表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春MEMORIES  作者: 紫紀
8/44

第8話 物陰から見てる

一目惚れというのもバカにしていた。僕はとある先輩に一目惚れをしてしまった。

「今日もいるかな」

先輩の名前は知らないが、彼女が毎日お昼休みに中庭の池の近くのベンチにいることは知っている。僕は物陰に隠れて先輩を待つ。


この不審者のように憧れの先輩を待つ少年は眞鍋(まなべ)真太郎(しんたろう)と言う。不審者のように物陰に隠れているのに誰にも気づかれないのは彼の影が薄いためである。

しばらくじっと眞鍋が待っていると、中庭の池の近くのベンチに一人の少女が座った。そして池をじっと眺めている。この少女こそ眞鍋が恋している先輩である。


先輩いつもいつも何してるんだろう、池を眺める先輩の姿に眞鍋はいつも首をかしげていた。あそこって鯉と亀ぐらいしかいないし。池の水は少し濁っていて臭いし、何が楽しいんだろ。

しかし先輩はずっと池を眺めている。


撫子(なでしこ)、ここにいらっしゃったのですね」


「みどりさん、こんにちは。なにか約束してましたか?」


「してませんわよ、たまには一緒に過ごしましょ。従姉妹ですもの。」


ニッコリと笑う白木に撫子は口角をあげた。

その光景を見ていた眞鍋は心の中で熱狂していた。先輩の名前は撫子さん、先輩の名前は撫子さん。とひたすら繰り返していた。


「また、鯉を見ていらっしゃたのですか?」


「はい、この池は小さいのに何匹もの鯉がいて窮屈そうなので。いつもどうやったら鯉が快適に過ごせるかを考えてました」


そうか撫子さんは鯉が好きなのか。だから池にいたのか。だから毎日、池を覗いていたのか。眞鍋は納得し、先輩の好きなものを知れたという事で心の中ではお祭り騒ぎだ。


「ところで撫子、次は体育ではなくて。早く準備しないと遅れてしまいますわよ」


「はい、失礼します」


撫子は白木に言われ時計を見て走って行った。


じゃあ僕も帰るかなと思い後ろを振り向く。そして悲鳴をあげた。


「どちら様で?このような悪趣味なことを?」


そこには先ほどまで撫子と共にいた白木がいた。微笑んでいるが怖い。


「次、撫子にこのような悪趣味なことをしたら……、分かってますわよね」


有無を言わせない圧力に生唾を呑んだ。


「……はい」


「ならよろしいですわ、それではごきげんよう」


そう言い白木は帰って行った。撫子先輩の従姉、すごい怖いんですけど……

しばらく動けずにいた眞鍋だった。

はじめましての方もはじめましてじゃない方も、こんばんは。紫紀しきです。明日で2月が終わりますね。こないだまで2016年だったのにね!!

今回のお話は影の薄い眞鍋くんと鯉が好きな撫子のお話でした。撫子の苗字は作中でてきませんでしたが、苗字は淀川よどがわと言います。

眞鍋くんは傍から見たら完全に不審者だよね。わーお


それではこの辺で失礼します。アデュー

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