第16話 ずっと恋してる
同じクラスで同じ部活の御子柴君は私が中学時代から片思いしている人だ。
もう高校2年生になるのに告白できてない。去年はクラスが別々だから話すことがあまりなかったけど、今年は一緒になれたから話そうって決めていたのに、なかなか話せない。
「三鷹、話があるんだが……」
「えっ、う、うんわかった。どうしたの?御子柴君」
いきなり御子柴君に話しかけられ驚いてしまった。うぅいつもこうだ。
「今週の土曜日、暇なら手伝ってくれないか」
「う、うん。いいよ。神社のお掃除だよね」
「あぁ、人手が足りなくてな。本来ならお前に頼むべきじゃないだろうが……」
「大丈夫だよ。私、すごい暇だし。掃除好きだから」
「なら、頼む」
そう言い、三鷹が頷くと御子柴は友達の方へ行ってしまった。
「デートか?御子柴」
「違う、ボランティア部だから。手伝ってもらうだけだ」
「ちぇ、つまんねぇの」
友達が御子柴を茶化しているが御子柴はバッサリとボランティア部だからと言った。
聞き耳を立てていたわけではないが、その言葉に三鷹はショックを受けていた。
そうだよね、御子柴君にとっては部活仲間だもんね。御子柴君のお家の神社は大きいからお掃除が大変でお手伝いするだけだもんね。期待なんかしちゃダメだもんね。
三鷹はそう自分に言い聞かせた。
土曜日になり、三鷹は神社に向かう。そこにはジャージ姿で頭にタオルをまいた御子柴の姿がいた。
「御子柴君。おはよう。あれボランティア部のみんなは?」
「ボランティア部の奴らには声かけてないけど」
その発言に三鷹は固まった。
どういうこと?ボランティア部だから私に声かけたんじゃないの
と頭の中が混乱している。
「てか、ボランティア部の奴らに手伝わせるのは悪いだろ。三鷹は中学時代から手伝ってくれてるから別だ」
「そうだよね、中学の頃から手伝ってるもんね。じゃあ私、裏庭の方からはじめるから」
三鷹は、御子柴にとり神社の手伝いを積極的にしてくれる友達でしかないのかと思い、急いで裏庭の掃除をはじめた。
でも他の人には迷惑をかけるからって声をかけてないってことは、私は迷惑をかけてもいいって思ってる。少し気を許してもらえたみたいで嬉しいかも。
と思い頬が緩んだ。
その頃、御子柴は深くため息をついた。
「まだまだだなぁ」
「見てたのかよ、父さん」
「若いっていいなぁ」
「掃除するから、父さんもしろよ。母さんに叱られんぞ」
「はいはい」
全てを父親に見透かされた御子柴は苛立ちながら黙々と掃除をした。
こんにちは紫紀です。
今回のお話は御子柴君と三鷹さんのお話でした。いかがでしたか?お楽しみ頂けたら幸いです。
書いていて思ったのですが2人とも苗字がみがつくんですんよね(笑)
それではsee you again.....