第10話 捨て猫
帰宅路に猫が捨ててあった。
拾って下さい。というダンボールの中に白い猫が1匹いた。
どうする俺……
拾ってやりてぇのは山々だが、俺の家はアパートでペット飼育不可だ。
「にゃー」
つぶらな瞳で白い猫が見つめてくる。くそ可愛いじゃねぇか。くそっ
飼って飼ってとこちらを見つめてくる。
「悪いが飼えねぇ」
そう言いその場を去ろうとする。にゃーにゃーと鳴き始めた。それでも振り切って帰ろうとする。
猫は鳴きやまない。くそ、帰りづれぇじゃねぇか。
俺は仕方なく、猫の元に戻った。くそったれが……
「おー、吉永どうした」
「竹やん」
「こらこら、竹林先生だろ。どうしたんだ吉永。こんなところに座り込んで」
スーツ姿で吉永に声をかけたのは、隣のクラスの1-D組の担任で現国担当の竹林修也だった。フランクな性格で少し抜けてるところがあり、先生というイメージは生徒にあまりない。
「俺の家じゃ飼えねぇんで。この猫」
「捨て猫か。世の中悪い奴がいるもんだな」
竹林が猫を抱えて撫でると猫は気持ちよさそうにする。
「よしっ、おまえの名前はオサムだ」
どんと命名する竹林、猫はにゃーと鳴く。
「えっ、先生」
「実家暮らしだから大丈夫。だから心配しなくていいぞ」
キラーンと格好つけるが吉永はどう反応していいかわからなかった。
とりあえず礼だけ言った。
「先生に任せろ。なっ」
そう言い竹林は帰って行った。
少し心配をしつつも、ここに置き去りにされるよりは幸せだと思い、吉永は帰って行った。
みなさん、こんばんは。紫紀です。ついに3月になりました。あっという間ですね。
今回のお話は恋愛物から離れてみました。どうでしょうか。ちなみに吉永くんの名前は大毅です。
それではこの辺で失礼します。
have a nice day!