*集合
3人はカフェで喉を潤し疲れを癒していた。
「ふむ……」
ルカが探り当てた組織はそれほど大きくは無い。偽札を造るような組織とは思えないが……作り方を入手したとしてもそれを造るだけの度胸と技術者と組織としての規模が必要だ……彼は端正な顔立ちに思案の表情が浮かべる。
「まあ良いか。ケビン、それを大事に持っていろ」
「うん」
少年はペンダントをキュッと握りしめた。マイクロSDをケビンに返したのだ。何も無しでは相手に気付かれる。
「これからどうするんだ?」
カフェを出て歩きながらライカが尋ねた。
「さて、どうしたものか」
「いつまでこんな事やるんだよっ」
しれっと応える彼に苛つき気味に発する。
「もちろん、そろそろこちらから仕掛けさせてもらう」
「!」
そう言って軽く手を挙げるとあちこちから男たちが現れた。その中の何人かは見知った顔だ。
「仲間を呼んでたのか……」
「相手は組織だ。多い方がいい」
素人の組織だがね……と鼻で笑った。
「おい、なんだ……?」
ベリルたちを監視していた男2人が続々と現れる男たちに目を丸くした。普通の恰好はしているが、銃を携帯している事が窺える。
もしかして、とんでもない奴を相手にしてるんじゃ……男たちは互いに顔を見合わせて表情を無くす。
「何やってる」
「!?」
背後から野太い声が聞こえて振り返ると、いかつい男が立っていた。
「おーいベリル」
呼ばれた方向に一同が顔を向ける。するとスーツを着た男2人の首根っこを捕まえてガタイの良い男が歩いてくるのが見えた。
「ムサファか」
そうして2人の男を中心に投げ置くように離して腕を組む。
「こいつらどうする?」
「殺しちまおうぜ」
「面倒だもんな」
「!?」
周りからの声に男たちは震えた。
「解放してやれ」
「いいのか?」
笑って発したベリルにムサファは聞き返す。
「どのみち組織は潰す。帰る場所など無いよ」
あからさまに言い捨てられ、ヒイィィィ~!? と2人の男はガタガタと震えた。
「……」
傭兵っていうのはこういう嫌がらせが好きなのかね……呆れてその光景を眺めた。
個人で動く事の多いハンターにとって彼らのノリについて行けない処がライカにはあった。
しかし、冗談を言い合っている彼らの表情を見ていると羨ましく思うときもある。
「ボスの居場所はわかってるのか?」
「うむ。ルカが調べた」
「じゃあこれから行くか」
自然と連携が取れるのも仲間だからだ。
「そうだな……もう少し様子を見よう」
「OK」
「了解」
「アイサー」
彼がぼそりと発すると口々に応え蜘蛛の子を散らすようにあっという間にいなくなった。
行動早ぇ……ライカとケビンは唖然とした。
それを見送ったあとベリルは2人の男に視線を合わせるようにしゃがみ込んだ。
「それでだ」
「ヒッ!?」
「な、なんだよ……」
ニッコリと笑いかけられ男たちはビクついた。