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でも、なかなかいい考えが浮かばない。
手紙がダメなら、もう直接告白するしかない。
でもいざ小崎くんの前に立ったら、しゃべれなくなりそうで、自信がない…。
本当に、臆病で勇気のない自分が嫌になる。
小崎くんはいつも気持ちを伝えてくれるのに。
私はまだなにも彼に返せてない。
好きだって気づくのが遅くて、せっかくの彼からの告白をあっさり断っちゃうし。
手紙を書けば宛名を忘れるし。
自分のバカさかげんに腹が立つ。
次は、失敗は許されない。
私は目を閉じて祈った。
……お願いします。
小崎くんが私のことをまだ好きでいてくれますように。
呆れられていませんように。
まだ、間に合いますように。
いつもは神様なんて信じてないのに、今はなにかにすがりたい気持ちでいっぱいだ。
私は心を落ち着けようと、板チョコをひとかけら口に入れた。
なにげなく手に持っているチョコのかけらを見ていたら、ふいにいい考えが閃いた。
……チョコレート!!
初めて彼が私にくれたもの。
彼と私を結びつけてくれたもの。
もう、これしかない。
神頼みならぬ、チョコ頼み!!
明日、手紙と一緒にチョコを渡そう。
もし彼の前に立って言葉が出てこなくても、これならきっと伝わる。
さっそく、棚からチョコレート菓子の作り方の本を出してきた。
う~ん。
なにがいいかな?
学校に持って行くんだから、あんまり大きいのはダメだし。
………………………。
パラパラとページをめくる。
あ。
これはどうかな?
外はチョコのスポンジで、中からチョコレートがでてくる、フォンダンショコラ!
マフィン型で焼けば、持って行くのにちょうどいいかもしれない。
材料は…
チョコレート、バター、卵、グラニュー糖、薄力粉、ココア
うん。
全部そろってる!
大丈夫。
私は材料を確かめてにっこり笑った。
彼にチョコレートを渡す自分を思い描きながら、心をこめて作る。
小崎くんが好き。
もっと彼と一緒にいたい。
もっとたくさん話がしたい。
このきもちを、素直に彼に伝えたい。
ありったけの思いをこめて作るから。
どうか、受け取ってくれますように……。




