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彼女の部屋はベージュのカーテンがひかれ薄暗かった。
その中で、カーテン越しの西日が淡い光のベールとなって、ベッドに座っている彼女の顔をやわらかく照らしている。
室内はなんとなく外よりもゆっくりした静かな時間が流れているように感じた。
女子の部屋とか、初めて入った…。
僕は少し緊張しながらベッドに近づくと、カバンからプリントを取り出した。
水野さんは僕が部屋に入ってきた時は少しうつむいていたが、目の前にさし出されたプリントに気づいて顔を上げた。
西日のせいか、少し顔が赤く見える。
「あ、これ、今日の授業のプリントと、明日までの課題のレポート」
「ありがとう。でも、なんで小崎くんが?」
「うち、この近くだから、先生から頼まれて…」
「あ、そうなんだ。わざわざごめんね」
彼女は納得したように少し笑って見せた。
「いや…。えーと、じゃあ僕はそろそろ…」
「あ、うん」
なんとなく気まずくて、僕は彼女の部屋からそうそうに退出することにした。
その時ふと、休み時間に女子が話していたのを思い出した。