経って、もう逃げる必要がないと理解した。
オークはもう絶命しているからだ。何本もの僕の腕くらいありそうなツタらしきものに貫かれ、引き裂かれていた。。
オークは数秒後に光の粒子となって消え、緑色の丸い物体が残る。
ピロリン〜
レベルが13になりました。
ピロリン〜
レベルが10を超えたため特典を授与します。
『収容魔法』にて確認してください。
ピロリン〜
『思考』がレベルアップして『思考Lv4』になりました。
ピロリン〜
『恐怖耐性』を習得しました。
ピロリン〜
『恐怖耐性』がレベルアップして『恐怖耐性Lv3』になりました。
ピロリン〜
『植物成長』がレベルアップして、『植物成長Lv3』になりました。
ピロリン〜
『農業魔法』がレベルアップして『農業魔法Lv2』になりました。
ピロリン〜
『植物鑑定』を習得しました。
ピロリン〜という音がうるさいほど鳴り、やっと落ち着いた。
いくつか新しいスキルを習得したので、ステータスを確認する。
【ステータス】
名前:ワーヒド・ヒグチ
レベル:13
種族:人族
メインジョブ:農民
サブジョブ:未登録
HP:235/470
MP:475/950
攻:48
防:43
技:23
智:92
幸:限界突破
装備:スーツ一式(上・下)・革靴
称号:『世界に愛されし者』
スキル:『精神同調』 『世界之門』 『言語LvMAX』 『大図書館』 『至高神の加護』 『収容魔法』 『念話』 『農業魔法Lv3』 『思考Lv4』 『恐怖耐性Lv3』
レベルと同様、やはりステータスも凄まじく上がった。魔に関してはもうすぐ100を超えそうな勢いだ。
レベル10の特典が『収容魔法』に入ってるそうなので、それを確認する。
〈レベル10特典〉
・冒険者風の装備
・魔術師風の装備
冒険者の装備と魔術師の装備ならまだ分かる、しかし「風」とはなんだ、それっぽいコスプレで実際とは違うのか。
あのギャグ神は僕に恥をかかせるつもりなのか?やはりこれは嫌がらせか?
〈冒険者風の装備〉
・冒険者の鎧風の鎧
〔全状態異常軽減〕
〔防+50〕
〔技+20〕
・冒険者の剣風の剣
〔クリティカル率アップ〕
〔攻+50〕
〔技+10〕
〈魔術師風の装備〉
・魔術士のローブ風のローブ
〔全状態異常軽減〕
〔魔+50〕
〔防+20〕
・魔術士の杖風の杖
〔クリティカル率アップ〕
〔魔+30〕
〔攻+20〕
〔技+15〕
だから「風」ってなんなんですか!もう、「風」なんていらなくないですか!十分本物くらいの力はあると思いますよ。それともなんですか、すでに本家超えたから一緒にされたくないんですか?そうですか、わかりましたよ!
ハァ、ハァ、勝手に一人ツッコミしてたら疲れた。
道中何が起こるのかわからない。防具があるなら身につけた方がいいだろう。しばし考えて〈魔術師風の装備〉を選んだ。このステータスを見てこれを着た方がいいと思う。
しかし、外で、しかもこんな平原で着替えるのには抵抗がある。と思ったら念じるだけで着替えられた。スーツは『収容魔法』の中に入ってる。
この格好も相当怪しいがスーツよりかはマシだと思う。万が一の時に備えてすぐに着替えよう、冒険者風の装備はこれより普通にみえるから。
ピロリン〜
この装備は至高神様に呪われており、外すことができない。
ハァァァァ!!!何ですと!!
まだギャグ神ですか!!後で『念話』で文句を言ってやる!!
その後、いろんな方法で脱ごうとしたが、叶わなかった。こんなところで裸になるのは御免だが、いきなり脱げないと言われるとムカつく。風呂に入る時はどうするんだ。
僕は後で文句をいうと決心して、道に沿って歩いた。
最後の最後にギャグ神が出てきました。
仕返しにしては馬鹿すぎませんか。
至高神様は立ち直った。
至高神様は作者殺しの旅を続けた。