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Tenpure 2-6


――え、それ本当に私がやるのか?

 仕方ないわ。だって私もネタギレしちゃったもん。

 ネタギレって……。そもそもネタである必要性がないだろ。

 だってこんなに地獄のような日々を送っているのだから、少しくらいはネタがあったっていいじゃない。

 うーん。私はお笑いのセンスがあるわけじゃないからなんとも言えないが、本当にネタで片付けられるんだな?

 私を信じられないの?

 逆にコールラウシュは自分を周りの人から信じてもらえるようなキャラクターだと思ってるのか?

 思っているわけないじゃない。ほら、時間が来たから早くして。

 まあ、やるけどさあ……ん――





「はっ!?」

 起こされる。

 僕は口を手で押さえてその光景をまじまじと眺めようとする。が、眺めようとできない。

 一度目をつぶって今僕に起きた事態を整理せざるをえない。

 この起こされ方には経験がある。

 これはキスだな。

 もうキスで起こされる感覚を体が覚えていることが恥ずかしい。

 そこまではいいとして。

 今、目の前にはコールラウシュさんがいる。

 これもいいとして。

 目の前に照れまくってるシャルルさんがいるぞ……。

 頬を赤くして手を顔で押さえているシャルルさんがいるぞ。手で押さえているのに指の隙間からでも十分に頬が赤くなっているのが分かる。

 コールラウシュさんの顔が喜びの表情になっている。

 シャルルさんは枕の横に立っていて、シャルルさんの体を折り曲げると僕と唇が重なるような体勢になる。

 なるほど。

 条件が全て揃った。

 こんなことするとこれから接しづらくなるのに、なんだってこんなことするんだコールラウシュさん。

 という思いもあったのだが、シャルルさんのキスに対する困惑と照れの気持ちが可愛すぎた。

 こうなってしまっては僕はどうしようもないので、コールラウシュさんにアイコンタクトをする。

 助けてください。

 コールラウシュさんは驚きの表情をする。

 なんでこの人の表情はクルクルと変わるのだろうか。

 僕は睨む。

 コールラウシュさんは苦悶の表情をする。

 ちげえよ!

 苦しくて悶えるべきなのは僕とシャルルさんの方だろ!

 僕は口の動きだけで「助けて」と伝える。

 シャルルさんはサムズアップをした後、こっそりと僕の部屋から出ていった。

 ちげえよ!

 2人にしてくれって意味じゃねえよ!

 理解力0か!

 明日は討伐だというのになにをやっているのだろうか。緊張感がないのか。

 僕がコールラウシュさんと意思の疎通をしようとしている間、シャルルさんはずっと手を顔に被せたまま悶えていた。

 あー、もうやだ。

 僕は布団の中に入ってもう一度睡眠をとることにした。


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