第19話 告白の決意
弓道場ではほとんど毎日弓道部が活動している。
今日もかっこいいな井吹先輩、そう思いながら井吹が矢を射る姿に見惚れていると後ろから誰かに抱きつかれた。
「また、先輩見てんの。琴葉」
「雅、後ろから抱きついたら危ない」
「平気、平気。てか琴葉も変わってるよね。私は井吹先輩みたいな人は恋愛対象じゃないかな~」
「それは雅の主観でしょ」
この2人は2年生のなかでも毎回団体戦メンバーに入る実力者だ。
そうしていると井吹が2人の方に来た。
「来たよ、琴葉」
雅はキャーキャーと騒いでいる。
「毛利、宍倉」
「えっ私も?」
雅は目を丸くした。その様子に井吹は深くため息をついた。
「お前もだ。2人ともうるさい。他の部員に迷惑になる。練習するのかしないのか?」
その静かな怒り方に2人は背筋が震えた。
「します、練習します」
そう言い2人は礼をしてそそくさと練習をしだした。
「まったく」
メガネをくいッと上げため息をついた。
あんなふうにじっと射る姿を見られたら集中出来るものも出来ない。しかも毛利は練習を見ているというより自分に対してすごく熱い視線を注がれているようでと自問自答を繰り返した。しかし自問自答を繰り返したところで解決はしないので矢を射ることで心のモヤモヤをとろうとした。
けっきょく心のモヤモヤはとれることはなかった。
部長である霧宮が部活終了を告げると部員は帰宅の準備をはじめる。
「私さ、3年生が引退する時に井吹先輩に告白する」
「そっか、頑張りなよ琴葉」
弓道場から出た時に2人はそう話した。
その頃井吹は着替えながらため息をついた。
「ため息つきすぎッスよ、先輩。そんなに気になるなら告ればいいじゃないっすか」
「俺は毛利のことなんてどうとも思ってない」
「俺、毛利なんて一言も言ってませんけど」
その発言に井吹は顔を赤くした。
「いいじゃないっすか、告白すれば」
「告白とかそんな簡単に言うな。だいたい男女交際なんて高校生には早いだろう」
「先輩、なんかやましいこと想像してるんっすか?ムッツリなのは知ってたんッスけど」
「ムッツリじゃない」
顔を赤くしながら全否定する。
「先輩、認めましょ。決意しましょ。告白するって」
そう後輩が言えば周りも井吹が告白させるように促す。
「わ、わかった。俺ができることが証明してやる」
「じゃあ先輩が引退する時に告白ってことで」
「やってやる」
周りが上手く井吹をあげてやる気にさせた。
大会まであと1ヶ月半である。
こんにちは紫紀です。
青春MEMORIES19話を更新しました。今回は井吹くんと毛利さんのお話でした。最近自分でも思うのですがオチが弱いなと思ってしまいます。頑張ります……
それではsee you again.....