*交換
「どうやって渡した。言え!」
男はケビンの父親に銃を突きつけて脅しをかけた。
「ケビンの……ペンダントだ」
父親は観念したようにうなだれて応える。
「! 渡せ」
男は手を差し出す。
「でも……」
「いいから渡すんだ」
こづかれた父親はケビンに言い聞かせた。少年はおずおずとペンダントを首から外すとベリルに手渡す。
「彼と交換だ」
「いいだろう」
ペンダントを手にしているベリルが歩み寄り、1人の男が後ろ手に手錠をかけられている父親を半ば引きずって前に進む。
ほぼ同時に手を出す──しかし男はペンダントを奪って父親をグイと引き寄せた。
「!? 父さんっ」
その刹那、一斉に武器を手に持ち銃撃戦が開始されライカは慌てて少年を担ぎ盾になる場所に移動した。
「ベリル!?」
たじろがずに撃ち続けるベリルの姿が映る。
「なにしてるんだ!」
セシエルが死んだ時の光景が脳裏に甦り体が強ばった。
「ベリルーっ!」
彼の叫びにも反応せずベリルは立ち止まらずにハンドガンを構え相手に照準を合わせつつ撃ち続けた。
そうして彼が止まった頃……相手の男たちはうずくまって唸りを上げていた。
「ベリル……」
2人は恐る恐る彼に近づく。
「私は死なないよライカ」
笑って振り返る。
「……ベリル」
そうだった、ベリルは不死だった……ホッとした。
「少々、痛かったがね」
ゲフッと咳き込む。
「うわっ!? 痛いどころじゃねぇだろっ!?」
1発、胸に見事に命中していたらしく胸の辺りから血がにじんでいた。
「心配ない。心臓には当らなかったため意識は遠のかなかった」
「そういう問題じゃねぇよ……」
ドキドキして胸を押さえる。
「父さん!」
「ケビン!」
感動の再会を果たした2人に顔がほころぶ。
「あれ? 1人足りないんじゃね?」
「ああ、逃がしてしまった」
「! なんだってぇー!?」
「まあ良いではないか。父親も助かったのだし」
声を張り上げたライカに彼はしれっと応えた。
「そりゃそうだけど」
『傭兵の仕事』とやらはどうなったんだよ……
「! 取り返した? よくやったぞ」
ボスはビルの部屋で連絡を受けて歓喜した。
「早くそれを持って行け」
まさかベリルから取り返せるとは……わしの部下は素晴らしい!
「はい」
部下の背中を見送って溜息を吐き出し豪華なチェアに腰を落とした。
「!」
葉巻を手にしようとしたそのときドアが開く音が聞こえて視線を上げる。
「な゛っ!?」
現れた人物にギョッとして立ち上がった。
「やあ」
「どっ……どうしてここに!?」
笑顔で挨拶するベリルに目を見開く。
「イワンか」
「! お、覚えていてくれたかぁ~光栄だな」
心にもないことを発した顔は引きつっている。
「一度組んだ相手は忘れないのでね」
ほんのちょろっと組んだだけなのに恐ろしい記憶力だな……男は恐怖で身を固めた。