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アリスとエリーゼとディント様

「アリス~、!」

歌い終わりスッキリした気持ちでお針子のアリスの元に行った。

「あら、惟燈様。今日は御早いでございますね。」

ふふと微笑み頭を撫でてくれた。

「今日は何するんですか?」

フカフカとした椅子に抱き上げ私を座らされるとアリスは手芸棚に向かった。

「今日は刺繍でございます。星宮家の家紋である‘流れ星’を

 惟燈様のハンカチに縫い付けます。」

刺繍、!大好きなもの! ふふ。楽しみ

この子がアリス。アリス・アーデルハイト。隣国、サライドの王家

アーデルハイト家の末子。濃い金髪に黒のカチューシャをはめ、

緑色の瞳の美しい娘だ。サライドの良家に嫁いだらしいが

虐げられ逃げ出して星宮家に来たらしい。

まぁむりもない。アリスが嫁いだ先は星宮家の分家でもある

私の曾祖母の弟君の邸なのだから。

表向きは良家だが女を替えの効くただの駒としか思っていない男系の家。

星宮家はサライドとの国境付近に位置し徒歩で来たのだ。

逃げてきたアリスをかくまったのが私の両親。私たちが姉妹が一歳のときだ。

「アリス、早くはやく、!」

私は足をバタつかせながら待っていた。

「はい、お待ちください。」

アリスはシルクのハンカチと紫と黄色と水色の色鮮やかな刺繍糸を

抱えてやってきた。

「わぁ、綺麗~」

私は目をキラキラと輝かせ前のめりになる。

「ふふ、惟燈お嬢様は相変わらずキラキラしたものがお好きですね。」

そう言い刺繍をしていく。純白の色に彩が見えた。

一時間ほど刺繍をしただろうか。今日はここまでと言われた。

ふと時計を見ると次のお稽古の時間だった。

「ありがとうございました。アリス先生、!」

「せ、先生だなんて厚かましいです、!」

私が挨拶するとアリスは耳と顔を赤らめ必死に照れ隠しをしている。

そうしてアリスとのお稽古は終わった。次はディント様との有酸素運動だ。

私は新しくディント様から送られていた運動着に着替えて待ち合わせ場所の

正面門へ向かった。運動をする理由は前の病気に関係する。小さい頃は

屋敷から出ることがほとんどなく体力がなく病気になったと考えられ、

体力づくりが目的とする基礎運動をすることになったのだ。


「おぉ、惟燈様。運動着おにあいですなぁ。」

歯をキラキラと見せるように二カッと笑った。この人がディント様。

見ての通りとても筋肉質でがたいがよい。側面を刈り上げている髪型が少し

ヤンキー感を漂わせているがその他は性格含めイケメン。

「ありがとうございます。ディント様」

私がディント様に敬称を付ける理由はこの国一番の剣士だからだ。

「あ。そうだ。エリーゼ様のこと、ノエル様よりお伺いしております。」

ディント様がエリーゼに様をつけるのは驚いた。何故かって?

エリーゼはディント様の婚約者だからだ。

「ありがとうございます。コースを外れるような道ですし、無理を言って

 申し訳ありません。」

私が軽く頭を下げるとディント様はあわてていた。

「では、参りましょう。」

「はい、!」

いつもは下町をすこし走って終わりだが今日は街はずれに出る。

注意事項を三つほど聞いて出発した。

門を出て街を軽く走る。そのついでにお見舞いに行くそれが今日の運動。

「惟燈様、大丈夫ですか、?」

一〇分ほど走ったところでいつも体調を確認してくれる。

「はい、今日は、何だかいつもより、軽いです。」

少し息を切らしながら答える。

「よかったです。もう少しでエリーゼ様のところです。」

「わかりました。」

あの後、三分ほど走っただろうか。屋敷の前の街から西に外れたところに着いた。

「エリーゼ、ただいま。惟燈様がお見舞いにって。」

ディント様は木製の玄関を開け入っていき、私も手招きをされ入る。

「エリーゼェ。大丈夫、?」

私はエリーゼが座っているベットに背伸びをして甘えるような声で話しかける。

「まぁ、惟燈様。ふふ、心配ありがとうございます。でも大丈夫ですよ。」

この子がエリーゼ。エリーゼは農民生まれだが生まれながらに絶対音感の持ち主。

この国一番のバイオリンの師に勧められ始めたそうだ。淡い栗色の髪に

透き通るようなエメラルドグリーンの瞳の持ち主。

「エリーゼ、来週はバイオリン来る~、?」

「はい、!行きますね!」

エリーゼはガッツポーズをして優しく微笑んだ。そんなエリーゼが私は大好き。

「惟燈様、もう帰らないと昼餉に間に合いません。」

ディント様がそう言ってきた。え、もうそんな時間なの。

「、、。エリーゼ、よくなるようにって作った。」

頬をプクッと膨らませながら折り紙の鶴を渡した。

「これは、惟燈様が考えた‘折り紙’という物の‘つる’ですね。」

この世界には折り紙も鶴という生き物も存在しない。だから私が考えた

ことになっている。簡単だけどみんなには難しいらしい。

「うん。」

「ありがとうございます、!飾っておきますね。」

そ、そこまでしなくてもいいんだけどなぁ。私はアハハと苦笑いをして見せた。

「惟燈様、お時間が、。」

ディント様が時計を指さす。ヤバいということはわかる。

私のスピードではギリギリだ。

「わかった。エリーゼ、またね。」

私はエリーゼに手を振り玄関を出ると沢山の人がいた。

「まぁ、惟燈様だわ、!」

「こんなにおきれいになられて。」

「さすが‘天使’様の御子ですなぁ」

え、誰。なに、‘天使様の御子’って。するとディント様は私を庇うように

後ろにやり自身が前に出た。

「……?」

するとディント様は私を抱き上げボソボソと何か言っているが聞き取れない。

周囲がうるさすぎる。え、えぇ?!

そう思っていると急に走り出した。それもものすごいスピードで。

木が走るスピードでしなるほどにだ。

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