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Episode.1-4

 あれからなんだかんだで時間が経ち、僕はシャルちゃんと2人で校舎を巡っていた。


「それでシャルちゃん?」

「頼むからシャルちゃん呼び辞めてくれ」

 意外と強情な学生会長だった。別に蔑称という訳でもないのだから好きに呼ばせてもいいのに。心が狭い。というか僕は良い呼び名だと思うよ。シャルちゃんって。

 まあ、冗談として。


「わかりました。学生会長って呼べばいいんですか?」

「それでもかまわないが、私の名前のシャルルでもいいぞ」

「わかりましたシャルルさん」

 うむ。と納得したような仕草を見せて歩き始めるシャルルさん。

 コールラウシュさんの魔の手から逃れた僕は、シャルルさんに誘導されるようにして学生寮を出て、再び校舎の中に入った。

 僕が気絶している間に何があったのかについては聞かないでおくことにした。なんか普通に聞きたくなかった。

 学生寮は学校の敷地の中でも奥の方にあるため、中央の校舎に戻るまでに他の施設に案内された。

「ここが武道場だ」

 シャルルさんは学生寮から出てすぐの場所にあった広い平屋建て建物の前で止まり、僕に説明してくれた。

「ここは主に部活動や、たまに授業でも使われることがある」

「へえ、部活なんてあるんですね」

「まあ、一応学校だからな。それにアレニウスがあるから筋力は必要ないとはいえ、アレニウスの操作は本人に帰するからな。いくら力を手に入れたところで、その力を上手く使えなかったら本末転倒もいいところだろ?」


 次に闘技場を紹介された。

「ここはアレニウスを使っての実戦練習を行う場所だ。第一闘技場は学生全員を収容できる規模だから、クラス対抗戦の決勝戦などは第一闘技場で行われる」

 シャルルさんは並んでいる闘技場の中でもひと際大きくて立派な建物を指さしながら説明した。

「せっかくだから中に入ってみるか」

 シャルルさんは第一闘技場のメインゲートから中へと入っていった。僕もそれに続いて中に入る。

「すごいな……」

 僕は第一闘技場の大きさに驚愕してしまう。

 全方位にある座席が反りあがっていくように設置されていて、僕の正面には5メートルはあろうかというほどに巨大な電光掲示板が直立していた。

「時間が経てば嫌でもここで戦うようになるさ」

 シャルルさんは僕に言う。

「そうですか」

 空返事で答える。

「まあ、もうすぐ新人戦があるから、そこで実際に戦っているのを見た方がいいさ」

 僕とシャルルさんは闘技場を出た。



「アレニウスの実力はどれぐらいなんだ?」


 他の施設への移動中にシャルルさんは僕に聞いてきた。

「どれくらいと言われましても……」

「どうした?男子とはいえ、入学試験を通り抜けてきたのだから、それ相応の実力はもっているのは分かっているだろうが、かなりの実力の持ち主ならば、5月に行われる新人戦でも優秀な成績を収めることもできるぞ?もちろん優勝とかになったら、それ相応の報酬も得られるし」

「へえ、そうなんですか」

 報酬と聞いて悪い気はしない。

「まあ、報酬といっても、金銭ではないがな。名誉がもらえると思っていたらいい」

 金銭が貰えないと聞いて、俄然やる気が無くなる。

「それで、いったいどれくらいの実力なんだ?」

 僕の前を歩いていたシャルルさんは振り返って、僕の顔を見ながら聞いた。そのまま歩みを遅め、僕と並走する。

「実力といわれましても……」

 僕は曖昧な返事をする。

「どうした?歯切れが悪いな。なにか賞レースを取っていないのか?」

「まあ、ちょっと、賞レースは……はい」

「ふうん」

 シャルルさんは僕の曖昧な物言いで僕が複雑でアレな感じであることを悟って、それ以上の詮索を辞めた。


 めっちゃ先輩!


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