デートするよ!(後編)
お久しぶりです。
仕事が忙しくて中々、活動出来ない今日この頃です。
私とアデルは見るからに怪しい店の前で立ち止まっていた………何時までも此処に居てもしょうがないわよね……行きますか!
「行くわよアデル!」
私の言葉にアデルは頷いた。
私はアデルの握っている手に力が入ると私はアデルと一緒に店の中に入って行った。
店内に入ると怪しい魔道具が沢山並んでいたが人の気配が全くなかったので叫んでみた。
「すいませーん!誰かいますか?」
………………
「返事がないわね………不用心よね!」
私は早くこの店から出たかったので、もう一度だけ店の人を呼んでみた。
「あの〜〜誰もいないんですか?」
店の中には私の声だけ響いただけで返事は無かった………うん!誰もいないから、帰ろっと!
茉莉花がアデルの手を引きながら外に出ようとした時に茉莉花の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「だ、だれ!?」
茉莉花は声のする方を振り向くと、そこには一冊の古びた本が置いてあった。
「うわー……何か嫌な予感がする………関わりたくないわね!」
「………………」
「分かっているよ!アデルも嫌な予感がするんでしょ!」
アデルは茉莉花の言葉に頷いた。
「でも、この本に触らないと変な声は止まないわよね………はぁ〜ヤダな〜!」
茉莉花は恐る恐る本を触ってみると急に視界が暗くなり、暗い空間に一人だけになった。
「あれ?ここは何処なの?……アデルは?」
茉莉花は周りを見回しても自分以外誰もいなかった。
「嫌〜な予感はしていたのよね………さてさて、どうやったら此処から出らるのかな?」
茉莉花はそんな事を考えながら悩んでいると後ろから、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
茉莉花は直ぐに振り向くと、そこには先程の古びた本が宙に浮かんでいた。
「貴方が私を呼んだの?」
茉莉花はその本を見ても動じる事なく本に問いかけた。
すると、宙に浮かんでいる本はページをパラパラと開きながら茉莉花の問いに答えた。
「少しも動じぬとは……大したお嬢さんだ。少しは驚いて欲しいものだ!」
本の言葉に茉莉花はフッと笑うと腕を組んだ。
「この世界にも召喚してから、色々と鍛えられたから慣れたわよ!」
「慣れとは怖いものですね………」
「好きでなった訳じゃないわよ!それより早く此処から私を出しなさい!」
宙に浮く怪しい本を睨みつけた。
「そう慌てる事は無いですよ。契約さえ終われば何時でも此処から出られますから!」
………契約?何か怪しい流れになかって来たわね。
「ねえ?契約って何の事なの?」
本に茉莉花が聞いてみると、本はノリノリで茉莉花に話し出した。
「よくぞ気いてくれました!私は太古の昔より貴女をずっと待っていたんですよー!」
………やっぱり、この流れか。
茉莉花は思わず深い溜息を吐いた。
「で………何で貴方が私を待つ必要があるのよ?手短に答えなさい!!」
茉莉花は浮いている本にビシッ!と人差し指で本に指差した。
「はう!!そのSっ気……ああ、懐かしい!」
本は変な声を出して身体を赤くした。
「なっ?何を言っているのよ!貴方は………」
茉莉花は思わずその場から一歩下がってしまった。
本はうっとりした表情??それっぽい表情にしとくか……とりあえず本は語り出した。
「やはり、貴女はあの人の生まれ代わりなのですね………貴女のその気迫はまさにあの人と瓜二つ………待った甲斐がありました。」
???………何を言っているのよ?この本は…それに、あの人って誰の事を言っているのよ?
茉莉花は首を傾げながら目の前の本を睨み付けていると、次の瞬間本が突然、茉莉花の方に猛スピードで飛んで来た。
「あはは!今こそ約束の時です!さあ合体ですぞ!」
「!?ち、ちょっと!次は何なのよ?」
茉莉花は思わず飛んで来た本を叩き落とそうとタイミングを合わせて本に手刀をしたが、本は茉莉花の手刀を交わすと茉莉花の身体の中にフッと消えて行った。
「!!??………ほ、本が私の中に入っちゃった………と、ど、どうしよう?」
茉莉花は慌てて本が消えた自分の胸の辺りを見て見ると胸に三日月の形をしたアザが浮かび上がっていた。
「な、何なのよ!あの本は?……一体何がしたいのよ?全く冗談じゃ無いわ!早く私の中から出て来なさいよ!!」
頭に血が登っている茉莉花が叫んでいると、頭の中で声が聞こえた。
『無事に契約(合体)終了でーす!』
「はぁ?契約終了ですって?勝手に何してるのよ!このバカ本が!!早く出て来なさいよ!!」
『嫌でーす!それに契約したので主が死ぬまで契約は解除できませーん!』
「………マジで言ってるの?」
『マジもマジ!大マジでーす!』
サイテーーーーー!!!
