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次の日、いつもより少しだけ早く家を出た私は、小ぶりの紙袋を手に持って学校へ行った。
紙袋には、今度はちゃんと宛名を書いた手紙とフォンダンショコラが入っている。
昨日、一生懸命心をこめて作ったフォンダンショコラ。
一つ自分で味見したから大丈夫だと思う。
ちゃんと、おいしくできてるよね?
私はドキドキする胸をおさえながら教室に入った。
席につくと、紙袋を机の横のフックに掛けた。
小崎くんはまだ来ていない。
私は彼がドアを開けて入ってくるのを今か今かと待っていたが、席はだんだん埋まっていってとうとうHRが始まった。
小崎くん、今日休みとかじゃないよね?
来るよね?
きっと来る…。
私は自分にそう言い聞かせながら入口を見つめていた。
不意に、ドアが開いて小崎くんが教室に入ってきた。
「小崎、遅いぞ~。もう少し早く出てこい」
「…すいません」
先生が注意して、彼は自分の席についた。
良かった。
私は内心ほっとする。
これ、いつ渡そうかな…。
できたら昼休みとか放課後とか、彼が一人の時がいいんだけど。
小崎くんは昼休みによく売店にパンを買いにいく。
その時に、渡せるかな。
私は深呼吸をしながら、大丈夫と心の中で何度も繰り返した。
想像の世界でなら、昨日からもう何度も彼に渡してるんだから………。




