第12話 模試
「椿元気だして」
「……」
人気のコーヒショップでデートをする2人、慰めているのは神柳時雨、うなだれているのは霧宮椿だ。
「時雨はよかっただろう」
「まぁ、一応A判定だったからね」
そう答える時雨に椿は深く溜息をつき、模試の結果を再度確認した。しかし結果は変わることはない。
「椿、そんなに落ち込まないで。そもそもこの模試は2月にやったやつだし。俺と椿の行く大学は違う。だから俺と比較するのは間違いだよ」
「Z大だって難しいだろう。偏差値では同じくらいだ」
そう言いコーヒーに口をつける。
「まぁね、でも椿はT大の文科一類でしょ。競争率だって俺に比べたら高いだろうし。それにこれから頑張れば大丈夫だよ。B判定ならすぐにAになれるって」
そう言い時雨は椿の頭を撫でた。
「…時雨はずるい。私をそうやって甘い言葉で惑わして、悪魔みたいだ」
「そうかな、でも悪魔っていうのはあながち間違ってないかもね。でも俺が悪魔なら悪魔を魅了する椿も悪魔だ」
「ま、また恥ずかしいことを自然とそう言う」
椿は顔を赤らめながらそう言った。
「次の模試はゴールデンウィーク前だから勉強しないとね」
「あぁ、今度はA判定をとる」
「その意気だよ」
さっきまで落ち込んでいた様子が嘘みたいに晴れ晴れとしていた。
「椿、そろそろ行こうか」
その言葉に椿は頷く
コーヒーショップが混んできたため、2人は片付けをし、店をでた。
「椿」
「あぁ」
手を差し伸べられ、椿は時雨の手をとった。そして2人は恋人繋ぎをしながら帰って行った。
こんばんは紫紀です。
今回のお話は第1話『風邪』で登場した2人でした。
2人とも3年生なので恋愛要素をいれつつ進路のお話を書きました。
それではこの辺で失礼します。
see you again.