茉莉花は何もない空間で大声で叫んだ。
茉莉花が落ち着くまで時間が掛かったが、何とか我に戻ると自分の中に居るバカ本に質問した。
「それで貴方は一体何が出来るのよ?」
『良くぞ聞いてくれました主!』
「主はいいから、早く答えろ!!」
『そう急かさないで下さい。これから長い付き合いになるのですから!』
「寝言は寝て言え!!」
『あ〜その気の強い所………大好きでーす!』
「絶対に生きている間に解除の方法をさがしてやる!」
『無理無理無理無理無理無理ィィィィ!!!』
「目標が出来たわ………絶対にお前を殺す!!」
『出来るもんなら殺って見てくださーい!』
「絶対に殺ってやる!!!」
茉莉花と本の言い争いが何も無い空間で1時間程行われた。
「ハアハアハア……………疲れたわ………」
茉莉花が息を切らしていると本が語り語り掛けて来た。
『ねぇ主………この場所だから良いですが、もし周りに人が居たら独り言みたいですよで恥ずかしくなると思うので、今後は声に出して喋らない様にして下さいね。』
「………そうね。わかったわ!」
茉莉花は本の言葉に思わず納得してしまった。
「話しを戻すわよ!貴方にはどんな能力があるのよ?」
改めて本に質問すると、本はドヤ顔?多分そんな感で答えた。
『ふふふ……驚かないで下さいよ………何と何でも出来るですよ!!』
「???………はい?」
キョトンとした表情している茉莉花に本は詳しく説明し始めた。
『うーん……何と言えば良いのですかね?………あっ!主の力を制御出来る様になると言えば宜しいですかね!』
「私の力?」
『そうです!主は本来、とてつもない力を秘めているのですが、主はその力を今まで制御出来ていなかったでしょ?』
「うっ!貴方……痛い所を突てくるわね!」
『そりゃー主の事はずっと見ていましたからね!』
「………まるでストーカーね!」
『失礼な!!愛の紳士と言って下さい!』
「あんたの発言がもはや変態地味てるわよ!」
『いいですよ主!もっと言って!!』
「………………」
『どうしたんですか?もっと私を罵って下さい!!』
「嫌よ!!」
『そ、そんなーーー!!でも、放置プレーでも構いませんよ!』
「お前はもう喋るな!!」
『いけずー!』
「それより、早く此処から早く出しなさい!」
『分かりましたよ!私と契約出来たので時間が来れば出れますよ!………あっ!それから、私の事はマイケルと読んでください!』
「嫌!」
『えーーー!折角、考えたのに!!』
「あんたの本当の名前を言いなさい!」
『ちぇっ!はいはい、言いますよ!私の名前はネロです!』
「へえーまともな名前なのね?もっと変態地味た名前だと思っていたのに………心外だわ!」
『失礼な!!私をなんだ………ん?………主!時間切れ見たいです。空間が壊れます!では、後ほど……』
「えっ?えっ?な、何勝手に終わってるのよ!待ちなさい!!聞きたい事が山ほどあるのに!!」
茉莉花が叫ぶと、何も無かった空間が硝子の様に砕けて行った。
茉莉花が気が付くと何も無い路地裏でポツンとアデルと二人で立ち尽くしていた。
「嘘………夢だったのかな?」
茉莉花は狸に化かされた気分だったが、自分の胸を見て夢ではないと確信した。
………夢であって欲しかったよー!
茉莉花の胸には、くっきりと三日月のアザが浮かび上がっていた。
アデルが心配そうに自分を見ている事に気が付くたのでアデルに優しく微笑んだ。
「帰ろっか?」
「……………」
茉莉花の言葉にアデルは頷くと二人は城と歩いて行った。
読んで頂き有難う御座います。