↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
うちはる。  作者: さんまぐ
本気になった内春雄大。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/36

第26話 柚子香と写真屋へ。

筋を通す事について今まで以上に意識をした。

会えれば1番だが、難しければ先に誉に電話をして、誉の許可を取り付けるようにした。


誉の奴は揶揄うように言ってくる。


「黙って行くことも出来るのに、キチンと言うなんてお小遣い目当てかい?」


そんな言葉に、俺は「違うよ。もう子供じゃないからね。柚子香の為でもある。俺なら平気でも、柚子香は耐えられない」と言うと、誉は満足そうに返してくる。


「わかった。怪我をするな。怪我をさせるな」


そう言った後で、柚子香のように穏やかな顔で、「私だって悪魔じゃない。柚子香を心配している祖母なんだ。柚子香の元気がないのが気になるから、よろしくやっておくれ」と言ってくる。

その顔には驚いてしまった。


「誉婆ちゃん?」

「あの顔を見たら、正解について悩むようになったのさ」


俺は変わったのだろう。

今までだったら嫌味の一つも言う。


「だから内春なんていらないんだ!」

「柚子香を解放しろ!」


これくらい言ってやりたい。


だが俺は何も言わずに黙ると、誉は驚いた顔で俺を見て、「驚いたね。雄大なら鬼の首でも取った顔で、文句の一つも言ってくると思ったのにね」と言ってくる。


「子供じゃないんだ。言わないよ。自活したら柚子香を連れて行く。その約束を反故にされなきな何も言わないよ」

「こりゃ参ったね。小遣い増やしてやんなきゃね」


こんな会話をしていると柚子香が学校から帰ってきて、玄関で俺の靴に気づくと「雄大!来てるの!?」と言って家の中に飛び込んでくる。

その物音に「まったくはしたない」と言う誉。


「嬉しい時でも肩肘張るなんて可愛くないよ」


そう返す俺の言葉で誉が笑っていると、ノックをして誉の返事も待たずに、「入ります!」と言った柚子香は、部屋に入って誉にただいまも言わずに「雄大!」と俺を呼ぶ。


「おう。お帰り。誉婆ちゃんにただいまを先に言えって」


柚子香は真っ赤な顔で慌てて、「お婆様ただいま帰りました」と挨拶すると、誉は「はい。お帰りなさい」と言った。


俺は笑顔の柚子香と誉のツーショットを撮ると、「珍しいから撮った。柚子香、元気ある?」と聞く。


「雄大?」

「写真プリント行かないか?」


柚子香は嬉しそうに「行きたい!」と言ったので、「じゃあ誉婆ちゃん、柚子香と出かけてくる」と断りを入れると、「はい。わかりましたよ。お夕飯までには帰ってきなさい。雄大、お寿司にしてあげるから食べていきな」と言った。


「いいの?」

「柚子香が痩せた気もするし、雄大も頬がこけた気がするから、ご馳走してあげるわよ」


柚子香はそれだけで嬉しそうにするので、俺も気持ちよく柚子香と「やったな」と言って、着替えるのを待ってから外に出かけた。



・・・



2月の外は寒い。

自然と手を繋ぎ腕を組む。


「会えて嬉しいけど仕事は?」

「お休み。キチンと知らなかったけど、親に面倒を見てもらっている間は、年間に103万以上稼ぐと良くないらしくて、社員さんが止めてくれたんだ。だから先月より働く日数が減ったから会いにきたんだ」


何も知らない俺達は、多分同級生達なら知っている事も知らずにいた。

稼げるだけ稼いで柚子香を連れ出せる男になりたかったのだが、世の中はそんなに甘くはなかった。

柚子香は「会える時間が増えて嬉しい」と言って俺の肩に頭を乗せてくるので、「俺もだ。早く柚子香を内春から出してやりたいけど、今の俺にはまだ限界があった事がわかったよ。悔しいけど誉婆ちゃんに感謝だ」と言って、柚子香の重さを感じながら歩く。


写真プリントの店に着くと、店員さんから機械の使い方を聞いて、少し大きめに柚子香と誉の写真をプリントして、「柚子香から渡してやりなよ」と言う。


「雄大?」

「前に言ってたろ。鈍行列車に乗って何もない旅行に行く奴。あれを誉婆ちゃんが許可してくれたよ」

「え?」


聞き返す柚子香に「だから御礼と一緒に渡してやりなよ」と言うと、柚子香は「うん!」と言って喜んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。