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Episode.3-1

「もうそろそろあれがあるから、あれに向けて色々とあれしなければいけないから、今日の5時にあそこね」


「全然わからない……」


 僕はウィルヘルミーさんのあれあれ攻撃を食らって7000のダメージを受けていた。

「もうちょっと具体的に言ってくれません?」

 僕はヒントを貰おうとする。

「先生に偉そうな口をきくなあ!」

 ぶちぎれるウィルヘルミーさん。

 なんだか最初の頃に、同い年だし気さくに話しかけてね、的な発言をしていたような気がするが、きっとしていないのだろう。

 敬語を使わなくていいよ、みたいなことを言われたような気がするが、きっと言われていないのだろう。

 このキレ具合はきっとそうだろう。

「せめてどこに行くかだけは教えてくれませんか?」

 僕はへこへこと聞く。

「あの、あそこだよあそこ。なんだっけなあ、名前。忘れちゃった」

 忘れちゃった、って言われても。

 そしてウィルヘルミーさんのキャラがブレブレだな。

 というより、僕と関わっている人全員のキャラがブレブレな気がする。

「名前出てこないから、とりあえずそれっぽいところに行ってくれ。時間は5時ね」

 この学校って馬鹿みたいに大きな校舎なのに、それっぽいところって言われてもなあ。

「じゃあ、頼むね!」

 ウィルヘルミーさんはサムズアップをして教室を出ていった。

 


「遅いぞ!もうみんな帰ったぞ」

 僕はシャルルさんにプリプリと怒られている。

 新人戦の次の日以来の学生会室だった。

 あれから5カ月くらいの月日が経っていた。

 学生会のことなどすっかり忘れていた。

 夏は特にイベントなどもなく、ただただアレニウスに励む日々だった。

「まあ、ウィルヘルミーから話は聞いているからな。全ての物事の名前が出てこなかったって。それなら仕方がないだろう」

 全ての物事の名前が出てこない、って言われて納得できるのか。

 良い人かよ。

 許容精神の塊かよ。

「それで集会をした目的というのは、体育大会の準備があるからだ」

「なるほど!体育大会の準備のために学生会として働くから今日はその具体的な内容について話しあったんですね!」

「理解力100かよ……」

 すんなりとゴールまで導いた僕にシャルルさんは若干引いていた。

 なぜ僕がゴールまで導けたのかというと、理解力が100なわけではなく、どこに行くのか分からずに自室でスヤスヤとお昼寝しているところにコールラウシュさんがやってきて情熱的なキスで起こされ、学生会の集まりがあったことと、話した内容についての一通りの説明を受けたからだ。

 まあ場所が分からなかったからお昼寝した僕も悪いわな。誰かに聞くとかできた。

「とりあえずこれが今年やる予定の競技リストとルールだ」

 シャルルさんは小冊子を僕に渡す。

 その小冊子をパラパラと読んでみると、バレーやマラソンなどの普通の体育大会と同じような種目が並んでいた。

「なにか追加したい種目とかあるか?」

 とシャルルさんは言って、

「あ、エッチなのはダメだぞ。そういうのは個人的にやってくれ」

 と付け加えた。

 エッチなことをするような人だと思われてるのか僕は。

 そして個人的にならエッチなことでもいいのか。

 少しずれてるよな、この人。

「あの、1ついいですか」

 僕はシャルルさんに聞く。

「どうした?」

「僕って参加してもいいんですか?男ですけど」

「えー知らなーい」

 シャルルさんは生意気な女子中学生のような可愛げのある返事をする。

「知らなーいって言われても……」

 僕だって知らない。

 その時、シャルルさんが閃いたような顔をした。

 嫌な予感がした。

「じゃあ全校生徒がアレニウスを装備したままやればいいんじゃない!?」

 何を言ってんだこの人は。

「危ないですよ」

「それもそうだな、うむ。やっぱり辞めよう」

 すぐに折れてくれた。ここでよく分からない意地を張られてしまったら理詰めできないので詰んでいるのだが。

 詰めようと思ったら詰まれちゃうわけである。

「じゃあ例年通りでいいか」

「僕もそれでいいと思いますよ」

「じゃあ当日頼むな」


 といって当日になったのだった。


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